桜木町駅(さくらぎちょうえき)は、神奈川県横浜市中区にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)・横浜市交通局(横浜市営地下鉄)の駅である。
1872年(明治5年)、日本で最初に鉄道が開通した時に初代の横浜駅として開業した。その後、東海道本線の延伸に伴い「横浜駅」の名称を現在の横浜駅に譲り、1915年(大正4年)に桜木町駅に改称された。また、2004年(平成16年)1月30日までは東京急行電鉄(東急)の東横線も乗り入れており、その終着駅であったが、翌々日の2月1日にみなとみらい線が開業したのに伴い廃止となった。
乗り入れ路線
JR東日本の根岸線と、横浜市営地下鉄のブルーライン(3号線)が乗り入れている。なお、当駅におけるJRと横浜市営地下鉄との連絡運輸は設定されていない(隣の横浜駅と関内駅が指定されている)。
JR東日本の駅には、根岸線と直通運転を行っている京浜東北線の電車のほか、東神奈川駅から直通している横浜線の電車も日中の多くの電車と朝晩の一部電車が当駅へ乗り入れを行っている。また、当駅からは東海道本線支線(高島線)が分岐しているが、この高島線は基本的に貨物列車専用であり、定期旅客列車の運行はない。
横浜線の昼間時の根岸線直通電車は全列車が当駅折り返しであり、横浜線快速電車も平日は全ての電車が当駅折り返しで運行されている。
横浜市営地下鉄の駅には「B18」の駅番号が与えられている。
島式ホーム2面3線を有する高架駅で、折り返し用の中線を2本のホームで共用している。この中線(2・3番線)は関内・磯子方面とはつながっておらず、横浜・東神奈川方面への折り返ししかできないため、2番線を降車専用、3番線を乗車専用としている。2015年3月時点におけるダイヤでは、折り返しは朝時間帯の一部列車とデータイム時(6 - 17時台 (土休日は18時台))に横浜線直通列車が、その他の時間帯は京浜東北線直通列車が使用している。夜間留置の列車もこの中線を使用する。
また、当駅は高島線と根岸線の合流点にあたるため、両ホーム横浜方の上には信号扱い所が設けられ、終日運転取扱者がここに常駐する。また、忘れ物の取り扱いも終日ここで行っている。
エレベーターは改札内と上下各ホームを結ぶものが存在する。改札口はこれまで関内方面の1つだけであったが、2014年7月1日に横浜方面に北改札が新設され[2]、これに伴い、従来の改札口は南改札とされた(なお、この改札口周辺もリニューアル工事が実施されている)。同時に東西通路も整備され、みなとみらい方面や紅葉坂方面へのアクセスの改善が図られている。また改札の新設に合わせ、同月16日には高架下を利用した駅併設の商業施設として、JR東日本のグループ会社である横浜ステーシヨンビルが管理・運営する「CIAL桜木町」が開業している。
さらに2020年度に向けて3つ目の改札を整備する計画(構想段階)も持ち上がっている。計画では駅舎を南側に延伸した上で、「鉄道創業の地」記念碑がある広場付近(地下道への入口と横浜桜木郵便局の間辺り)に新たな改札を設け、2020年に新市庁舎が完成予定の北仲通地区方面に向けてペデストリアンデッキも整備する方針としている。新改札の設置により、同地区や野毛地区、馬車道地区といった周辺地区の結節点として回遊性の向上や駅混雑の緩和などが期待されている。なお、今回の整備構想は2014年度より検討を開始し2016年10月までに方針が定まったが、2017年2月時点では新改札の設置場所等も含めて検討中の段階で、横浜市では「2017年度中」にも最終決定したい考え。
のりば
のりばは北東(横浜港)側を1番線として、順に下表のように割り当てられている。
番線 路線 方向 行先
1 JK 根岸線 下り 関内・磯子・大船方面
2 降車専用ホーム
3・4 JK 京浜東北線 北行 横浜・東京・大宮方面
JH 横浜線 - 新横浜・町田・八王子方面
当駅周辺地区(みなとみらい地区)は、横浜市における都心(ツインコア)の一つである「横浜都心」に指定されている。
旧東急東横線ガード下の壁面は、スプレーで描かれたグラフィティ(ストリートアート)がいくつも並んでいる事で知られていた(旧高島町駅まで続いており、名物となっていた)。廃線跡は高架の遊歩道を整備する工事が進行中で、紅葉坂方面へのペデストリアンデッキの設置も計画されている。遊歩道の整備に伴う壁面工事によって、前述のストリートアートも現在では撤去されている。
当駅は1989年の横浜港開港130周年を記念して現在のみなとみらい地区で開催された「横浜博覧会」、さらには2009年の横浜港開港150周年を記念して同地区で開催された「開国博Y150」会場の最寄り駅の一つでもあった。
発車メロディ
2005年12月5日まで五感工房製の「JR-SH3」と「JR-SH4」を使用していたが、翌6日から3番線のメロディが櫻井音楽工房製の「twiIight」に変更された。その後、二代目横浜駅開業100周年記念イベントにあわせ、2015年7月25日から降車専用ホームである2番線以外の全ホームで「線路は続くよどこまでも」に変更された。各ホームでアレンジが異なっている。
北行方面(3・4番線)も横浜駅までは根岸線ではあるが、当駅には横浜線の列車が多数乗り入れているため、のりばの案内では区別のため便宜上、直通先である「京浜東北線」の名称が記載されている。
1・4番線には高島線からの貨物列車も通過するため、これらのホームに設置されている電車の接近を示すランプには『電車がまいります』の表示の上に『通過列車』のランプがある。表示器はかつて横浜線で汎用されていたタイプの旧式のもので、横浜線・根岸線内で現在使用されている『電車が』『きます』を交互表示するタイプのものとは異なる。このタイプは2014年1月現在、当駅と八王子駅横浜線ホームでのみ使用されていたが当駅のものは2014年内にリニューアル工事及び北改札口設置工事の際、『電車がまいります』または『通過電車がまいります』が横にスクロールするタイプの新しいものに交換され2015年現在、八王子駅のものを残すのみとなっている。また、ATOS導入前、接近放送には貨物列車の通過放送も流れていた。
4番線の横浜方に設置されている根岸線出発信号機と高島線出発信号機にそれぞれ『電出』(電車線出発の意)と『貨出』(貨物線出発の意)と記されているのは、かつての京浜線が東海道本線の『電車線』、高島線が東海道本線の『貨物線』とそれぞれ同じ東海道本線の支流にあたっていたための名残りであり、横浜 - 桜木町間が根岸線に編入されて久しい今日でもこの表記が残っている。
当駅の配線は、上下本線の間に中線の線路が1本だけ入り、これを両側のホームで共用する形となっている。同様の構造の駅には川越駅(3-6番線)や蒲田駅、東十条駅(京浜東北線)などがある。
当駅のホーム上の方面案内サインは現駅舎への改良と同時に採用されたもので、現在のJR東日本のサインシステムのプロトタイプにもなっている。近年になりピクトグラム表示が追加されるなど、時代に合わせた修正も行われている。
2004年6月2日にリリースされた横浜出身の平成フォークデュオ・ゆずの通算20枚目のシングル「桜木町」は、東急東横線の桜木町駅を唄った歌である。ゆず本人達曰く、桜木町駅(特に東急東横線)は相当思い入れのある駅だったため、東急東横線の桜木町駅がなくなると聞いた時に思い出の場所を歌に残そうと思い、作った曲との事である。また、彼らの楽曲「雨と泪」(1998年)のプロモーションビデオに根岸線と東急東横線の桜木町駅ホームが登場している。
山崎まさよしのヒット曲「One more time, One more chance」の舞台でもある。
いきものがかりの曲「花は桜 君は美し」のプロモーションビデオは、根岸線の駅舎の前で撮影された。
2008年2月20日にデビューした黒人演歌歌手ジェロのデビューシングル「海雪」のプロモーションビデオ撮影は、桜木町駅と隣の高島町駅の旧東急東横線高架下のストリートアート沿いやガード下で行った。
1989年の横浜博覧会開催時、JR東日本の駅前で「夢空間'89」というイベントを開催し、試作寝台客車3両の公開を行った。また、駅改札近くには「さかさま小路」と呼ばれる人や車が逆さまになった彫刻などが展示されていた。この展示はいすゞ自動車が製作したもので、自動車は当時発売されていたいすゞ製乗用車(ジェミニ・ピアッツァ)がモデルとなっている[17]。
1998年、JR東日本の駅が関東の駅百選に選定された。選定理由は「明治5年に開業した鉄道発祥の地の駅で、現在は「みなとみらい21」都市の玄関口となっている駅」。横浜市営地下鉄と当時存在した東急の駅は選定の対象になっていない。
鉄道発祥の地であるため、構内に機関車の模型や日本の鉄道の恩人エドモンド・モレルの像が飾られている。
2007年9月14日から2010年3月31日まで、旧東急東横線桜木町駅舎を改修した展示・イベントスペース「創造空間9001」が開設されていた。この9001の名称は、東横線桜木町駅の廃止の日に最後に入線した渋谷発桜木町行最終電車に充当された9000系9001Fの渋谷方先頭車のクハ9001に因んで命名された。
1989年まで、駅近くの公衆トイレは旧駅舎から道路を跨いで反対側に汲み取り式のものがあるだけであったが、現在は水洗式に変わっている。また、新駅舎完成後に現在のみなとみらい方面にも水洗式の公衆トイレが設置された。
根岸線での乗り換え案内放送では横浜市営地下鉄を省略するが、E233系1000番台の液晶モニターには乗り換え案内が表示されている。また、当駅では連絡定期券の取り扱い指定駅になっていない。
高島線は、東海道貨物支線の一部であるが、将来、貨客併用化される計画がある。計画が実現された場合、当駅が旅客線の駅となるので、京浜東北線の混雑緩和が期待される。
1993年に駅舎の増築を実施した際、担当の施工業者が駅員用便所の配管を間違え、本来は下水管に繋げるべきところを雨水管に繋げるミスを犯したため、汚水が20年に亘って付近の大岡川に流入していたことが、2013年になって判明。JR東日本ではこの便所を含めた施設の使用を中止している
JR東日本
かつての横浜駅であり、品川駅と並ぶ日本初の鉄道の駅である。その説明板が駅構内及び関内方のガード沿い(旧駅前広場)にある。
1872年6月12日(明治5年5月7日):品川 - 横浜間で仮開業した日本初の鉄道の横浜駅として開業。
1873年(明治6年)9月15日:貨物の取り扱いを開始。
1887年(明治20年)7月11日:官設鉄道が国府津駅まで延伸開業、スイッチバック式の配線となる。
1909年(明治42年)10月12日:東海道本線所属駅となる。
1915年(大正4年)
8月15日:横浜駅(2代目)開業により桜木町駅に改称、東海道線の電車線の終点駅となった。程ヶ谷駅(現在の保土ヶ谷駅)への路線が廃止され、スイッチバック解消。
12月30日:貨物の取り扱いを廃止。機能は駅東側に新設された東横浜駅に業務を移管。
1923年(大正12年)9月1日:関東大震災により、開業時からの駅舎は焼失。
1927年(昭和2年):駅舎改築。
1951年(昭和26年)4月24日:構内で京浜線電車が全焼し、死者106名・負傷者92人を出す大惨事となる(桜木町事故、国鉄戦後五大事故の一つ)。
1964年(昭和39年)
5月19日:根岸線が磯子駅まで開通、同時に根岸線所属に変更。
6月1日:東海道本線貨物支線(高島線)が高島駅まで開通。
1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道の駅となる。
1989年(平成元年)頃:横浜博覧会の開催に合わせて、駅舎を移転・新築(現駅舎)。
1998年(平成9年):「関東の駅百選」に選定される。
2001年(平成13年)11月18日:ICカード「Suica」の利用が可能となる。
2007年(平成19年):改札内にエレベーターを新設。
2014年(平成26年)
7月1日:北改札及び東西通路を開設。
7月16日:横浜ステーションビルが管理・運営する商業施設「CIAL桜木町」が開業。
2015年 (平成27年)
7月25日:発車メロディが「線路は続くよどこまでも」に変更。
横浜市営地下鉄
1976年(昭和51年)9月4日:3号線横浜 - 伊勢佐木長者町間の開通時に開業。
2007年(平成19年)
3月18日:ICカード「PASMO」の利用が可能となる。
5月12日:ホームドア使用開始。
2008年(平成20年)3月30日:3号線に「ブルーライン」の愛称を付与。
2012年(平成24年)5月1日 - docomo Wi-Fiによる、無線LANサービス開始。
2015年(平成27年)7月18日 - ダイヤ改正により運転を開始した快速の停車駅に設定される。
東京急行電鉄(廃止)
2004年1月30日までは東横線の終着駅だったが、2日後の2月1日の横浜高速鉄道みなとみらい線の開業により東横線が横浜駅よりみなとみらい線への相互直通運転を開始したため、廃止された。
1932年(昭和7年)3月31日:東京横浜電鉄(現在の東京急行電鉄)の東横線が高島町駅から延伸開業し、その終着駅として開業。
1956年(昭和31年)9月10日:高島町 - 当駅間が複線化。
1971年(昭和46年)2月 - 自動改札機設置(5台)
2001年(平成13年)3月28日 - ダイヤ改正により東横線の特急運行が開始。
2004年(平成16年)1月30日:横浜高速鉄道みなとみらい線の開業に伴い、この日の終電をもって営業終了。翌31日付けで廃止。
所在地 横浜市中区桜木町一丁目1
所属事業者 JR logo (east).svg東日本旅客鉄道(JR東日本)
電報略号 サチ
駅構造 高架駅
ホーム 2面3線
乗車人員
-統計年度- 68,546人/日(降車客含まず)
-2015年-
開業年月日 1872年6月12日(明治5年5月7日)
乗入路線 3 路線
所属路線 JK 根岸線
(JH 横浜線直通含む)
駅番号 □JK 11
キロ程 2.0km(横浜起点)
大宮から61.1km
八王子から46.4km
◄JK 12 横浜 (2.0km)(1.0km) 関内 JK 10►
所属路線 東海道本線(貨物支線)
(高島線)
キロ程 8.5km(鶴見起点)
◄東高島 (2.9km)
備考 みどりの窓口 有
浜 横浜市内駅
* 1915年(大正4年)8月15日に横浜駅(旧)から改称。