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ドクターイエロー( 3000番台)

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ドクターイエローとは、新幹線区間において、線路のゆがみ具合や架線の状態、信号電流の状況などを検測しながら走行し、新幹線の軌道・電気設備・信号設備を検査するための事業用車両の愛称である。

「ドクターイエロー」は通称であり、正式名称は「新幹線電気軌道総合試験車(しんかんせんでんききどうそうごうしけんしゃ)」である。通称は、車体色の黄色に由来している。
東北新幹線区間などでは、白ベースに赤の塗装の編成である東日本旅客鉄道(JR東日本)E926形が使用され、「East i(イースト アイ)」(正式名称は「電気軌道総合試験車〈でんききどうそうごうしけんしゃ〉」)と呼ばれる。。
これらの試験車による検測結果は、東海道・山陽新幹線においては新幹線情報管理システム (SMIS)、東北・上越・北陸・北海道新幹線においては新幹線総合システム (COSMOS) に送られ、それぞれ乗り心地の向上や安定した集電、信号トラブルの未然防止などを目的とした保線作業のデータとして使用される。
これらの非営業用車両の車両形式は、「系」や「型」ではなく「(900系)○○○形=がた(○○○○番台)」と表記する(例:900系923形3000番台=T5編成)。
運行は10日に1回程度であり、走行時刻も非公開であるため、鉄道ファンを中心に「見ると幸せになれる」など、縁起物のような扱いをされる。
基本的には路線の点検作業のみに使用されるが、阪神・淡路大震災では建設資材輸送に使われるなど、緊急時には例外的な運用も行われる。

922形T2・T3編成の老朽化や、300系以降の250km/h超の車両増加などにより、270km/hでの走行が可能な車両として700系をベースに開発された。

1 - 3号車は日立製作所笠戸事業所、4 - 7号車は日本車輌製造豊川製作所で製造された。
T3編成までの軌道検測車(付随車)は、3台車の相対変位を測定する方式であり車体長も短かったが、T4編成以後はレーザー光を使用した方式に改良され、他の車輌と同じ2台車で車体長も同じになっている。形式も他号車と同じく923形に含まれている。
先頭部には、前照灯の下方、車体中央に前方監視カメラが設置されている。また、尾灯がこのカメラの左右に配置されており、営業用の700系では尾灯となっている左右の2灯も前照灯(この灯火のみ、キセノンやHIDライトと呼ばれることもある、白色のディスチャージヘッドランプ)となっている。このため、前照灯は700系の4灯に対し6灯となり、視認性の向上が図られている。
車体色の黄色が、T3までの編成(黄色5号)に比べて明るく鮮やかなもの(マリーゴールドイエロー)となっている。また、2号車と6号車にはそれぞれ集電用1基、検測用1基のパンタグラフが搭載され、1両に2基のパンタグラフが並んでおり、営業車には例のない長大なパンタグラフカバーと相まって、ユニークな外観となっている。
なお測定走行時には、測定用パンタグラフは進行前方の車両、集電用パンタグラフは進行後方の車両のものを使用し、同一車両の2基のパンタグラフを同時に上げて走行することはない(試運転等、測定以外の特殊な運転の場合は除く)。
走行機器もベースとなった700系に準じているが、編成が短くなったことから、1ユニットを構成する車両数が4両から3両(M1c+M'+M2)に減らされている。それに伴い、新たに制御電動車 (M1c) が設定されたほか、従来は付随車に搭載されていた空気圧縮機や補助電源装置といった補機類が電動車に集約して搭載された。また、計測機器などの電源用および停電対策用として、M'車車内に210kVA電源装置および鉛蓄電池を搭載する。
1号車:変電/電車線/信号/通信測定台・電気/施設測定機器
2号車:高圧室・電気関係測定機器
3号車:観測ドーム・電気倉庫・電力データ整理室
4号車:(軌道検測車)軌道検測室・施設データ整理室・施設倉庫
5号車:多目的試験・電源供給・観測ドーム・休憩室
6号車:ミーティングルーム・高圧室・電気関係測定機器
7号車:電気/施設測定機器(添乗室があり700系普通車と同様の車内。カラーの大型プラズマディスプレイも備える)
なお、923という形式称号は2代目にあたる。先代はレール探傷車が名乗っており、2代目923形が登場した時点ではJR西日本に923-2が在籍していた。


3000番台
2003年のダイヤ改正で高速化された東海道新幹線において、922形T3編成の210km/hでの検測運転では営業車両との性能差からダイヤに支障し、またT3編成自体の老朽化も進んでいたことから、これを置き換える目的で2005年に登場した。JR西日本博多総合車両所に所属し、T5編成と呼ばれる。2005年3月上旬にそれぞれのメーカーから陸上および海上輸送により博多総合車両所に運ばれた。


仕様は923形0番台T4編成とほぼ同一である。T4編成との外観上の差異は、車体側面に博多総合車両所でメンテナンスを行う際のジャッキアップ時にリフトを差し込むための穴があること、および7号車屋根上のアンテナの有無(T4編成にはない)のみである。


博多総合車両所所属でありながら普段は東京に常駐しているため、保守を容易にするため台車もT4編成と同一にしてある。また、定期検査はJR東海に委託し、交番検査が東京交番検査車両所、台車検査・全般検査が浜松工場の施行となっている。

運用
主要駅停車の「のぞみ」(「ひかり」)検測と、各駅に止まる「こだま」検測の2種類があり、通常各タイプとも同じダイヤで営業時間帯に運転される。
「のぞみ」タイプと「こだま」タイプのどちらも、基本的に2日かけて検測を行い、1日目に東京 → 博多、2日目に博多 → 東京となることが多い。ただし、新大阪駅到着時にいったん大阪仕業検査車両所に入区することが多い。


東海道新幹線開通間もないころは、営業列車のない深夜に検測を行っていたが、営業列車と同じ速度で検測可能なT2編成(922形10番台)が1974年に登場してからは昼間に検測を行うようになった。当時は「ひかり」検測は3日かけて、「こだま」検測は4日かけて行った。
ドクターイエローの運用について、区間や走行時刻などの詳細は全く公表されないため、「ドクターイエローを目撃すると幸せになれる」という都市伝説がある。このため、プラレールや鉄道模型(関水金属・トミーテックが発売)といった関連商品が多く売れている。

1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では、東海道新幹線の復旧工事で必要なモルタル輸送にドクターイエローが用いられた。車内いっぱいに積み込まれた200袋のモルタルと24人の作業員を東京から京都まで輸送する任に当たった。
2008年5月26日、JR東海はN700系に上下方向のみの軌道検測システムを取り入れると発表した。

製造所 日立製作所笠戸事業所(1 - 3号車)
日本車輌製造(4 - 7号車)
主要諸元
編成 7両(6M1T)
軌間 1,435 mm
電気方式 交流25,000 V 60Hz
最高速度 270 km/h
起動加速度 2.0km/h/s
編成定員 非営業車両
全長 27,350 mm(先頭車)
25,000 mm(中間車)
全幅 3,380 mm
車体高 3,650 mm
台車 コイルばね+円錐積層ゴム式ボルスタレス台車
TDT204(電動車), TTR8001(付随車)(T4編成)
WDT206(電動車), WTR8001(付随車)(T5編成)
主電動機 かご形三相誘導電動機
TMT6A,TMT7A,TMT8(T4編成)
主電動機出力 275kW/基
駆動方式 WN駆動方式
歯車比 2.96
編成出力 6,050kW 
制御装置 VVVFインバータ制御 (IGBT)
制動装置 回生併用電気指令式ブレーキ(応荷重装置付き)、渦電流ブレーキ
保安装置 ATC-1型、ATC-NS


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