OH-6D:陸上自衛隊向け観測機型。海上自衛隊向け練習機型(2011年6月運用終了)。さらに写真はOH-6DA:MD 500ベースの海上自衛隊向け練習機型と思います。
OH-6はアメリカ合衆国の航空機メーカー、ヒューズ・ヘリコプターズ社が開発した小型ヘリコプター。アメリカ軍における愛称は「カイユース」(Cayuse:アメリカ先住民のカイユース族から」)。機体形状から「フライングエッグ(空飛ぶ卵)」の別名でも呼ばれています。
1960年にアメリカ陸軍では、L-19 バードドッグやベル47などの観測機の後継機となる軽観測ヘリコプター(LOH)計画の提案要求を各航空機メーカーに提示した。LOHの要求性能は、アリソン製T63-A-5ターボシャフトエンジンの搭載、ペイロード180kg以上、最大速度103kt以上、航続時間3時間以上、4人乗りとされ、機体のサイズもローター直径10.72m、全長10.6m、全高2.87m以内に収め、C-130 ハーキュリーズ輸送機に4機が搭載出来ることなどでした。LOH計画は、10年間で約3600機が調達される予定であったため、アメリカ国内の航空機メーカー12社が応募し、設計案は22案に上った。このうち、ベル社、ヒラー社、ヒューズ社が最終選考まで進み、1961年5月19日に3社の試作機製造が承認されました。試作機は各社5機ずつ製作され、ベルYOH-4A(後のモデル 206)、ヒラーYOH-5A(後のFH-1100)、ヒューズYOH-6Aの名称が与えられて比較評価試験へと移行。試験は1年間にわたって行われ、1965年5月26日にYOH-6Aが飛行性能の良さと機体価格の安さから採用が決定され、OH-6 カイユースの名称で1200機が発注されました。生産は1965年から開始され、最初の月の生産数は70機に達しました。OH-6は1966年9月からアメリカ陸軍への引き渡しが開始され、1967年12月にはベトナム戦争に投入されている。OH-6は高い機動性を活かして観測や索敵に活躍し、AH-1G コブラ攻撃ヘリコプター2機とOH-6A 2機が1チームとなったサーチ・アンド・デストロイは高い成果を上げました。しかし、OH-6の生産スケジュールは当初予定より遅れ、追加発注分の機体価格が高騰したため、1434機で調達は終了となり、1970年8月に量産最終号機が納入されました。なお、OH-6の調達中止に伴い、1967年秋に第2次LOH選定が行われ、ベル社のOH-58 カイオワが採用されています。なお、ヒューズ社は後にマクドネル・ダグラス社と合併し、同社はOH-6を民間向けモデルMD 500として販売し、この名称でも知られていまする。
川崎重工業がOH-6Aの日本向けOH-6Jをライセンス生産し、1969年(昭和44年)から1979年(昭和54年)まで陸上自衛隊が観測機として117機、海上自衛隊が教育用に3機を導入し海上保安庁でも採用した他、民間機としても販売しました。同年からはOH-6Dに切り替えられ、1997年(平成9年)の生産終了までに陸自に193機、海自に14機を納入し、海保、民間用なども生産しました。川崎での延べ生産数は387機に上る。陸自向けのD型は生産途中から、暗視ゴーグル対応操縦席、赤外線監視装置、赤外線照射装置が追加されています。陸自では1997年(平成9年)から後継の観測機である川崎OH-1の調達が進められたが、各対戦車ヘリコプター隊への配備にとどまったことから、今後もOH-6Dの運用が続けられる見込みです。また、陸自のヘリ操縦士教育に使用されたTH-55Jが退役した後は、専らOH-6Dが使用されており、後継練習機のTH-480が揃うまでは教育用に使用され続ける予定です。なお、2002年(平成14年)には大分県玖珠町上空で2機の陸自OH-6Dが訓練中に衝突、2機ともに墜落して乗員4名が全員死亡する事故が起きました。
2012年3月末時点での陸自の保有機数は90機です。海自では、川崎での生産終了後、OH-6Dの機体数が足りないことから、アメリカからMD 500Eを5機輸入し、OH-6DAとして教育に使用していました。また、中期防衛力整備計画(平成17年度〜平成21年度)でOH-6D/DAの後継機(次期回転翼練習機:TH-X)の機種選定が、アグスタ・ウェストランド A109Eとユーロコプター EC 135との総合評価落札方式で行われ、2009年1月ユーロコプター EC135T2+に決定した。2011年6月に第211教育航空隊(鹿屋航空基地)所属の教育用小型練習機が退役したことにより、海上自衛隊における運用は終了しました。なおかつて、アメリカ海軍のMASH(Manned Anti-Submarine Helicopter)計画にあわせて、海自でもOH-6Jの艦載化が検討されていたが、後にアメリカ海軍がMASHを断念してLAMPS(Light Airborne Multi-Purpose System)計画に移行したことを受けて、この計画も放棄されています。
OH-6Jの改良型として54年度から取得を開始しました。
OH-6D
乗員
1人(P)+3人
■機体
全長
9.40m(胴7.09m)
全幅
8.05m(スキッド幅 2.07m)
全高
2.73m
ローター直径
8.05m(5枚)
製作
川崎重工
■エンジン
名称
250-C20B
出力
375SHP(離昇)×1
製作
米国ロールス・ロイス・アリソン社
最大全備重量
1,361kg
最高速度
281km/h
巡航速度
約240km/h
航続距離
約460km
実用上昇限度
4,877m