KAT-1(ケイエイティー・ワン)は日本の航空機メーカー、川崎航空機(現在の川崎重工業)が試作したレシプロエンジンの練習機。K・Aは川崎航空機、Tは練習機の略。
保安庁(後に防衛庁、現在の防衛省)の航空隊発足に際して、国産の練習機を採用することとなったため、航空各社に対して募集をかけることとなった。富士重工業や新立川飛行機、東洋航空工業とともに、川崎航空機も応募することにし、2機の試作練習機「KAT-1」を製作した。
しかし、川崎の製作中に、保安庁は富士重工業がライセンス生産することを決定したT-34 メンターを、運動能力の高さなどを理由に採用した。それでも、川崎はKAT-1を完成させ、何とか販売網に乗せようと売り込みを図ったが、まだ戦後間もなく、経営基盤が危うい状態での売り込みは企業生命にかかわると感じた通商産業省(当時)によって作業停止を命じられた。結局KAT-1は2機の製作にとどまった。
試作した2つの機体は運輸省(当時)航空大学校の練習機として採用された。用途廃止後は1号機(JA3084)が北海道滝川市こども科学館へ、2号機(JA3100)は東京都立科学技術大学へ引き取られて展示された。1993年(平成5年)に2号機が博物館を計画していた岐阜県各務原市に引き取られたが、状態が悪いために倉庫に保管された。1号機も2002年(平成14年)10月にかかみがはら航空宇宙科学博物館へ移され、2003年(平成15年)4月から屋内で展示されている。
同社の試作連絡機KAL-1から大幅に変更を加えられた。キャビンをタンデム複座に変更、尾輪式から近代的な首輪式へ変更、エンジンの転換のほか、KAL-1で問題となった翼端失速の解決の為、主翼の翼型を三式戦闘機「飛燕」と同系列のものに形状変更することによって運動能力を大幅に向上させた。初号機の初飛行は1954年(昭和29年)2月11日。
スペック
乗員 - 2名
全長 - 8.5m
全幅 - 11.5m
全高 - 2.8m
全備重量 - 1,385kg
エンジン - ライカミング GO-435-C2B
出力 - 260hp
最大速度 - 298km/h
航続距離 - 1,140km
実用上昇限度 - 6,000m
用途:練習機(試作)
製造者:川崎航空機
運用者運輸省航空大学校
初飛行:1954年2月11日
生産数:2機
運用状況:退役