MSC-602掃海艇やくしま(ひらしま型掃海艇2番艇)
やくしま(ローマ字:JS Yakushima, MSC-602)は、海上自衛隊の掃海艇。ひらしま型掃海艇の2番艇。艇名は屋久島に由来する。鵜来型海防艦「屋久」、うじしま型掃海艇「やくしま」、はつしま型掃海艇「やくしま」に次いで日本の艦艇としては4代目。
「やくしま」は、平成17年度計画掃海艇394号艇として、USC京浜事業所で2006年5月17日に起工され、2007年9月26日に進水、2009年3月6日に就役し、掃海隊群第2掃海隊に編入され佐世保に配備された。
ひらしま型掃海艇(ひらしまがたそうかいてい、英語: Hirashima-class minesweeper)は、海上自衛隊の中型掃海艇(Mine Sweeper Coastal, MSC)の艦級。ネームシップの建造単価は175億円であった。
ホーミング機雷に対抗するため、優れた機雷探知能力を有する新型の水中航走式機雷掃討具を採用している。平成20年度よりFRP船体のえのしま型へ建造が移行したため調達は3隻で打ち切られた。
全体に刷新された対機雷戦システムが搭載されている。また水中処分員の再圧タンクもこれまでの一人用から二人用に変更されている。
C4ISTAR
本型の対機雷戦システムの中核となるのがOYQ-201掃海艇情報処理装置(Mine Countermeasures Data System: MCDS)である。これはすがしま型で搭載されたイギリス製のNAUTIS-Mに範をとって、一部を除き国産化されたものであり、S-10操作用コンソール、機雷探知機用コンソール、CIC指揮官用コンソール、艦橋コンソール、および司令部CICコンソールにより構成されている。S-10等武器管制機能のほか、航海情報管理、また対機雷戦計画・評価支援機能を備えている[3]。
機雷探知機としてはZQS-4が搭載される。すがしま型では可変深度式の2093型が採用されたが、本型では従来通りの船底装備式とされた。これは水中航走式機雷掃討具S-10が機雷探知機としての機能を備え、探知最適深度で運用されるために海面付近の比較的浅い部分が死角となりやすいことから、これを補完して運用するためのものであった。また作戦海域海底の事前調査用としてはサイドスキャン・ソナー4型が搭載される。うわじま型で搭載された2型と比べて、クライン5500の採用によってマルチビーム化したことで、より高速(倍以上)での捜索を可能としている。
機雷掃討
掃討具としては、新規開発された水中航走式機雷掃討具S-10を搭載している。これは従来の機雷探知機・可変深度ソナー・機雷処分具の機能を兼ね備えて、探知・類別・処分の全工程を実施できる自己完結型システムとなっており、アメリカのMk.60 CAPTORや旧ソ連のPMT-1などホーミング機雷に対して、その攻撃範囲外からの処分を可能としている。
機雷掃海
係維掃海具
海上自衛隊の中型掃海艇(MSC)では、戦後初の国産艇である昭和28年度計画艇(あただ型・「やしろ」)以後、長年にわたって53式普通掃海具(O型)を搭載してきた。しかし本型では、51年ぶりの新型機として小型係維掃海具1型が搭載される。これは53式O型の浅深度掃海性能を落とさずに軽量化・省力化したものである。
係維索の切断手法としては従来の歯型カッターにかえて爆破型カッターを採用して低速域での切断能力を向上し、また展開器を吊下する曳航浮標にはGPSを搭載して、MCDSと連動することで掃海海面の把握を可能にしている。
感応掃海具
感応機雷に対する掃海具としては、従来の磁気掃海具と音響掃海具を統合した感応掃海具1型が搭載される。その信号モードとしては、従来通りのMSM(マイン・セッティング・モード: 機雷の調定感度等を推定して、それに適合させた信号を流す)に加えて、TEM(ターゲット・エミュレーション・モード: 艦船の磁気・音響シグネチャーを模倣した信号を流す)が実装された。
ただしTEM機能については、予算等の事情から1番艇では後日装備となり、2番艇以降の搭載となっている
2009年12月8日、長崎県沖で墜落した第22航空隊SH-60Jヘリの捜索に参加。
2011年3月11日、発生した東日本大震災の災害派遣に参加。
同年7月14日から7月26日、陸奥湾で掃海特別訓練に参加。
2012年2月1日から2月8日、伊勢湾で対機雷戦訓練に参加。
同年11月17日から11月30日、日向灘で機雷掃海訓練に参加。
2014年2月1日から2月8日、伊勢湾で平成25年度機雷戦訓練に参加。
2016年2月1日から2月10日、伊勢湾で平成27年度機雷戦訓練に参加。
2017年2月1日から2月10日、伊勢湾で平成28年度機雷戦訓練に参加。機雷戦訓練終了後、佐世保に帰投中の2月12日午前8時45分頃、室戸岬の南方約10kmで甲板作業中の乗員が海中に転落し、行方不明となった。呉地方総監部と高知海上保安部の艦船30隻超と航空機で捜索したが発見に至らず、一ヶ月後に捜索は打ち切られた。
やくしま
基本情報
建造所 USC京浜事業所
運用者 海上自衛隊
艦種 掃海艇(中型掃海艇)
級名 ひらしま型
母港 佐世保
所属 掃海隊群第2掃海隊
艦歴
発注 2005年
起工 2006年5月17日
進水 2007年9月26日
就役 2009年3月6日
要目
排水量 基準 570トン
満載 650トン
長さ 57 メートル (187 ft)
幅 9.8メートル (32 ft)
深さ 4.4メートル (14 ft)
吃水 3.0メートル (9.8 ft)
機関 CODOE方式
主機 三菱6NMUディーゼルエンジン × 2基
補助電動機 × 2基
出力 2,200馬力
推進器 スクリュープロペラ × 2軸
速力 14 ノット (26 km/h)
乗員 48人
兵装 JM61-M 20mm多銃身機銃 × 1門
搭載艇 4.9m型複合作業艇 × 1隻
ジェミニ・ディンギー処分艇 × 1隻
C4ISTAR OYQ-201 掃海艇情報処理装置
レーダー OPS-39 対水上捜索用
ソナー ZQS-4 機雷探知機
サイドスキャンソーナー4型
その他 水中航走式機雷掃討具S-10 一式
小型係維掃海具1型一式
感応掃海具1型 一式