ジェット燃料(JP-5 ケロシン系のジェット燃料)米海兵隊
航空燃料(こうくうねんりょう)は、航空機の動力に使用される石油系の燃料である。一般的に、車や暖房に使用される燃料より高品質な物が利用される。添加剤として、酸化防止剤、金属不活性化剤、凍結防止剤や、その他の添加剤を加えることが認められている。
ジェット燃料(ジェットねんりょう、英: Jet fuel)は、航空用のジェットエンジンに使用する燃料である。JIS規格においては航空タービン燃料油と呼称する。
ジェット燃料は天然の原油を精製して得られる成分を主体に構成し、市販されている灯油やガソリンに幾分近い性質を備える。原油由来の炭化水素であるパラフィン属やナフテン属が主成分であり、これに芳香属やオレフィン属が加わり、さらに水、金属成分、硫黄成分などの不純物を除去する。その他に添加剤を加えてジェット燃料を構成する。
ジェット燃料は国連番号1863 (タービンエンジン用航空燃料) 第3分類 引火性液体 包装等級I、II、IIIの危険物に分類されている。
含まれる留分成分により「ケロシン系」と「ワイドカット系」の2つに大別される。原油からの常圧蒸留の過程で得られる留分の内、ケロシン系はほぼ灯油留分から作られるのに対して、ワイドカット系は灯油留分に加えて、さらに比重が軽くガソリンの元ともなる重質ナフサ留分と軽質ナフサ留分が含まれる。
ケロシン系の燃料で一般的なものは JET A-1 (別名: AVTUR、aviation turbine fuel) と軍用規格のJP-8である。市販されている灯油とほぼ同じような主成分を持つが、要求される環境条件や添加剤や不純物に関する規格が民間用の灯油に比べて厳しく、市販のガソリンよりも高価格である。
ワイドカット系の燃料でよく用いられるものは JET B である。これは軍用規格のJP-4と同一である。JET Bは比重が軽く、低温・高空での着火性が良いことが特徴で、極低温地域において使用される。
多くの国で灯油や軽油とは異なる税金が課せられており、日本では給油した航空機の所有者又は使用者が後日申告により航空機燃料税を納付する。
基本的にジェットエンジン(ターボプロップエンジン・ターボシャフトエンジンなども含む)用の燃料であるが、灯油に近い性質を持ち航空用ガソリンより安価であるうえ、現代の実用航空機で主流のジェット燃料を流用するため、それらが使えるように調整された航空用ディーゼルエンジンも存在する。逆に、たとえばアメリカ軍では補給の効率化のため、ガスタービンエンジンやディーゼルエンジンを搭載した車両の燃料としても使用している。
JP-5
アメリカで開発されたケロシン系のジェット燃料で、航空母艦での安全な保管のために引火点が140°Fにまで高められているほか、常温でのリード蒸気圧はゼロである。米海軍、米海兵隊のほか、海上自衛隊を含む西側同盟国の海軍で陸上機や艦載ヘリコプターの燃料として使われている。
比重: 0.788-0.845 (60 °F)、真発熱量: 18,300 BTU/lb、全硫黄分: 0.40 重量%、煙点: 最小20 mm
MIL規格:MIL-PRF-5624S、NATOコードF-44。