タフト(TAFT)とは、ダイハツ工業が生産・販売しているクロスオーバーSUV (CUV) タイプの軽自動車(2代目)及び、過去に生産・販売していたジープ(ヘビーデューティー)タイプの普通商用車(初代)である。タフト登場以前の四輪駆動車市場には、トヨタ・ランドクルーザー、日産・パトロール、三菱・ジープといった普通車と、軽自動車のスズキ・ジムニーがあり、その中間を埋める車種として1974年に販売が開始された。1998年改定の軽規格より若干小さいボディサイズ(ただし1974年7月から1976年7月末まで生産された前期型のみ)に、ラダーフレームと、4輪リーフリジッドアクスルのサスペンションのシャーシを備えた本格的四輪駆動車である。エンジンは当初排気量1,000ccのガソリンエンジンのみであったが、後に自社製の2.500ccディーゼルエンジンと、トヨタとの業務提携により、トヨタ製1,600ccガソリンエンジンを追加、さらに最終モデルではディーゼルエンジンの排気量が2,800ccまで拡大された。軽いボディと相まってパワフルな走りをみせた。トランスミッションはフロアシフトの4速MTのみ。トランスファーは副変速機付で、リアセンタースルータイプのパートタイム4WDである。
ホイールベースは1種類、ボディは2ドアのみで、幌タイプに鉄板ドアと幌ドアの2タイプ、バンタイプ、そして幌の代わりにFRPのハードトップを装備したレジントップの4タイプの設定。海外にはピックアップトラックもあった。1980年にはトヨタ自動車にブリザードの名前でOEM供給を開始。OEMではあるがエンジンの設定が異なっており、ブリザードは2.2Lのトヨタ製L型ディーゼルのみで、ガソリンエンジンやダイハツ製エンジンは無い。1984年にフルモデルチェンジされ、車名もラガーに変更される(海外向けは、アジアなどはタフトを継続使用、欧州はロッキーへと変更、英国ではフォートラックを継続使用)。2020年に開催された東京オートサロン2020内で発表された軽クロスオーバーSUVのコンセプトモデルの名称としてタフトの名前が復活、その後2020年6月10日に発売が開始された。
車名の由来
Tough & Almighty Four-wheel Touring vehicle (粘り強く、あらゆる用途に使用出来る四輪駆動車の意味)の頭文字を取ったもの。 2代目はTough & Almighty Fun Toolの頭文字を取ったもの。
海外名は「ワイルドキャット」。(WILDCAT)
2019年10月24日 - 第46回東京モーターショーにコンセプトカー「WakuWaku(ワクワク)」を参考出品。
2020年
1月10日 - 東京オートサロン2020にて「WakuWaku」をベースにした市販化に向けたコンセプトカー「TAFTコンセプト」を世界初出展。"TAFT"の名称としては約36年ぶりの復活となる。先代がジープタイプの商用車だったのに対し、2代目はクロスオーバーの乗用車で、軽自動車規格となる。
4月1日 - 発売を6月予定とアナウンスし、先行予約を開始したことを発表。
4月20日 - 関連情報をホームページに追加公開したことを発表した。
6月10日 - 公式発表され、発売が開始された。キャッチフレーズは「ジブン、オープン。青空SUV」で、CMキャラクター「タフトン」の声は千鳥の大悟が担当。
外観はスクエアボディとしており、水平基調をベースに分厚いボディ、薄いキャビン、太いセンターピラーで構成され、外径サイズがFF(前輪駆動)軽乗用車最大となる165/65R15の大径タイヤを採用。ヘッドランプやリアコンビネーションランプもスクエア形状で、ヘッドランプはフルLED仕様となる。また、2つのガーニッシュ(フード・バックドア)で構成された「メッキパック」や「ダークメッキパック」がディーラーオプションとして設定される[注釈 1]。ボディカラーは「アースカラー」と呼ばれる「レイクブルーメタリック」、「フォレストグリーンメタリック」、「サンドベージュメタリック」の3色を含む9色を設定。なお、2代目ロッキー設定色である「コンパーノレッド(メーカーオプション)」や「レモンスカッシュクリスタルメタリック」、「スプラッシュブルーメタリック」、「ブラックマイカメタリック」の4色に関してはグレード別設定となる。内装はブラックを基調に、オレンジの差し色を配し、シートにはカモフラージュ柄もあしなわれた。一部グレードではメーカーオプションで「スタイルパック」も設定されており、ブラック塗装の樹脂パーツ(ドアミラーとドアハンドル)とガンメタリック塗装のアルミホイールを組み合わせた「ブラックパック」、ドアアウターハンドルをメッキ、アルミホイールをシルバー塗装とした「クロムパック」、ドアミラーカバー・ドアアウターハンドル・スチールホイールをホワイト塗装とした「ホワイトパック」の3種類が設定される。
前席上には「スカイフィールトップ」と呼ばれる大型ガラスルーフが設置されており、スーパーUV&IRカットガラスを採用。開閉式のシェードも備えている。リアシートは倒す際にシートバックと荷室が段差なくつながり、ドアパネルの隙間が無くなることで完全フラット化するスペースが現われ、フレキシブルボードの使い方を変えることで背が高いものや大きなものも積載可能となる。リアシートバックボードとデッキボード表面には立体形状パターンが施される。
「DNGA[注釈 3]」によるプラットフォームや軽量高剛性ボディ「Dモノコック」も採用。最低地上高を高めの190mmに設定し、アプローチアングルを27°、ディパーチャーアングルを58°としたほか、ぬかるんだ道や凹凸の多い路面でタイヤが空転したとき、空転した車輪に制動力を掛けることで空転を抑制し、もう片輪に駆動力を伝えることでタイヤのグリップ状態を保ち、発進や加速をサポートする「グリップサポート制御」も採用され、悪路操作性にも対応した。
予防安全機能「スマートアシスト」は強化され、約3年半ぶりに一新された新型のステレオカメラを採用し、衝突回避支援ブレーキ機能の対応速度を引き上げるとともに、夜間の歩行者検知に対応。路側逸脱警報機能やふらつき警報機能の追加、標識認識に最高速度と一時停止を追加したほか、全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)には停車保持機能が追加された。
ダイハツ車では初となる電動パーキングブレーキが全車に標準装備されており、センターコンソールトレイ手前にあるスイッチの操作やシフトをPレンジにする[注釈 4]ことでパーキングブレーキが作動し、アクセルを踏むと自動的に解除される。また、「HOLD」スイッチを押し、システムONの状態にすることで渋滞や信号待ちでブレーキを踏んで停車している時にブレーキペダルから足を離してもブレーキを保持するオートブレーキホールド機能も備えている。
「つないでサポート」・「見えるドライブ」・「見えるマイカー」・「つないでケア」で構成された「ダイハツコネクトサービス」、車内Wi-Fiサービス「ダイハツWi-Fi」、スマホアプリ連携の3つのサービスで構成された「ダイハツコネクト」に対応[注釈 5]。メーカーオプションのスマホ連携ディスプレイオーディオは9インチに加え、TV機能(フルセグ+ワンセグ)非搭載の6.8インチも設定され、Apple CarPlayに加えてAndroid Autoにも対応した。
全車WLTCモードによる排出ガスや燃料消費率に対応(2WD車はJC08モードによる燃料消費率も併記)しており、NA車は「平成30年排出ガス基準75%低減レベル(☆☆☆☆☆)」、ターボ車は「同50%低減レベル(☆☆☆☆)」認定を取得。さらに、2WD車はNA車・ターボ車問わず2020年度燃費基準を達成している。
グレード体系は「X」「G」「Gターボ」の3グレードで、「X」はUVカットガラス(フロントドア)、マルチインフォメーションディスプレイ、AHB(オートハイビーム)、15インチスチールホイール(ブラック塗装・センターキャップ付)などを装備した普及グレード。「G」はルーフレール、LEDフォグランプ、運転席/助手席シートヒーター、タコメーター、リバース連動リアワイパー、ウェルカムドアロック解除[注釈 6]、D assist切替ステアリングスイッチ、15インチアルミホイールなどが追加され、フロントドアガラスがスーパーUV&IRカットに、ステアリングホイール(メッキオーナメント・シルバー加飾付)が革巻に、インパネセンターシフトが本革(メッキボタン/メッキ加飾付)に、マルチインフォメーションディスプレイがTFTカラーに、AHBがADB(アダプティブドライビングビーム)にグレードアップした上級グレード。「Gターボ」はパックオプションの「スマートクルーズパック」が標準装備となり、15インチアルミホイールをガンメタリック塗装としたターボエンジン及び「D-CVT」搭載の最上級グレードとなる。
7月10日 - 発売後1ヶ月の累計受注台数が月販目標台数(4,000台)の4.5倍となる約18,000台となったことが発表された。
ダイハツ・タフト(2代目)
LA900S/LA910S型
販売期間 2020年6月10日 -
乗車定員 4名
ボディタイプ 5ドアクロスオーバーSUV
エンジン KF-DE型 0.66L 直列3気筒 DOHC 自然吸気
KF-DET型 0.66L 直列3気筒 DOHC ICターボ
駆動方式 前輪駆動/四輪駆動
変速機 無段変速機
サスペンション 前:マクファーソンストラット
後:トーションビーム
全長 3,395mm
全幅 1,475mm
全高 1,630mm
ホイールベース 2,460mm
車両重量 830 - 890kg
先代 ダイハツ・キャストアクティバ
プラットフォーム DNGA-Aプラットフォーム