明治4年〜明治7年、石川啄木の父・一禎も小僧としてこの寺で修行しています(後に玉山村の常光寺住職に)。
当時の曹洞宗では、戒律が厳しく、僧侶の妻帯が許されなかったため、妹のカツが身の回りの世話をすることになって龍谷寺に入り、結果、石川一禎とカツが結ばれることになったのです。
明治37年1月8日、啄木は友人・阿部修一郎の姉・梅子の葬儀に参列のため龍谷寺に赴き、妻となる堀合節子に出会ってもいます。
その日の午後、姉(田村サダ)の家で夜8時過ぎまで節子と語り合い、将来を約束。
つまり啄木の両親、啄木自身と2代にわたっての縁結びとなったのが龍谷寺というわけなのです。
龍谷寺は、寛永7年(1618年)の開山で、境内には、国の天然記念物「モリオカシダレ」もあり、例年4月中旬~下旬に花を咲かせています。
石川啄木の友人で、国語辞典の編纂で有名な金田一京助(きんだいちきょうすけ=啄木は金田一京助に何度も金を借りています)の墓もあります(雑司ヶ谷霊園にも墓があり、故郷の龍谷寺には分骨)。
二人の関係は『啄木鳥探偵處』(きつつきたんていどころ/伊井圭のミステリ小説)がアニメ化されて、注目されています。
少年時代の石川啄木が学校の窓から逃げ出して読書したという盛岡城(不来方城二の丸)からは、徒歩20分。
三ッ石神社から徒歩5分。
中学時代の宮澤賢治が下宿していた徳玄寺からは、徒歩3分。
龍谷寺境内にある白色のシダレザクラ(モリオカシダレ)は、大正9年(1920)に国の天然記念物調査委員の三好学博士によって発見されたサクラの新種。幹・葉・花の外形がソメイヨシノに似ているが、枝が垂れていること、成長した葉の裏側や子房、花柱がほとんど無毛であること、花の色が白いことが特徴で、幹から直接花を咲かせる姿などは、ソメイヨシノとは異なる美しさがある。国指定天然記念物。
岩手県
盛岡市名須川町
指定年月日:19360903
管理団体名:史跡名勝天然記念物
外觀普通ノ枝水櫻ニ似タレドモ之ト異リテ蕚ハ殆ンド無毛ナリ珍稀ナル櫻ノ一種ニシテ盛岡地方ニ特有ナルモノナリ
交通アクセス (盛岡駅からバスで12分