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九七式中戦車

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第9連隊所属の57mm砲搭載型。

九七式中戦車 チハは、1930年代中頃に開発され、1938年(昭和13年)に制式化された、大日本帝国陸軍の戦車(中戦車)。
1938年(昭和13年)から1944年(昭和19年)にかけて総計2,123両が生産され、九五式軽戦車 ハ号とともに第二次大戦における日本軍の戦車の主力として運用された。

各国陸軍が採用する戦車の多くがガソリンエンジンだった時代に、空冷ディーゼルエンジンを搭載していることが大きな特徴である。ディーゼルエンジンは燃料に揮発性の高いガソリンでなく軽油を使用するため、爆発的な火災発生の危険が少なく、また高いオクタン価のガソリンの入手に制限があるなど燃料事情が悪い当時としては、ガソリンを必要としないことは調達・補給の上で非常に有利であった。さらに空冷方式の採用については、想定戦場である満州において「水冷する方式は冷却水の補充や凍結による故障の心配があるので、空冷式を採用することができれば理想的である」と見做され、また、冷却よりもエンジン起動時の保温のほうがむしろ課題であったという経緯があった。しかし空冷ディーゼル方式でガソリンエンジンと同等の出力を得るには大型化せざるを得ず、車体全体に対する機関部の占有率がその分大きくなる欠点もあった。


車体前方右寄りに砲塔が設置され、主砲として九七式五糎七戦車砲(口径57mm)を、機関銃は九七式車載重機関銃(口径7.7mm)を砲塔後部と車体前方に搭載した。本車の出現当時の外国製戦車(初期のIII号戦車やBT-5など)と比較して装甲厚や主砲口径などは同程度であるが、もともと対戦車戦闘能力を主眼にした設計ではなく、その想定した敵は37mm級の対戦車砲や歩兵砲、機関銃を装備した歩兵及び陣地であり、その後の重装甲・重武装化した新型戦車には対応することが難しかった。主砲である九七式五糎七戦車砲は、八九式中戦車の九〇式五糎七戦車砲の改良型で、同砲と弾薬筒は共通である[3]。戦訓により不備とされた面の多くが改良されたが、榴弾威力及び装甲貫通力の面で威力向上は考慮されなかった。通常交戦距離で九四式三十七粍砲の射撃に耐えられることを基準とした装甲(最大25mm)は計画策定時は十分と看做されたものであったが、日中戦争(支那事変)における中国国民党軍が装備したPaK 35/36やソ連軍の19-K 45mm対戦車砲によって、容易に貫通撃破されてしまった。このように太平洋戦争(大東亜戦争)以前の敵対戦車砲・戦車との戦いで問題点が指摘されながら、防御力に関しては十分な改善は行われなかった。


とはいえ、日中戦争における中国国民党軍やゲリラは対戦車砲や戦車、野砲や山砲など強力な対戦車兵器の保有数が極めて少なく、これらの敵に対して本車など日本軍の戦車・装甲車は有効な兵器であった。また、太平洋戦争緒戦の各南方作戦では、マレー作戦を筆頭に自動車化歩兵・砲兵・工兵・航空部隊との協同戦である電撃戦が行われ、連合国軍が強力な装甲戦闘車両を数多く保有していなかったこともあり活躍している。
しかし、歩兵直協が本来の目的であるため対戦車戦では本車は不利であり、ビルマ攻略戦における局地戦で対峙したM3軽戦車との戦車戦では苦戦を強いられた。一方、1937年には既に主砲を対戦車攻撃能力に優れた物に換装する改良計画があり、一式四十七粍戦車砲(口径47mm)に換装した車両(俗称・通称「九七式中戦車改」「新砲塔チハ」)が開発された。この新砲塔車は1942年(昭和17年)4月、フィリピン攻略戦における追撃戦に実戦投入され、戦車第7連隊に編入された同車を装備する松岡隊がM3軽戦車3両撃破の戦果を残している。以降、九七式五糎七戦車砲搭載型に代わり一式四十七粍戦車砲搭載型の量産が進められ、M3軽戦車には対抗できるようになったものの、戦争中盤からアメリカ軍は75mm砲を装備したM4中戦車を投入したため、その後の対戦車戦では苦戦を強いられた。
歩兵戦車としては、登場時は列強の戦車と比べても標準的な性能であったが、資金難・生産力・輸送手段・運用課題等の問題に重ね、第二次大戦においては航空戦力の増備に重点が置かれたことなどから後継車両に恵まれず、本車が旧式化した後も使い続けざるを得なくなり、また想定していなかった対戦車戦にも用いられたことで苦戦を強いられた戦車である。本車の場合のみならず、アメリカ・イギリスと比較して資源が不足し技術力に劣り、自動車産業の発展に出遅れていた当時の日本では、自動車生産力の弱点が後の兵器開発に深く影響を及ぼす事になった。

全長 5.55 m
車体長 5.52 m
全幅 2.33 m
全高 2.23 m
重量 自重14.3t 全備重量15.0t(57mm砲搭載型)
自重14.8t 全備重量15.8t(47mm砲搭載型、新砲塔)
懸架方式 独立懸架および
シーソー式連動懸架
速度 38 km/h
行動距離 210 km
主砲 九七式五糎七戦車砲(口径57mm、18.4口径)
ないし
一式四十七粍戦車砲(口径47mm、48口径)
副武装 九七式車載重機関銃(口径7.7mm)×2
装甲 前面25 mm、側面25 mm〜20 mm
後面20mm、上面10mm、底面8mm。防盾50?。
エンジン 三菱SA一二二〇〇VD
空冷V型12気筒ディーゼル
150 hp/1,500 rpm
170 hp/2,000 rpm 
排気量21,720cc
乗員 4 名


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