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DD16形ディーゼル機関車304号機

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製造年:1983年 最終配置箇所:金沢総合車両所
大糸線で運用された除雪車。本来300番台はラッセルヘッドを機関車本体の前後に連結するスタイルだが、扇形庫の長さの関係で本体とラッセルヘッド1両のみが保存された。


国鉄DD16形ディーゼル機関車
DD16形ディーゼル機関車(DD16がたディーゼルきかんしゃ)は、1971年(昭和46年)に登場した日本国有鉄道(国鉄)の小型液体式ディーゼル機関車である。

ローカル線(簡易線)機関車の無煙化を目的として、1971年から1975年(昭和50年)にかけて国鉄長野工場(現・長野総合車両センター)・日本車輌製造・川崎重工業大阪工場で65両が製造された。

当時、国鉄はディーゼル機関車による無煙化を進めていた。しかし、軌道構造の弱い線区では軸重が12 tに制限されているので、DD13形やDE10形は入線できないか、たとえ入線できても大幅な速度制限を受けたため、蒸気機関車のC12形やC56形が依然として運用される結果になった。そこで、これらの線区に残存した蒸気機関車の置き換え用として開発されたのが本形式である。

搭載されている機器はDD51形、DD13形、DE10形等と同一のものか、もしくは使用されているものを多少改造して搭載した。これは、既存の使用実績のある機器を採用することによって製造費の低減や部品共通化、保守共通化による保守費の抑制を目論むとともに、現場への導入をしやすくしたものである。

構造
車体はDE10形をさらに短くした凸型の外観をしている。エンジンを搭載する側のボンネットが長く、運転室が中心からずれたセミセンターキャブのデザインとし、車体や台車等の軽量化によって運転整備重量48 t(軸重12 t)を実現している。

車両の一端に大型のエンジンを載せているが、その反対側に重量物を設置してバランスを取ることができないため、運転室を車端に寄せるとともにその床下に燃料タンクを配置し、短いほうのボンネットの中は機器室として機関予熱器、蓄電池箱、制御器箱などを収めて軸重不均衡への対策としている。

台車はDD13形85号以降で用いられたDT113を軽量化したDT113Hを採用した。エンジンは出力不足の初期不調が相次いだDD51形1-19号機に搭載されていたエンジンを載せ替えて余った狭幅クランク軸受けのDML61S機関の出力を1,000 PSから800 PSに落とした上で再活用、またはDD51形20号機以降と同じインタークーラー付のDML61Z機関の出力を1,100 PSから800 PSに落とした上で搭載している。液体変速機はDD51形と同じDW2Aであるが、使用線区の最高速度等の面から減速比を大きくして搭載した。DW2Aは出力軸を1方向または2方向に出すことが選択可能な設計で、DD51形ではこのうち1軸を使用し1台車を駆動、本形式では2軸を使用し2台車を駆動する。

なお、投入路線の輸送規模や運用形態も勘案して非重連仕様とされ、簡易線の旅客列車は気動車に置き換えられていたことから基本的には旅客列車での使用は考慮せず、列車暖房用蒸気発生装置 (SG) も搭載されていない。空気ブレーキ装置はセルフラップ式でDE10形とほとんど同じであるが、非重連形であるので、重連用の機器を取り外して使用している。2基ある運転席はDE10形をモデルとした左側マスコンハンドル、右側ブレーキハンドルの操作系であるが、ローカル線での長時間運行も考慮して、操作卓左側が途中から45度手前に折れ曲がった準L字形の本線入換折衷型ともいえる運転台を採用し、乗務員が前方を向きやすいような配慮がなされている。


300番台
1979年から1983年にかけて、飯山線および大糸線用として、2・5・4・13号の4両が両端に脱着式の単線用ラッセル式除雪ヘッドを取り付け可能なタイプに改造され、それぞれ301 - 304号として300番台に区分された。ラッセルヘッドは、DD15形のようにラッセル装置を機関車本体に取り付けると軸重が過大となり、またDE15形の着脱式ラッセルヘッドも軸重が13 tと簡易線乗り入れ規格を上回っていたため、ラッセル車キ100形を近代化させたような新設計のボギー式ラッセルヘッド車両を別途製作し、これを機関車本体の前後に連結する方式を採用した。これにより、全長は約36 mにも達する。なお、300番台への改造に際し、ラッセルヘッドから機関車本体を遠隔制御するための改造もあわせて行われ、車端部に制御回路を引き通すジャンパ栓が増設された。
最後まで稼働していたのは、富山地域鉄道部富山運転センター所属の304号機(糸魚川運転センター常駐)であった。304号機は単線仕様であり、大糸線糸魚川駅 - 南小谷駅間の除雪を担当していた。304号機は2015年をもって廃車となり、同年8月に津山まなびの鉄道館に収蔵された。


運用
投入時はC12形・C11形やC56形を置き換えて地方ローカル線の無煙化に貢献したが、1970年代後半から国鉄ではローカル線の貨物輸送廃止を推し進めたため、次第に使用線区も減少していった。そして1982年11月15日国鉄ダイヤ改正以降から、本形式しか入線できない簡易線規格のローカル線の廃線・第三セクター化が進められ、用途を失ってしまった。また、入換などについても軽軸重仕様が仇となって、専用機関車と比較すると空転しやすい(重量のある貨物列車を引っ張るので入れ替えでは軸重の重いほうが有利になる)上に、操車場自体の縮小および廃止が進められたため、他のディーゼル機関車と同様に大半の車両が国鉄分割民営化で新会社に継承されることなく廃車となった。

JRへの承継は北海道旅客鉄道(JR北海道)1両、東日本旅客鉄道(JR東日本)4両、西日本旅客鉄道(JR西日本)3両、九州旅客鉄道(JR九州)2両の10両のみに留まったが、300番台は用途の特殊性から4両全車が継承された。

2021年10月現在、車籍のある車両はJR東日本長野総合車両センター所属の11号機のみとなった。工事列車や臨時列車の牽引に使用されていた。2019年10月5日 - 10月6日には臨時列車「飯山線開通90周年号」の牽引を行った。2021年10月23日には、飯山線豊野~飯山間が10月20日に開業100周年を迎えることを記念し、飯山駅の材料線で有料撮影会が行われた。その後、老朽化や運用の減少により解体する方針であると公表し、2021年12月27日付で廃車となった。これにより、当形式はJRでは廃形式となった。

同型機
入換用として、DD16形の同型機を使用している工場や専用線が存在する。


DD16形ディーゼル機関車
基本情報
運用者 日本国有鉄道
製造年 1971年 - 1975年
製造数 65両
消滅 2021年12月27日
主要諸元
軸配置 B-B
軌間 1,067 mm
全長 11,840 mm
全幅 2,805 mm
全高 3,925 mm
機関車重量 48.0 t
台車 DT113H
軸重 12.0 t
動力伝達方式 液体式
機関 V型12気筒ディーゼル機関
61,070 cc
DML61S / DML61Z
変速機 DW2A
最高運転速度 75 km/h
定格出力 800 PS / 1,330 rpm
最大引張力 14,400 kgf

 


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