保線とは、鉄道や軌道の線路の保守を行うことをいう。鉄道(軌道も含む)の線路は、重量のある列車が走行するうちに寸法の狂い、磨耗が生じる。これを放置しておくと乗り心地や走行安定が悪くなり、酷くなると脱線の原因になるため、定期的に保守を行い、規定の状態を維持することで安全性を保つ。この一連の流れを保線という。なお、保線作業に用いる資材や車両を留置させておく基地を「保線基地」「保守基地」「基地線」などという。
鉄製トロ(ホッパー車)バラストを輸送して散布するトロッコ。15t積み。標準積載量 9㎥ けん引速度 40?/h 製造:株式会社 高萩製作所
線路を検査点検し、不良箇所の判断判定を行って修繕計画を立てて、材料等を購入運搬し、修繕作業を行う。主な作業は、軌道の狂い(軌間・通り・高低・水準・平面性等)の修正、レールの交換、バラスト(砂利)の入れ替え、踏切の修繕、枕木の交換、犬釘やボルト、絶縁材などの交換などがあげられる。
広義には、直接の軌道設備以外にも、信号設備や架線など電車線路(電路)関係、トンネル壁面、橋梁の保守まで含まれる。
保線は重労働が多く、作業の様子から、日本国有鉄道(国鉄)は保線区の浴場を「鍛冶湯」と呼んでいた。現在でも重労働は残るが、以前と比較するとかなり機械化されてきている。
軌道の高低を直す作業(むら直し)を例に挙げると、かつてはビーター(ツルハシの片方が平べったく、先が扇状になっている物)を用いて、枕木の周囲のバラストを掻き出した後、ビーターで枕木の下にバラストを詰め込むことで整正していた。今では電動式のタイタンパーの振動でバラストを枕木の下に詰め込むことで整正している。工事区間が長い場合は、大型重機にタイタンパーを取り付けた特殊車両や、マルチプルタイタンパーが出動する。ただしこれらを使用する際は保守用車・軌陸車の使用手続きと、その操縦者、場合によっては誘導員も手配する必要があるなど手間がかかるため、基本的にはタイタンパーを使用する例が多い。
レール交換など大規模な保線作業開始前には線路閉鎖等の手続きをとる。このため輸送指令などに保線作業実施についての報告・連絡などを行う線路閉鎖責任者が必要である。また線路閉鎖の手続きをしないで列車を運行しながら保線作業を実施する場合もあり、この場合は列車見張員を配置し作業員の安全を確保している。列車見張員はダイヤ確認と目視による現物確認を基本とするが、補助的に無線式列車接近警報装置を使う場合もある。また、カーブ等で見通しが悪く作業現場から接近する列車の目視確認が困難な場合は、中継の見張り員を配置して、列車接近時に安全な退避距離を確保することが求められている。
待避不良による運転支障事故や触車事故防止のため、列車が作業現場を通過する5分前もしくは列車接近時には、列車見張員の笛の吹鳴と警告歓呼により作業員は一斉に作業をやめ、安全地帯(建築限界外)に待避する。その際に線路内に作業道具など列車の運行に支障するものが残っていないか確認を行う。退避が完了すると見張り員は旗を掲げる、もしくは旗を振り(夜間の場合は照明を使用)、作業員は片手を水平(会社によっては斜め上)に伸ばしながら列車を注視する(列車を確認し、待避が完了していることを運転士に知らせるため)。通過する列車は、見張り員の退避完了の合図を確認した時点で、警笛を一声吹鳴する。列車の編成が完全に通過し、安全であることを確認した後、作業に戻る(見張り員の動作等は各鉄道会社により取扱が違う)。
堀川工機?モーターカー(牽引車):レール・バラスト・枕木などを現場に運ぶためのトロッコを牽引する機械です。保守、点検に用いられ、資材を積んだ小型貨車を牽引する場合もある。編成化された小型貨車の先頭に遠隔操縦用の運転台を設け、プッシュプル運転が可能な車両も存在する。車体は警戒色として黄色に塗装されている場合が多い。
堀川工機?
本社:〒104-0061東京都中央区銀座一丁目19番1号
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創業 1959年(昭和34年)12月
資本金 1100万円
事業内容 多用途作業車両等の設計、製作、販売
上記の保守・整備に関わる業務