ケ220形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道省に在籍した、特殊狭軌線用タンク式蒸気機関車です。JR四国宇和島駅前に、宇和島鉄道1号機関車のレプリカが展示されています。
宇和島駅前に展示されているレプリカ
元は、宇和島鉄道(後の宇和島線、現在の四国旅客鉄道予土線の一部)に所属した機関車で、1913年(大正2年)に3両、1922年(大正11年)および1924年(大正13年)に各1両の計5両がドイツのオーレンシュタイン・ウント・コッペルで製造された。宇和島鉄道では、1 - 3, 5, 6と称したが、1933年(昭和8年)8月1日の国有化にともない国有鉄道籍となり、ケ220形(ケ220 - ケ224)と改番された。製造番号は、1913年製が5826 - 5828、1922年製が9846、1924年製が10838です。メーカーのリストによれば、もう1両(製造番号10886)が、宇和島鉄道に納入されたことになっているが、この機関車は、三蟠鉄道に納入予定だったものを、宇和島鉄道が先取りしたのを補充するため、取扱い商社が追加注文したものです。
形態は、新設計50PS形と称する車軸配置0-6-0(B)型9.6トン級ウェルタンク機関車で、固定軸距は1,400mm(700+700mm)である。本形式の炭庫は、オリジナルでは運転台前方の張り出しにあるが、後天的な改造により、運転台後方に炭庫の張り出しを設けています。
国有化後は、宇和島線の1,067mm軌間への改軌工事に8年余りかかったため、1941年(昭和16年)まで宇和島線にとどまった。改軌工事の完成後は、佐世保鉄道を買収した松浦線に移されています。最初に転属したのは、1937年(昭和12年)4月30日付けのケ222で、後の4両は1941年5月15日付けで転属しています。これらは、世知原支区に配置され、松浦線の改軌が完成する1944年(昭和19年)6月まで主力機として使用された。ケ224を除いて同年7月に廃車され、解体されたが、ケ224の廃車は1946年(昭和21年)12月17日まで持ち越され、佐々機関区で保管されていました。同機は、1948年(昭和23年)3月以降に遠州鉄道に譲渡され、奥山線で1956年(昭和31年)まで使用されました。同線での番号は9(後年C1907に改番)でした。
全長:5,492mm
全高:2,914mm
軌間:762mm
車軸配置:0-6-0(C)
動輪直径:600mm
弁装置:ワルシャート式
シリンダー(直径×行程):210mm×300mm
ボイラー圧力:12.3kg/cm²
火格子面積:0.40m²
全伝熱面積:18.4m²
機関車運転整備重量:9.7t
水タンク容量:0.90m³
燃料積載量:0.4t
機関車性能
シリンダ引張力:2,320kg
ブレーキ方式:手ブレーキ(後年、蒸気ブレーキを追設)