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アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦 6番艦 DDG-56John S. McCain

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アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦(英語: Arleigh Burke-class destroyer)は、アメリカ海軍のミサイル駆逐艦の艦級。イージスシステムを搭載したイージス艦であり、海上自衛隊が保有するこんごう型・あたご型護衛艦のベースとなった艦でもある。

アメリカ海軍のミサイル駆逐艦。イージス・システムおよびトマホーク武器システムを搭載しており、元来はイージス艦として防空艦の任務を想定していたが、戦略環境の変化に伴い、現在では、海賊の取り締まりやトマホークによる対地攻撃など、様々な任務を遂行している。
高価なイージス・システム搭載艦ではあるが、効率的な設計により、実に60隻以上にも及ぶ大量建造を実現した。なお、これは、第二次世界大戦後にアメリカ海軍が建造した水上戦闘艦としては最多である。
本級は継続的な改良を続けており、イージス・システムによる優れた防空能力、トマホーク巡航ミサイルによる対地精密攻撃能力に加え、後期建造艦では多目的ヘリコプターを搭載、さらに現在ではミサイル防衛能力も保有しつつあり、あらゆる種類の戦闘に対応できる優秀な戦闘艦となった。
なお、2005年にスプルーアンス級駆逐艦が退役したため、アメリカ海軍が保有する駆逐艦は本級のみである。

アーレイ・バーク級は、実際に建造されたものとしては初めて、開発時からイージスシステムの搭載が考慮された艦である。初のイージス艦であるタイコンデロガ級は、開発費低減のため、先行するスプルーアンス級の設計をもとにしてイージスシステムを搭載しなければならないという制約があり、どうしても機関の位置などの都合からレーダーが前後に分けられてしまうなど無駄が多く、その分重量が増えてしまった。
それに対してアーレイ・バーク級では、まずレーダーの配置を決めてから各種設計をおこなっていったため無駄が少なくすみ、レーダー自体も理想的な位置への配置が可能となった。またレーダーを一つにまとめたおかげで、レーダー自体の若干の小型軽量化ということにもなった。


アーレイ・バーク級は建造費削減のために配管などの部分をスプルーアンス級と共通にしたり、内火艇を廃止して7メートル級複合艇を搭載するなどの工夫をしている。イージスシステム関連の重量の問題から各所で軽量化に気を配っており、例えば投揚錨装置は主錨、副錨、揚錨機各1基という同規模の艦に比べて貧弱なものになっている。これは、海上自衛隊では、2,000トン程度の小型艦(乙型護衛艦 (DE))でのみ用いられる方式である。また、艦の安定性に重要な役割を果たすフィンスタビライザーも装備していない。
その一方、中等コンセプト艦として、残存性にも十分な配慮がなされており、ベルナップ級ミサイル巡洋艦「ベルナップ」の衝突事故において、火災によってアルミ製の上部構造物が大損害を受けた教訓から、上部構造物は全鋼製となっている。さらに、戦後型駆逐艦としては初めて要所に装甲を施しており、70トン(一説では130トン)におよぶケブラー装甲が搭載されている。
また、残存性向上策の一環として、ステルス性も考慮されている。一番特徴的なのはマストで、従来までの骨組みが剥き出しの伝統的なラティスマストではなく、平面を組み合わせた新型のマストとなっている。そのほかにも全体的に平面で構成するなど各所にステルス性への工夫が見て取れる。
なお、検討段階では実際に建造されたずんぐりむっくりの船体とほっそりした船体の二案が検討され、いずれも一長一短で甲乙つけがたかったために、最終的にコイントスで決定されたという冗談のようなエピソードがある。その後建造されたイージス艦が基本的に本艦をタイプシップとしていることから、ある意味1枚のコインが現代軍艦の歴史を決めたとも言える。

アーレイ・バーク級のコンセプトにおいて、その主要な戦闘システムは、イージス武器システム (AWS)とトマホーク武器システム (TWS)の2つである。イージス武器システムは卓越した防空能力を実現する「盾」、トマホーク武器システムは攻勢的な対地攻撃力を実現する「矛」と位置づけられる。
また、対潜戦闘システムとしてAN/SQQ-89統合対潜システムと軽多用途航空システム (LAMPS)の複合システム、近距離での対空・対水上戦闘を目的とした砲熕兵器システムとして艦載近距離防空システム Mk 15およびMk 34砲兵器システムなどが搭載されており、これらが連接・統合されて、本級の戦闘システムは構築されている。
イージス武器システム (AWS)
本級の対空戦闘システムであり、また指揮決定および武器管制の中核となるのがイージス武器システム (AWS)である。本級の搭載するあらゆる戦闘システムは、イージス武器システムの戦術情報処理装置である指揮決定システム(C&D)および武器管制システム(WCS)に連接されている。
SPY-1レーダー
「ピンクニー」のAN/SPY-1
アーレイ・バーク級の外見上で最大の特徴は、艦橋周辺に貼り付けられた4基のAN/SPY-1フェーズドアレイレーダーである。これはイージスシステムの中心であり、その主たるセンサーである。
本級の搭載するSPY-1Dは、タイコンデロガ級に搭載されていたSPY-1AまたはBの改良型で、艦橋構造物に4基すべてをまとめて搭載するなど配置の合理化により、A/B型に比べ小型軽量となっている。最大探知距離は500 km、同時に追尾できる目標数は200以上と言われている。


ミサイル垂直発射システムMk 41
CSSQTにてミサイルの連続発射を行なう「スタレット」
本級のミサイル装備の中心となるのが、ミサイル垂直発射システムMk.41であり、フライトI, IIではmod.2、フライトIIAのうちDDG-79~90ではmod.7、DDG-91以降ではmod.15が搭載されている。前甲板にMk.159発射機(mod.2では29セル、mod.7/15では32セル)、後甲板にMk.158発射機(mod.2では61セル、mod.7/15では64セル)を搭載している。このセル数は、建造当初に最重要視されていた対空戦闘シナリオである、「弾薬再補給前に、各数波よりなるソ連の2回の航空攻撃に対し、空母戦闘群(現 空母打撃群)内の1防空艦として対処する」[5]という状況に対処することを目的に決定された。
Mk.41は、スタンダードミサイルおよびESSMによる対空多目標対処、トマホーク巡航ミサイルによる対地精密集中攻撃、さらには自艦に近接した潜水艦脅威に対する迅速な垂直発射式アスロック(VLA) 発射など、本級の戦闘力の相当部分をつかさどっている。上記のように、冷戦時代には艦隊防空の重要性からスタンダードミサイルを中心に装備していたが、ソ連が崩壊し対艦ミサイルによる攻撃の恐れは低下したため、現在ではスタンダードミサイルの搭載数を減らし、トマホークの搭載数を増やしているといわれる。
当初のフライトI, IIで搭載されたmod.2では、前後それぞれ3セル分のスペースを再装填用クレーンに転用していたが、再装填作業が実用的でないと評価されたことから、フライトIIAのmod.7では廃止され、その分はミサイル・セルによって充足された。またフライトIIAでも、DDG-91以降の艦では、さらにベースラインVII仕様に改良されたmod.15が搭載されるようになっている。
射撃指揮システムMk 99
イージスシステムの対空戦闘において、攻撃の最終段階を担うのが射撃指揮システムMk 99である。Mk 99の一部として、スタンダードミサイルの終末誘導を行なうイルミネーターとして、SPG-62を前部(艦橋構造物上部)に1基、後部に 2基の計3基搭載する。このレーダー1基で4発前後のスタンダードミサイルが誘導可能といわれており、これを3基搭載するアーレイ・バーク級は、12発前後のスタンダードミサイルを同時に誘導できることになる。
トマホーク武器システム (TWS)
「ポーター」後部VLSより発射されるトマホーク
トマホーク武器システムは、長距離の対地集中精密攻撃を担当する武器システムであり、従来は空母や船団などのHVU護衛という守勢的兵種に甘んじてきた水上戦闘艦に、攻勢的兵種としての地歩を付与した本尊である。
TWSは、その性格上、艦上に配置される要素が極めて少ない。例えばAWSにおいては、任務が守勢的なものであり、また多くの場合は急を要するものであるので、攻撃目標の選定は、SPY-1レーダーからの情報をもとに、艦上の戦術情報処理装置およびオペレータが実施する。これに対し、TWSは長射程であり、かつ攻勢的な作戦を実施するため、その攻撃目標の選定は、上級司令部や支援部隊、宇宙監視・通信システムなど、艦外の各種システムからの情報をもとに、艦長の厳格な直率によって実施される。さらに、AWSでは上述したような膨大な装備が必要となるが、TWSで艦上に配置されるのは、トマホーク巡航ミサイル本体と、それを発射するためのMk 41 VLS、攻撃計画策定を実施する洋上計画システム (APS)と、直接に攻撃管制を行なうトマホーク武器管制システム (TWCS)のみである。
TWSは、投射できる火力量そのものは決して多くないとはいえ、極めて高精度の攻撃を実施でき、かつ、攻撃側の人的な損害の恐れが無いため、とくに非対称戦における介入手段として多用される。現在、アメリカの戦闘艦でTWSを搭載する艦としては、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦やロサンゼルス級原子力潜水艦などがあるが、搭載可能なミサイル数および絶対的なユニット数において、本級はもっとも有力なTWS搭載艦であり、従って、TWSは本級の搭載する武器システムとして、極めて重要なものである。
統合対潜システムSQQ-89
Mk 46魚雷を発射するMk 32 短魚雷発射管
本級の対潜戦闘システムは、自艦の対潜戦闘を統括するAN/SQQ-89と、センサーおよび火力投射手段の延長としてのLAMPSという主として2つのシステムによって構成されている。LAMPSはその名称のとおり多目的なシステムであるので、本項ではSQQ-89についてのみ触れることとする。
フライトIおよびフライトIIが搭載するAN/SQQ-89(V)6/9は、
AN/SQS-53C船底装備ソナー
AN/SQR-19曳航ソナー
Mk 116 mod 7対潜攻撃指揮装置
AN/SQQ-28 LAMPS MK IIIソノブイ・データ・リンク装置
によって構成されている。対潜情報処理は、依然として人力に頼る部分が大きいため、SQS-53およびSQR-19の情報は直接にMk116対潜攻撃指揮装置に入力されており、LAMPSが投射したソノブイの情報のみが、SQQ-28によってAWSの戦術情報処理装置に入力された後、Mk116に伝えられている。
Mk 116対潜攻撃指揮装置は、武器管制装置と射撃管制装置の役割を兼ねるものであり、これらの情報をもとに、Mk 32 3連装短魚雷発射管またはMk 41のVLAによる攻撃を管制する。
これらは、スプルーアンス級駆逐艦の搭載システムを踏襲したもので、基本的には外洋における対潜水艦作戦を想定したものであった。しかし冷戦構造の崩壊に伴う戦略状況の変化で、1990年代初頭より、アメリカ海軍は沿海域での作戦を重視したリットラル戦略を採用しつつあり、これに対応して、フライト IIAでは沿海域の浅海での戦闘を重視したAN/SQQ-89(V)10/15を搭載する。このバージョンでは、COTS化が進められるとともに、沿海域では使い勝手の悪いAN/SQR-19曳航ソナーが省かれ、浅海域での情報処理に最適化された。
対水上戦システム
対水上打撃力として、フライトIおよびIIではハープーン対艦ミサイルの4連装発射筒が搭載されていたが、コストと重量の関係から、フライトIIAでは省かれている。ただし、その攻撃管制用のAN/SWG-1 HSCLCSは残されており、必要なら搭載は可能になっている。
また、対水上戦におけるセンサーである対水上レーダーとしてSPS-67(V)3を装備している。なお、通常の航海に用いるレーダーとしてはSPS-64(V)9を使用する。


砲熕兵器システム
主砲として、艦首にMk 45を1門装備する。これはMk 34砲システムの一部であり、その射撃管制は、AN/SPY-1によって行なわれるほか、Mk 46 OSS (光学照準システム)によっても可能である。Mk 45は、それまでの米海軍の5インチ砲が対空射撃を重視していたのに対し、対地・対水上射撃を主眼としている。これは、前任者であるMk 42が高発射速度を追求するあまりに信頼性の低下を招いたことへの反省とされている。また、DDG-81以降は砲身を62口径長に延長し、射程延伸と新型砲弾の使用を可能にしたMk45 Mod4を搭載する。
艦載近距離防空システムとして34番艦までは、艦橋構造物前方と後部SPG-62の後方にMk.15(通称「ファランクス」)を搭載している。これは近距離の航空脅威に対処するための近接防空システムであるが、機動性が向上した短距離艦対空ミサイルであるESSMの実用化に伴って、35番艦以降では装備されなかった。ただし、後部の1基については、後に順次搭載されたほか、57番艦以降は就役時から搭載している。


電子戦システムSLQ-32
アメリカ海軍においては、伝統的に、巡洋艦以上はECM機能を有し、駆逐艦以下はESM機能のみとされていたため、アーレイ・バーク級フライトIにおいては、電子戦システムとして、ESM機能しか有さないSLQ-32(V)2を搭載していた。
しかし、フライトII以降ではECM機能が付加されたSLQ- 32(V)3/SLY-2が搭載されており、フライトIにも順次バックフィットされている。
航空機
上記のトレードオフ分析によって、アーレイ・バーク級のフライトI, IIではヘリコプターの格納庫は省かれたが、飛行甲板と給油機能は持たされており、また、ソノブイからのダウンリンクは受けられるようになっていた。
その後、沿海域戦闘でのヘリコプターの有用性が改めて認識されたことから、フライトII A で、H-60系のヘリコプター2機分の格納庫が設置された。搭載機は、さしあたってはSH-60B LAMPS Mk IIIであるが、将来的にはMH-60R ストライクホークによって代替される予定である。これらは、ソノブイや磁気探知装置、ESMなどのセンサーと、短魚雷や対艦ミサイルなどの攻撃兵器を備えており、艦のセンサーや火力投射手段の三次元的な延長として運用される。

ジョン・S・マケイン (英語: USS John S. McCain, DDG-56) は、アメリカ海軍のミサイル駆逐艦。アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の6番艦。その名を持つ艦としては2隻目。
艦名はアメリカ海軍の提督ジョン・S・マケイン・シニアおよびジョン・S・マケイン・ジュニアに因む。ジョン・S・マケイン・ジュニアは潜水艦ガンネルおよびデンテューダを指揮し、1972年に退役するまで太平洋軍最高司令官を始めとする多くの要職に就いた。ジョン・S・マケイン・シニアは空母レンジャーを指揮し、1944年まで機動部隊の指揮官の役割を果たした。

第7艦隊に所属し、母港は横須賀。ミサイル防衛対応艦船。
2009年6月に、監視していた中華人民共和国の潜水艦が曳航ソナーに接触、これを損傷した。
2012年12月、北朝鮮は「人工衛星」と称する弾道ミサイルの発射を予告する。これに対し米国海軍は黄海に艦艇を展開させ不測の事態に備える。「ジョン・S・マケイン」は「CG-76 シャイロー」と共に先行の2隻に続いて追加派遣され、ミサイル発射予告の初日に当たる12月10日までに当該海域に配備される。他に海上自衛隊からイージス艦3隻、大韓民国海軍から2隻を加えた10隻態勢で臨む。ミサイルは同月12日に発射される。

排水量 満載: 8,362 トン
全長 153.9 m (505 ft)
全幅 20.1 m (66 ft)
吃水 9.4 m (31 ft)
機関 COGAG方式
LM 2500-30ガスタービンエンジン (27,000shp) ×4基
可変ピッチプロペラ(5翔)×2軸
最大速 31ノット
航続距離 4,400 海里(20ノット時)
乗員 士官、兵員 337名
兵装 Mk.45 mod.2 5インチ単装砲 ×1基
Mk.38 25mm単装機関砲 ×2基
Mk.15 20mmCIWS×2基
M2 12.7mm機銃 ×4挺
Mk.41 mod.2 VLS ×90セル
* スタンダードSM-2 SAM
* スタンダードSM-3 ABM
* ESSM 短SAM
* VLA SUM
* トマホークSLCM
などを発射可能
ハープーンSSM 4連装発射筒×2基
Mk.32 3連装短魚雷発射管×2基
艦載機 ヘリコプター甲板のみ, 格納庫なし
C4ISTAR NTDS mod.5 (リンク 11/16)
AWS B/L 5 (Mk.99 GMFCS×3基)
AN/SQQ-89
センサ AN/SPY-1D 多機能レーダー×4面
AN/SPS-67 対水上レーダー×1基
AN/SQS-53C艦首装備ソナー
AN/SQR-19 曳航ソナー
電子戦 AN/SLQ-32(V)2 ESM装置
Mk.36 mod.12 デコイ発射装置
モットー Fortune Favors the Brave

発注 1988年12月13日
起工 1991年9月3日
進水 1992年9月26日
就役 1994年7月2日


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