この救急車は、いわゆる衛生隊等で使用される戦場救急車ではなく、駐屯地内での傷病者を医務室へ運んだり、駐屯地内では処置できない傷病により自衛隊病院や一般の病院へ搬送するなどの場合に使用される。 運用は駐屯地業務隊が行う。写真の救急車はアメリカの軍用救急車にもみられる車体色、トヨタ製で消防署の高規格救急車「ハイメディック」と同じボディを使用しているように見えるが、中身は全然別物であるらしい。駐屯地によっていくつかの種類があるが、トヨタ/ハイエース、ニッサン/キャラバン(ホーミー)をベースにしたものがよく見られる。これらの車種を見てもわかるように、基本的には消防署の救急車に準じているようだ。陸上自衛隊の車体色はオリーブドラブに塗装したものが主流です。
操縦手は駐屯部隊より臨時勤務要員として派遣されている。 駐屯地業務隊が存在していない部隊では、駐屯地の基幹部隊内の業務小隊や管理小隊等の管理業務を行う部隊が運用する。 また、1個中隊程度の小規模部隊は衛生係陸曹がその任を行う
ハイメディック(HIMEDIC)は、トヨタ自動車が発売している高規格救急車である。
現在、日本国内の高規格救急車市場においてトップシェアの車種である。
自衛隊の車両は陸上自衛隊と海上自衛隊がOD色、航空自衛隊は紺色だが、現在は白色の車両も導入されている。
なお、陸上自衛隊衛生科では、手術車・手術準備車・滅菌車・衛生補給車の4台で構成される野外手術システムを所有している。
一般の医療機関などが所有する 2B型救急車と同じ。 車内の主な装備としては、ストレッチャー、酸素ボンベ一式、点滴フック 程度。
その他、患者モニターや除細動器などの医療機器については、必要に応じて搭載される。 消防が運用する高規格救急車と比べると、車内の装備は簡素となっている。
2B型救急車
2(ツー)ベッド型の略。高規格救急車に対して 「標準救急車」、「普通救急車」 等と呼ばれている。自治体消防で救急車として運用が始まった1960年代では、消防車と同じ音のサイレンを装備し、主にトラックをベースにした車両だったが、1970年代からはステーションワゴンをベースにした車両に変わり、サイレンも救急車専用の「ピーポー音」電子サイレンになった。1980年代からは商用ワンボックスカーをベースにした車両になり現在に至る。
一部の消防本部で2B型救急車と共に「準高規格救急車と呼ばれる救急車があるが、「準高規格救急車」という名称・規格は総務省消防庁が正式に定めた規格ではないため、種別は2B型救急車に属する。
ちなみに、病院の救急車や陸・海・空の自衛隊駐屯地・基地で見られる救急車はこの2B型救急車である。高規格救急車の購入補助充実とJA等からの寄贈車が高規格救急車に一本化されたことにともない、消防機関での新規導入は特殊な事情(高規格救急車が入りにくい狭隘路が多いなど)がない限りきわめて少なくなっている。
保安基準は消防車は赤、消防車以外の緊急自動車は全て白、警察や防衛関係などの緊急車は白以外でもよいと定められているが、陸上自衛隊で白を用いるのは警務だけである。
民間が所有する救急車と同様に赤色灯とピーポー音サイレンアンプを装備しており、ジュネーヴ条約に基づき、車体前面、側面、後面、屋根に赤十字標章が描かれている。
(車体正面の左右に 赤十字標章が わざわざ2か所も描かれているのは、視野が狭い狙撃スコープで運転手などが狙われた場合でも 赤十字標章を容易に視認できるようにするための工夫である。)
駐屯地医務室等に1台以上配備されていて、隊員からは親しみを込めて『アンビ』『アンビちゃん』と呼称されている。これは救急車の英語『アンビュランス』から来ているが、自衛隊では拗音の「ュ」が欠けた「アンビランス車」と表記される。