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227系電車(Red Wing) JR西日本直流近郊形電車

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227系電車は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流近郊形電車である。「Red Wing(レッド ウィング)」という車両愛称が付けられている。

2014年(平成26年)時点で広島支社が保有していた電車は、いずれも日本国有鉄道(国鉄)時代に製造された車両であり、従来は近畿圏(アーバンネットワーク)への新車投入で捻出された、比較的若い車両などを転用して置き換えが行われてきた。しかし、経年35年以上の車両が大半を占めるなど老朽化や設備の陳腐化が進み、老朽車両の取り換えが急務とされていた。これを受けて、2013年(平成25年)3月に発表された「中期経営計画2017」で、広島都市圏(広島シティネットワークなど)への新型車両の投入と新保安システムの導入が記されていた。
これらの状況を鑑み、225系などで採用された安全性向上設計を盛り込み、より安全性の高い保安装置などを導入した広島エリア向け新型車両として開発されたのが本系列である。広島地区の在来線に新型電車が投入されるのはJR発足以降初めてで、国鉄時代から通算しても115系3000番台以来32年ぶりになる。そして、2015年3月14日のダイヤ改正により広島地区の在来線で運行を開始した。
2両編成と3両編成があり、最大8両まで編成を構成することで旅客の需要に柔軟に対応できる。原則として従来形式との併結運用は行わない。
2015年9月29日に「“JRシティネットワーク広島”のブランディング(227系電車と路線記号カラーデザイン)」として、2015年度グッドデザイン賞(移動用機器・設備部門)を受賞している。構造:JR西日本が所有する225系や521系3次車で採用された安全性向上のための構造を採用することにより、車内設備や旅客サービスを改善している。車体:材質はステンレス鋼 (SUS301, SUS304) を使用し、321系から採用されているスポット溶接を加えたレーザ連続溶接構造を採用している。ただし、運転台部分は鋼製である。全電動車編成とすることによって、車両構体の共通化によるコスト削減が図られている。
2005年(平成17年)4月25日に発生したJR福知山線脱線事故を受け、列車が衝突した際に運転席周りに比べて相対的に強度を低くした先頭上部が先につぶれることで力を上方へ逃がし、乗客への衝撃と客室の変形を抑える構造(クラッシャブルゾーン、ともえ投げ方式)を225系・521系3次車に引き続いて採用している。このほかにも床・側板・屋根の接合を強固にし、前面方向以外からの衝突に対しても変形を少なくする設計となっている。2編成もしくは3編成連結しての運用も考慮し、常時貫通タイプとしている。
前部標識灯(前照灯)およびフォグランプにはHID、後部標識灯(尾灯)にはLEDが使用されている。前照灯および尾灯の配置は521系3次車に準じている。側窓は225系と同様のレイアウトで3枚構成とされ、中央部は大型のガラスが採用されている。
転落防止幌に関しては、舞子駅で起きた乗客転落事故を踏まえて、従来車で取り付けられていた中間車同士の連結面だけでなく先頭車両同士の連結の場合も考慮し、運転台側面に先頭車間転落防止幌が取り付けられている。
外部表示には新たにフルカラーLED式を採用し、従来では分けられていた列車種別と行先表示を一体化させた。車体塗色:GKデザイン総研広島にデザインの依頼を行い、アーバンネットワークとは違った、広島らしいデザインが考案された。車体塗色は、広島らしさ(広島県木である「もみじ」や広島東洋カープ、厳島神社大鳥居など)と親しみやすさを感じさせる赤をシンボルカラーとしている。車体端部には縦方向の赤太線を配し、2・3両が基本となる編成の短さを強調した。そして、側窓下には赤ストライプを配している。前面貫通扉と側面車端部には「広島シティネットワーク」と新たに制定された愛称「Red Wing」のロゴマークが張り付けられている。

主要機器:321系や225系などで採用された、1車両中に動力台車と付随台車を1台ずつ配置し運転に必要な機器類を1両にまとめて搭載する「0.5Mシステム」と呼ばれる考え方を基本とし、すべての車両が電動車となっている。そのため、全車両に車両制御装置を搭載することを基本とし、クモハ227形には集電装置および空気圧縮機を追加している。
221系以降の設計思想を引き継ぎ、1 - 3位側(海寄り)に空制部品関係を、2 - 4位側(山寄り)に電気部品関係を集中的に配置する。
電源・制御機器:車両制御装置は WPC15A と呼称される。主電動機を制御する主回路部と補機類の電源となる補助電源部(補助電源装置)が一体化したユニットで、IGBT素子を使用した2レベル電圧形PWMインバータである。主回路部はインバータ1基で2基の電動機を制御する、いわゆる1C2M構成のVVVFインバータを搭載する。これに対し補助電源部は三相交流 440 V、75 kVA の容量を有しており、主回路部と同じくIGBTを用いた2レベル電圧形PWMインバータをCVCF制御し、他車の車両制御装置の補助電源部と並列運転を行うことで故障時の編成全体での冗長性を確保する設計である。
空気圧縮機は、除湿装置と一体化した低騒音型スクリュー式 WMH3098-WRC1600 をクモハ227形に搭載する。スクリュー式空気圧縮機は223系2000番台以降などでの採用実績がある。
集電装置はシングルアーム型パンタグラフ WPS28E が採用され、クモハ227形後位寄りに搭載する。バネ上昇式・空気下降式であり、上昇検知装置および電磁カギ外し装置を備える[1]。
主電動機はかご形三相誘導電動機 WMT106A が採用され、各車両に2基搭載する[1]。センサレスベクトル制御を採用し、1時間定格出力は 270 kW に増強されている。定格出力が115系(120 kW)の2倍以上となり、ブレーキ方式に抑速ブレーキ付き回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ WC114 を採用していることから、急勾配区間の鉄道難所である通称「瀬野八」の通過にも支障のない仕様となっている。
空調装置は、新鮮外気導入機能を備えた集約分散式である WAU708B を屋根上に1両あたり2台搭載しており、容量は 20,000 kcal/h 以上である。
車両情報システムとして、321系や225系で実績のあるデジタル転送装置を採用している。基幹伝送速度を10Mbpsから100Mbpsに向上させ、編成内で二重系構成とすることで、将来のさまざまニーズにもソフトで対応することが可能なシステムとなっている。
車両異常挙動検知システムを装備しており、各車の下部に搭載されている車両制御装置の脇にはその表示灯箱が装備されている。
台車:台車は、メンテナンス性の向上および部品共通化の観点から、225系や321系などで実績のある軸箱支持装置が軸梁式のボルスタレス台車とし、軸箱と台車枠との間に軸ダンパが装備されている。車体のロール方向の剛性向上のため、空気ばね間距離を 2,000 mmに拡大し、空気ばね高さを925 mmに低減させた設計は225系や321系と同等である。さらに、空気ばねの自動高さ調整装置の高さ調整棒には、動物などと接触した際の保護ガードを設けることで信頼性の向上を図っている[14]。また、ヨーダンパは準備工事としている。クモハ227形とモハ226形の場合は前位寄りに付随台車、後位寄りに電動台車を装着している。クモハ226形の場合はその逆である。
電動台車は WDT63B と呼称され、基礎ブレーキは踏面ユニットブレーキである。付随台車は中間車(モハ226形)が WTR246F 、先頭車(クモハ227形・クモハ226形)が WTR246G と呼称され、基礎ブレーキは踏面ユニットブレーキ+1軸2枚のディスクブレーキである。加えて、WTR246G にはバネ式駐車ブレーキが備えられている。
運転台:グラスコックピット構造の運転台。運転台計器盤は計器類と表示灯を廃し、タッチパネルの液晶モニターに表示するグラスコックピット構造の計器盤設定器を運転台正面に2台と右側そで部に1台を採用している。JR西日本の在来線車両では当形式が初採用である。主幹制御器は、221系以来実績のあるブレーキとマスコンが別々の横軸ツインレバー型としている。運転台周りの基本的な割り付けは225系に準じているが、ワンマン運転に対応するため運転室の構成の一部を見直している。
前面ガラスには飛散防止フィルムが貼り付けられている。ワイパーは運転士側に予備を含めて2本、助士側に1本、貫通扉に1本の計4本を装備する。
その他装備:保安装置は ATS-SW2 のほか、車両にデータベースを登録する新保安システム ATS-DW を初めて搭載しており、先頭車の運転台寄り(クモハ227形前位寄りおよびクモハ226形後位寄り)の下部にはドア扱い防止対策用のホーム検知センサーが取り付けられている。警笛は、空気笛であるAW-2、AW-5のほか、電子笛が先頭車両床下に搭載されている。
車内:「広島らしさ」をイメージした赤色を基調としたモケットの転換クロスシート
基本構造はアーバンネットワーク地区で運用されている223系・225系と同じシートピッチ 910 mm の転換クロスシートが扉間に5列(扉横は固定式)、車端部(運転台およびトイレ設置部を除く)にロングシート、出入口付近には収納式の補助席が設置されている。座席のモケットは「広島らしさ」をイメージした赤色を基調としたものを使用している。
車内照明はLEDを採用して省エネルギー化の推進を図った。LEDの光を一旦天井面に均一に照らしてから、その反射により室内を照らす間接照明式とすることで、LED照明特有のぎらつきや影を低減させている。
つり革や手すりは大型化され、緊急時につかまりやすく考慮されており、オレンジ色に変更されている。また、手すりの端部を曲線化することにより、乗客が手すりに衝突した時でも衝撃力が集中しないように配慮されている。
バリアフリー新法の施行により、車椅子スペースを先頭車(編成で2箇所)に設置するほか、クモハ226形に設けられるトイレは車椅子対応の大型洋式トイレとなった。客用ドアの室内側には黄色のラインを追加し、鴨居部にはドア開閉ランプを2灯を設置している。ドアエンジンは直動空気式である WTK131 を採用し、新たに開発された戸締め力弱め機能および戸挟み検知機構を備える。ドアチャイムは223系・225系と同じものだが、本系列は半自動時にもドアチャイムが鳴るようになっている。
車内案内表示装置は223系1000番台以降と同様のLED1行タイプのものが、乗降扉の上に1両あたり3箇所の千鳥状に配置されている。アーバンネットワーク管内の一部の車両で採用されているWESTビジョンの設置は見送られた。

形式:2両編成用・3両編成用で番台区分等は行われず、3両編成用は1-、2両編成用は65-の車番が割り当てられ、同番同士で編成が組まれる。クモハ227形 (Mc):上り向き制御電動車。前位寄りに運転台、3位寄りに車椅子スペースを備え、車両制御装置、蓄電池、空気圧縮機、集電装置などを搭載する。クモハ226形 (M'c):下り向き制御電動車。1位寄りに車椅子スペース、2位寄りに身障者対応トイレ、後位寄りに運転台を備え、車両制御装置、蓄電池などを搭載する。
モハ226形 (M'):中間電動車。車両制御装置、蓄電池などを搭載する。
2015年(平成27年)3月14日のダイヤ改正で、呉線「安芸路ライナー」を中心に、同線および山陽本線糸崎駅 - 岩国駅(一部由宇駅[注 6])間で運用を開始。運用開始日にはこの日開業した山陽本線新白島駅と、岩国駅でセレモニーが行われた。2016年(平成28年)4月時点で158両(3両編成(A編成)42本(A01-42)・2両編成(S編成)16本(S01-16))が下関総合車両所広島支所に配置されており、2018年(平成30年)度までに276両(3両編成64本・2両編成42本)を製造し、順次運用を拡大するとしており、2015年(平成27年)10月3日:可部線全線で営業運転を開始。
2016年(平成28年)3月26日:山陽本線福山駅 - 糸崎駅間および由宇駅 - 徳山駅間で営業運転を開始。同時に、山陽本線三原駅 - 岩国駅間及び可部線・呉線では平日昼間時間帯の運用ならびに土休日運転の快速「シティライナー」を227系で統一(土休日日中の各駅停車は旧型車両での運用あり)。

編成 2・3両
(すべての車両が0.5M方式の電動車)
営業最高速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h(準備工事)
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度 3.9 km/h/s(常用最大)
3.9 km/h/s[# 1] / 4.4km/h/s[# 2](非常)
編成定員 408名(3両編成)
259名(2両編成)
車両定員 133名(クモハ227形)
126名(クモハ226形)
149名(モハ226形)
全長 20,000 mm
全幅 2,950 mm
全高 4,085 mm[# 3]
車体長 19,500 mm
19,570 mm(先頭車両)
車体幅 2,950 mm
車体高 3,630 mm
3,680 mm(先頭車両)
車体材質 ステンレス
編成質量 117.8t / 117.9t[# 4](3両編成)
80.7t / 80.8t[# 4](2両編成)
車両質量 40.2t(クモハ227形)
40.5t / 40.6t[# 4](クモハ226形)
37.1t(モハ226形)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500 V (架空電車線方式)
編成出力 3両編成→270 kW×2×3=1,620 kW
2両編成→270 kW×2×2=1,080 kW
主電動機 かご形三相誘導電動機 (WMT106A)
主電動機出力 270 kW
歯車比 1:6.53
駆動装置 WNドライブ
制御装置 2レベルIGBT素子VVVFインバータ(静止形インバータ一体型)
WPC15A (1C2M)
台車 軽量ボルスタレス軸梁式台車(ヨーダンパ準備)
動力台車:WDT63B
付随台車:WTR246F・WTR246G
制動方式 電気指令式(直通・回生〔純電気式〕・抑速・耐雪・駐車ブレーキ付き)
保安装置 ATS-SW2・ATS-DW
列車防護無線装置
EB・TE装置
車両異常挙動検知システム
製造メーカー 川崎重工業車両カンパニー
近畿車輛


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