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F-16 (戦闘機) F-16c(米国空軍)

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F-16は、アメリカ合衆国のジェネラル・ダイナミクス社が開発した第4世代ジェット戦闘機である。愛称はファイティング・ファルコン (Fighting Falcon)。
ジェネラル・ダイナミクス社軍用機部門のロッキード社への売却と、ロッキードのマーティン・マリエッタ併合によるロッキード・マーティンへの改称により、現在はロッキード・マーティン社の製品となっている。

概要
バージニア州フォールズチャーチに本社を置くジェネラル・ダイナミクス社が開発した軽量戦闘機。当初は昼間軽量戦闘機として開発されたが、後に全天候対空/対地攻撃能力を付与された。正式な初飛行は1974年2月2日。大型化したLERXおよび胴体とLERX及び翼を一体で成形するブレンデッドウィングボディを採用し、フライ・バイ・ワイヤを搭載するなど、当時の革新的技術を積極的に取り入れている。初飛行から40年以上経過しているが、段階的な改良が続けられたことにより後発の4.5世代機に引けを取らない能力を維持し続けている。
アメリカ空軍では高性能だが高価なF-15と相対的には安価な本機での「ハイ・ロー・ミックス」運用が行われており、保有作戦機の過半数を占めている。なお多くの導入国では主力戦闘機として運用されている。
4,500機以上製造され、世界20ヵ国以上の空軍が採用した実績からベストセラー戦闘機と評されており、アメリカ製のジェット戦闘機としては約9,000機のF-86、約5,700機のP-80、約5,000機のF-4に次ぐ第4位の生産数を誇る。アメリカ空軍向けの生産は終了し、2012年時点で1,020機あるF-16も2020年代までにF-35Aに入れ替える予定であったがF-35の開発は遅延。2017年4月には、配備期間を2040年以降まで延長する決定がなされた。飛行制限時間は、これまでの8,000時間から12,000時間となる見込み。ロッキード・マーチン社は、C型、D型の機体改造に向けて努力する旨を発表している。
アメリカ以外では新規に採用する国があるため、輸出向けとして改良型の生産が続いており、2012年4月3日にはモロッコ空軍向けのF-16C Block 52アドバンストが4,500機目の納入機として完成した。
本機をベースとした戦闘機、攻撃機、練習機などの派生型が複数開発されている。

基本構造
F-16は当初から、胴体と翼を一体で成型するブレンデッドウィングボディ(BWB)や機体の操縦をコンピュータで補正・制御するフライ・バイ・ワイヤ(FBW)といった革新的技術を取り入れた設計となっていた。
ブレンデッドウィングボディは離着陸時や旋回時など大迎角での飛行の際に、胴体で揚力を発生する効果が大きいため、実質上、主翼面積を増大させたのと同等の効果を持つ。単純に主翼面積を増やした場合は、抗力の増大や回転率低下といった欠点も不可避のものとなるが、これを抑えることができる。また、胴体内容積を大きく取ることができるため、内部構造の簡素化や燃料搭載量増への効果がある。
従来の操縦系では操縦桿やフットペダルと動翼は主系統では油圧、予備系統ではロッドリンクやワイヤーによる機械式であったが、FBWでは一方の端からの入力を電気信号に変換して電線で出力側まで伝送する。これにより、機械的接続なしに操縦席の入力を動翼のアクチュエータに伝えたり、逆に動翼への圧力を操縦席側のサーボモーターによる擬似応答とすることが可能となった。
特にデジタル信号に変換することによりコンピュータによる補正が容易になり、F-16が静安定性緩和(relaxed static stability:RSS)による運動能力向上機(Control Configured Vehicle:CCV)として実現するに至っている。
LERXとブレンデッドウィングボディを持つCCVとすることにより、大きな主翼面積として翼面荷重を低く抑えるという手法を取ることなしに要求される運動性を獲得した。より小さな主翼面積は抗力や突風の影響を抑え、低空域での機動性や安定性、加速力の向上に寄与している。なお、静安定性緩和による水平尾翼の釣合い荷重の軽減に応じた尾翼面積の減少も空気抵抗低減に効果があったが、本格的生産後に判明した対地攻撃時の引き起こし時の不具合に対して30%面積を拡大されている。主翼には、後縁にフラップとエルロンの両方の機能を持つフラッペロンと前縁に前縁フラップが取付けられており、小さい旋回や大迎角での飛行などの空戦時の機動性向上が図られている。また、エア・ブレーキはエンジンノズル付近の両側に取付けられている。
機体の構造材料としてはアルミニウム合金が高い割合を占め、F-100以降にアメリカ戦闘機に広く採用されているチタニウム合金の使用率は2%程度である。F-15の25.8%と比べると10分の1程度であり、価格低減を重視している。一方で複合材料の使用率は4%に達し、F-15の1.2%よりも高い。また、F-15のボロン系に対し、より発展したグラファイト系の複合材料を採用している。
基本構造はA型の時点でほぼ完成しているが、武装やアビオニクスの拡張性が高く、メーカーがアップデートや採用国の要求に合わせた改修を行っている。

エンジン
試作機からBlock 25までの機体は、プラット・アンド・ホイットニー社製のF100を一基搭載していたが、Block 30からは、ゼネラル・エレクトリック社製のF110 の搭載も可能なエンジンベイとなった[35]。
機体下面に装備され、外見上の目立つ特徴となっているエアインテークは遷音速域での効率に重点を置いた固定式となっており、軽量な機体に高出力のエンジンでありながらも最高速度をマッハ2に留めている。LWFは遷音速域で起こる格闘戦を目的としてマッハ2以上の最高速度の要求がなかったため、ジェネラル・ダイナミクスでは、最高速度をマッハ2.2とする可動式エアインテークを装備した場合と最高速度をマッハ2程度とした固定式エアインテークを比較すると、超音速領域の最高速度と余剰推進力を除いた同一条件要素において固定式エアインテークの方が優れているとした結果である。

武装
M61A1 20mmバルカン砲を固定武装とし、主翼先端部や主翼下にAIM-120 AMRAAMやAIM-9を搭載可能。これに加え、無誘導爆弾やクラスター爆弾、レーザー誘導爆弾、ロケット弾などを搭載できる。

愛称
愛称は、当初「マスタングII」や「コンドル」も検討されていたが、空軍士官学校でマスコットに使用されているファルコン(隼)と決定した。しかし、航空機の商標としては『ファルコン』がダッソーのビジネスジェットダッソー ファルコンに使われているため、訴訟を避ける目的で、ファイティング・ファルコン(Fighting Falcon:戦う隼)と言う名称が制定されている。米空軍のパイロットや整備員の間での非公式な愛称として、宇宙空母ギャラクティカ オリジナルシリーズに由来する「バイパー」や「エレクトリックジェット」と言う名称も使用されている。
非公式名称の一つの「バイパー」はインド向けに提案されていたF-16INの現地公式名称として、メーカー側でも使用していた。


運用
当初格闘戦のための軽量戦闘機として開発されたにもかかわらず、対地攻撃に使用できる十分な対地攻撃能力を兼ね備えた結果「スウィング・ロール」や「スウィングファイター」と呼ばれた。近年、この種の機体はマルチロール機と呼ばれている。
低速・低空での運動性が良好であることから湾岸戦争前の時点で派生機のA-16がA-10の後継の座をA-7FやAV-8Bと争っていたが、湾岸戦争での実績に対する再評価によりA-10を延命改修した上で2028年まで使用した後、F-16ともどもF-35で更新するという決着となっている[41]。
低速・低空での運動性が良好という特性により無改造で高度な曲技飛行が可能なため、アメリカ軍ではサンダーバーズ(空軍)やPACAF F-16 Demo Team(太平洋空軍)で曲技機として使用されている。
2014年9月9日、F-16Dにおいて飛行後の点検時にロンジロン(縦通材の中で最も強度が高い部分)にクラックが見つかり緊急点検を実施したところ、82機で亀裂の発生が確認された。該当機は飛行が停止され現在ロッキード・マーティンと協力して修理方法を開発中である。なお該当の機体は平均機齢が24年、5,500飛行時間以上である。

F-15は1960年代後半から1970年代末にかけてのインフレにより高価になり、アメリカ空軍でも当初計画されていた配備済のF-4全機をF-15と発展型で置き換える事ができなかったため、F-16を並行配備して作戦機数を確保している。
低い高度での任務が主軸となる対地攻撃任務は制空任務より損耗率が大きいため、高価なF-15が制空任務専門に充てられたのに対し、相対的に安価なF-16は制空・対地の双方の任務に用いられ、フランスのミラージュ2000などとともに小型・軽量ながら現代の本格的なマルチロールファイターの先駆けとなった。
F-15系列機に対する対地攻撃任務面の長所として、軽量小型でかつCCV設計の採用によって空気抵抗が小さく、高度300m以下での低高度での機動が上回っている点もあげられている。しかしその一方で、兵器の搭載量に関してはF-15には及ばない。
アメリカ空軍をはじめ多くの国で運用中であるが、2020年代からはF-35 ライトニングIIへの更新が進むとされる。ただしアメリカ空軍はF-16を2025年まで運用できるよう改修しており、また、アラブ首長国連邦など最新型を運用している国では2025年以降も運用されることが予想される。
F-16は日本のF-2の原型になっている。

F-16C/D
Block 25
1984年から配備開始。第二段階のMSIP(中核電子機器、コックピット、機体フレームの変更)によるA/B型の能力向上型。エンジンはF100-PW-220に、レーダーはAN/APG-68に換装し、コックピットには2基の多機能ディスプレイや広角HUD(在来型の視野角度10°に対し15°)が搭載され、AIM-7の運用能力を得た。搭載機器の変更により垂直尾翼基部の厚みが増し前方に延長され、機体構造の改良により機体後部のパネルラインが以前の機体と変わっている[87]。なお、新造機を採用したのはアメリカ空軍のみ。


Block 30/32
1987年から配備開始。リスク軽減を目的としたAFE[88]プログラムにより、F-15Eと共通のエンジンベイを使用した型で、従来までのF100に加えてF110 (F110-GE-100) エンジンが搭載可能になった。この型以降、ブロックナンバーの下1桁は搭載するエンジンを表し、「0」がF110搭載型、がF100搭載型となる。F110を搭載したBlock 30後期生産型(86-0262以降)からはエアインテークを拡大したMCID(モジュラー・コモン・インレット・ダクト、通称「ビッグ・マウス」) に変更(これに対し従来のエアインテークはNSID:ノーマル・ショック・インレット・ダクトと呼ばれる)してエンジンの吸気効率を改善し、カタログスペックから低下していた低中高度のエンジン出力を改善した。以降のモデルでもエンジンノズル形状の違いとともにF110搭載機とF100搭載機の識別点となっている。他にはエアインテーク部にRCS軽減処理を行い、在来型よりレーダー捕捉を困難にした。
後にAIM-120の運用能力を得た機体はBlock 30B/32Bとも呼ばれる。その後さらにAGM-45 シュライクおよびAGM-88 HARM対レーダーミサイルの運用能力も加えられ、ワイルド・ウィーゼル任務にも使用可能になった(この能力を本格的に持つのは後述するBlock 5Xになってからである)。


F-16C Block 25
全幅:9.45m
全長:15.03m
全高:5.09m
翼面積:27.87m²
自重:8.27t
最大離陸重量:19.19t
発動機:プラット・アンド・ホイットニー F100-PW-220(A/B使用時 10,809kg)1基
RCS:約2m²
FCS:AN/APG-68[104]
レーダー警戒装置:ALR-69[注釈 7]
燃料搭載量:
最大速度:マッハ2.02
上昇率:15,240m/m
実用上昇限度:15,240m
離陸滑走距離:260m
着陸滑走距離:600m
最大搭載量:7,070kg
航続距離:4,200km
乗員:1名
機体寿命(各種派生型共通):4,000時間
F-16C Block 40 (F-16CG)
全幅:10.00m(翼端AAM含む)
全長:15.03m
全高:5.09m
翼面積:27.9m²
空虚重量:8,627kg
全備重量:10,780kg
最大離陸重量
制空任務:12,331kg
最大装備:19,187kg
発動機:ゼネラル・エレクトリック F110-GE-100(A/B使用時 128.9kN)1基
FCS:AN/APG-68(V)[104]
レーダー警戒装置:ALR-69もしくはALR-56[227]
燃料搭載量:3,896L(機内搭載)+1,402L×2(増槽)
最大速度:マッハ2.0 (2,414km/h)
実用上昇限度:15,240m
機外搭載量:5,443kg
戦闘行動半径
Hi-Lo-Hi:740nm
Hi-Lo-Lo-Hi:340nm
迎撃任務:710nm
航続距離:2,000nm
乗員:1名
F-16C Block 50 (F-16CJ)
全幅:9.45m
全長:15.04m
全高:5.09m
翼面積:27.9m²
自重:8,270kg
全備重量:12,000kg
最大離陸重量:19,190kg
発動機:ゼネラル・エレクトリック F110-GE-129(A/B使用時(13,340kg)1基
推力重量比:0.69
FCS:AN/APG-68(V)5,(V)9
レーダー警戒装置:ALR-56M[228]
最大速度:マッハ2.0
上昇率 : 15,240m/min
実用上昇限度:15,240m
翼面荷重:687.7kg/m²
翼福加重:236.9kg/m²
最大搭載量:7,070kg
戦闘行動半径 : 1,760km
航続距離 : 3,980km
乗員:1名

 

 

 

 

 

 

 


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