大阪府都市開発7000系電車(おおさかふとしかいはつ7000けいでんしゃ)は、大阪府都市開発(現在の泉北高速鉄道)が保有する通勤形電車の1形式である。
老朽化した100系の置き換えを目的として、1996年に登場した。
制御装置にはIGBT素子のVVVFインバータ制御装置を搭載し、台車はボルスタレス台車を装備。パンタグラフには新たにシングルアーム式のものを採用した。
車体は川崎重工業製のアルミ合金製で、全体的に丸みを帯びたデザインとなっている。前面には両開きのプラグ式外扉を装備した自動併結式の貫通扉を設置し、柔軟に編成を組成できるようになっている(この構造を活かして平日朝の10両編成にも運用されていた)。営業運転開始直前に先頭車側面の濃青のラインの窓下部分に「SEMBOKU」のロゴを貼り付けた(既存の3000系・5000系にもこの時から車体に「SEMBOKU」のロゴが付けられた)。
また、関西国際空港開港に備えて南海電鉄が車両限界を拡大したことにより、5000系よりも車体幅が最大で約10cm大きくなっており、裾絞りのある車体断面となった。
7505編成以降と旧7511編成は、側面の車両番号表記がプレート式から突起式に変更された。
内装
5000系の内装を基本とし、座席仕切りにスタンションポールを設置するとともに、棚をパイプ棚に変更した。また、車いす対応スペースが先頭車にも確保されている(各号車の和泉中央・橋本寄りのドア(4番ドア)付近)。 案内表示器は5000系と同型のLED式を採用。スクロールの速さは5000系と比べて少し速くなった。登場時の座席モケットは5000系と同様だったが、7020系(後述)の登場と同時に新デザインのものに交換された。
7000系 車内
本系列の運用をさらに柔軟にするため、2005年に当時4両編成だった7511編成の先頭車を改造し、2両編成の増結車として登場した。改造に伴い、車体番号が7511-7512から7551-7752に改番され、7512を改造した7752は制御車から制御電動車となった。なお、パンタグラフは制御車の7551に装備されている。これは7020系2両編成についても同様である。
この改造によって余った中間車2両は7509編成に組み込まれ、同編成は6連化された。車体番号は7006が7202, 7106が7602(電動車から付随車化)となった。そのため7106の電装品を廃棄せずにそのまま7752に提供した。
編成
1996年から1998年にかけて3回に亘って製造され、2017年3月現在、6両編成が2編成、4両編成が3編成、2両編成(50番台)が1編成の計26両が在籍・運行している。 4両編成は7020系と併結することもある。
7020系
車齢約30年に達していた3000系初期車両を置き換えるために、2007年より製造されている、大阪府都市開発(泉北高速鉄道)では11年ぶりの新形式である。川崎重工業が製造を引き続き担当した。 既存の7000系をベースに、細部の設計変更などを施している。
前面は両開きのプラグ式外扉が廃止され、幌が剥き出しとなった。 標識灯は在来車に近い位置に設置されたが、四角いタイプの単独型となった。従来車では前照灯は腰部に標識灯とともにライトケースに収められた状態で存在したが、これを上部の種別表示器・行先表示器の隣に配置し、HIDを採用した。
VVVFインバータ制御装置は7000系の3Lv-IGBTから純電気ブレーキ対応の2Lv-IGBTに変更された。
価格は6両1編成で9億円(1両あたり約1億5千万円)である。
1次車の6両1編成は、2007年2月下旬に陸送にて搬入し、同月28日までに光明池検車区での搬入作業を完了した。3月6日より試運転が行われ、4月30日より営業運転を開始。2次車は2008年3月に2両・4両・6両各1編成の計12両を製造、陸送にて搬入し、それぞれの試運転終了後、3月31日より順次営業運転を開始した。
内装
車内は従来車をベースとしているが、こちらも各所に改良が加えられている。変更内容は以下の通り。
1人あたりの座席幅を従来の440mmから460mmへと拡大。
乗務員室の仕切りを350mm客室側に移動し、乗務員室長を2000mmに拡大。
スタンションポールを7人掛け座席中間部にも追加設置。
乗降扉を外部は塗装を施された従来の方式とし、室内部の化粧板を廃止。
難燃性基準の改正により樹脂製の蛍光灯カバーを廃止、蛍光灯本数の削減。
ラインデリア整風板を両端の角に丸みがあるものに変更。
つり革吊手を丸形(○)から三角形(△)に変更。
混雑時の対策として出入口扉付近につり手を追加、2種類から3種類の高さのつり手を設置。優先座席側を従来の白色からオレンジ色に変更。
座席モケットを模様入りの紫に近いものに、優先座席のモケットの色は従来のグレーからオレンジ色に変更。
車内の座席仕切りを大型のもの(内側のくぼみがない直線的なスタイル)に変更。
窓ガラスをブロンズ色から濃緑色に変更し、新たにUVカットガラスを採用。
車内案内装置を従来のLED式から液晶ディスプレイ式のものに変更。表示は小田急4000形などに近いが、次駅にフリ仮名が併記された仕様になっている。
従来のLEDと同じドア上の千鳥式配置で、現在は案内用の1台のみ設置されているが、2画面対応の準備工事も施されている。走行中にその液晶ディスプレイを見ながら、駅ホームの階段・エレベーター・エスカレーターの位置や車両の停車ポジションなども一目でわかるようになっている。また、実際に乗って座っていながらにしてどの付近を走っているかを把握できるようになり、過去に新幹線0系電車や国鉄151系電車で一時的に採用され、以後あまり出現しなかった列車位置表示器がその液晶ディスプレイと兼用される形で実質上復活した。
編成
2017年3月現在、6両編成が2編成、4両編成が1編成、2両編成が1編成の計18両が在籍・運行している。 4両編成は7000系と併結することもある。唯一4両編成の7525Fの難波寄りの幌出しは、2014年には撤去されており、7525Fは必ず1~4号車に入る。撤去前は、10両編成では必ず泉北寄りの7~10号車に入っていた。 なお、7000系と7020系は貫通路のサイズが異なるため、7020系側にアダプタを取り付けて7000系と併結している。
ラッピング
当系列の一部編成は記念列車・ラッピング電車として運用されている。
パチンコ店ラッピング
車体側面全体に薔薇の柄のラッピングがデザインされており、2009年から2013年6月までは7509編成に、同年7月から2015年2月までは7523編成にそれぞれ施された。
鉄道むすめ「和泉こうみ」ラッピング
2015年4月11日より、「和泉中央駅開業20周年記念イベント」の一環として7521編成に記念ラッピングが施された。
2016年03月15日からは、好評によりデザインを一部リニューアルし、「鉄道むすめ『和泉こうみ』ラッピング電車」として約1年間運転された。
2017年2月からは、スタンプラリー「つなげて!全国鉄道むすめ巡り」の開催により一部仕様を変更し、引き続き約1年間運行される予定。
大型児童館ビッグバン「フロンティア号」ラッピング
2017年より、7509編成に大阪府立大型児童館ビッグバンのキャラクター等をデザインした「フロンティア号」のラッピングが施され、同年10月2日に運行を開始した。
7020系
基本情報
製造所 川崎重工業車両カンパニー
製造年 2007年・2008年
製造数 18両
運用開始 2007年4月30日
主要諸元
軌間 1067 mm
電気方式 直流1500V(架空電車線方式)
最高運転速度 100 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度(非常) 4.0 km/h/s
全長 20825 mm
全幅 2844 mm
全高 4,090 mm
車体材質 アルミニウム合金
台車 モノリンク式ボルスタレス台車
SS-173M・SS-173T・SS-173TC
主電動機 かご形三相誘導電動機
駆動方式 WNドライブ
制御装置 2レベルIGBT-VVVFインバータ
制動装置
回生ブレーキ(純電気式)併用
電気指令式空気ブレーキ
保安装置 ATS-N/ATS-PN