四国まんなか千年ものがたり(しこくまんなかせんねんものがたり)は、四国旅客鉄道(JR四国)が多度津駅 - 大歩危駅間を土讃線経由で2017年より運行している特別急行列車・観光列車である。
伊予灘ものがたりに続く四国で2番目の本格的観光列車として、2017年4月1日より運行を開始した。
「四国まんなか千年ものがたり」は、四国の中央部を走行し、沿線に善通寺や金刀比羅宮、平家落人伝説の祖谷など千年の歴史文化があることから命名された。
コンセプトは「おとなの遊山」。昔、徳島の子ども達は桃の節句などに弁当をもって野山に行く「遊山」と呼ばれる風習があった。その遊山を気軽に楽しめる列車旅として現代風にアレンジしたものが「おとなの遊山」である。車内は「日本のたたずまい」をコンセプトとした和のインテリアとなっており、香川・徳島の地元素材を使用した供食サービス、アテンダントによる観光案内やおもてなし、車窓からは吉野川・大歩危・小歩危の渓谷美が楽しめるようになっている。
多度津駅 - 大歩危駅間が観光列車運行区間に選定された理由として、予讃線の伊予灘沿い区間(愛ある伊予灘線)を走る伊予灘ものがたりが「海」をテーマとしていたため、次の観光列車は「山」「川」としたいと考えていたこと、阿波池田駅 - 大歩危駅間には1997年より「大歩危トロッコ」が運転されていたが、2015年春に琴平駅 - 大歩危駅間を運転する「土讃線秘境トロッコ」にリニューアルしたところ、個人客・団体客とも増加したこと、運転区間が香川県の「香川せとうちアート観光圏」と徳島県の「にし阿波〜剣山・吉野川観光圏」と隣接している2つの観光圏を通っていることから、観光圏をつなぐ観光列車の運行により新たな旅行需要の創出が期待できることがあげられている。
基本的に、毎週金曜・土曜・日曜と祝日に多度津駅 - 大歩危駅間で1往復運行されている。午前に運行する下り列車(多度津発)の愛称は「そらの郷紀行」で、そらの郷とは徳島西部の険しい山岳にある集落とその暮らしのことである。午後の上り列車(大歩危発)の愛称は「しあわせの郷紀行」で、金刀比羅宮のキャッチフレーズ「しあわせさんこんぴらさん」やあたたかい讃岐の里山のイメージなどから名づけられた。
特急列車、かつ全席がグリーン車指定席となっているため、利用には乗車券のほか、特急券・指定席グリーン券が必要である。但し、特急券・指定席グリーン券は琴平駅 - 大歩危駅間を含むことが発売の条件であり、多度津駅 - 琴平駅間のみの利用はできない。また、本列車では特急料金の乗り継ぎ通算制度は適用されない。
食事のサービスを受ける場合は、別途食事予約券が必要である。食事予約券はJR四国のほか、東日本旅客鉄道(JR東日本)・西日本旅客鉄道(JR西日本)・九州旅客鉄道(JR九州)管内のみどりの窓口と一部の大手旅行代理店でも発売する。
停車駅
多度津駅 - 善通寺駅 - 琴平駅 - 大歩危駅
また、以下の駅でも運転停車を行い、駅によってはホームに下りることも可能。
「そらの郷紀行」は、讃岐財田駅・坪尻駅・阿波池田駅・三縄駅。
「しあわせの郷紀行」は、小歩危駅・阿波川口駅・阿波池田駅・坪尻駅・讃岐財田駅・金蔵寺駅。このうち、阿波川口駅ではホームで地元特産品の販売等を行う。
琴平駅には「四国まんなか千年ものがたり」利用者専用の待合室「ラウンジ大樹」があり、食事申し込み者のみウェルカムドリンクが提供される。
使用車両
キハ185系気動車を改造した3両編成が使用される。外観のデザインは四季の移ろいを表現しており、1号車「春萌(はるあかり)の章」は緑色、2号車「夏清(なつすがし)の章」は青色、反対側の「冬清(ふゆすがし)の章」は白色、3号車「秋彩(あきみのり)の章」は赤色を基調としている。車内も「日本のたたずまい」をコンセプトに、各号車ごとの外観デザインと合わせ、徳島県産杉など木材に包まれたインテリアとなっている。
編成
↑大歩危
1号車:キロ185-1001(←キハ185-14) - 定員24名。
2号車;キロ186-1002(←キロ186-4) - 定員11名(グループ席であり、原則3人以上でのみ発売)。このほか、カウンターでは飲食物やお土産などグッズ販売を行っている。
3号車:キロ185-1003(←キハ185-3102) - 定員22名。
185系
概要
種類 特急列車(臨時列車)
現況 運行中
地域 香川県の旗 香川県、徳島県の旗 徳島県
運行開始 2017年4月1日
現運営者 JR logo (shikoku).svg 四国旅客鉄道(JR四国)
路線
起点 多度津駅
終点 大歩危駅
使用路線 JR四国:土讃線
技術
車両 国鉄キハ185系気動車
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
電化 非電化