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JR四国8600系電車(特急しおかぜ)

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JR四国8600系電車
8600系電車(8600けいでんしゃ)は、四国旅客鉄道(JR四国)が2014年(平成26年)6月に営業運転を開始した直流特急形電車

予讃線で使用されている2000系気動車の老朽化に伴い、その置換え用として登場した特急形電車である。JR四国における特急形電車の新製は8000系電車以来21年ぶりであり、開発には、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定の利益剰余金を利用した費用支援が行われており、量産先行車の導入に約10億円が費やされている。
キャッチコピーは「SETOUCHI STREAM EXPRESS」で、8000系電車のキャッチコピー「瀬戸の疾風」を踏襲したものである。
曲線での速度向上のため、車体傾斜制御装置を搭載しているが、本形式では従来2000系気動車・8000系電車で用いられた制御付き自然振子方式ではなく、台車構造の簡素化による省メンテナンス化と、到達時分の短縮の両立を図るために台車枠と車体の間にある左右の空気ばねの内圧を制御して、車体を傾斜させる空気ばね式車体傾斜方式を採用している。


構造
デザインコンセプト
内外装や調度デザインの製作は建築デザインの経験があるJR四国の社員と車両メーカーが共同で行っている。デザインコンセプトは「レトロフューチャー」とし、「ノスタルジックな鉄道車両のイメージを未来特急としてデザイン」している。
車体
エクステリアデザインは、先頭部を蒸気機関車を模したブラックフェイスとし、「列車の力強さ・ダイナミズム」を表現している。車体色はオレンジとグリーンが用いられ、「瀬戸内の温暖な風土」と「穏やかで美しい四国の自然」、「愛媛」と「香川」をイメージし、特急のスピード感を流線(ストリームライン)でなぞらえている。車体下半分はグレーとした。
先頭部はすべて貫通構造であり、貫通扉にはLED式の愛称表示器を装備している。
各客用扉付近には「SHIOKAZE EXPRESS OKAYAMA / MATSUYAMA」・「ISHIZUCHI EXPRESS TAKAMATSU / MATSUYAMA」の文字と各列車のヘッドマークが描かれたステッカーが貼られており、Tc, Tsc車の3位・4位側側面には「SS」・「SETOUCHI STREAM EXPRESS SS8000」のロゴマークがそれぞれ描かれている。
車体はステンレス鋼を用いた溶接組立構造のステンレス車体を採用しており、車体の側面の側構体には、溶接歪による凹凸が少ないレーザ溶接が使用されている。先頭部分の先頭鋼体部は普通鋼製を用いた溶接組立構造である。床面高さは8000系と同様の1105mmである。
また、運転台部分に衝撃吸収構造を採用しており、前面から運転席の乗務員腰掛背面までをサバイバルゾーン、運転席の乗務員腰掛背面から客室扉があるデッキまでをクラッシャブルゾーンとしている。また、Tc, Tsc車後位側には衝撃エネルギーの吸収要素を装備し、確実に機能させるため、車端にアンチクライマを設置している。
客用扉は8000系電車などと同様に各車片側に2つずつ、車端側に設置されているが、本系列ではプラグドアではなく一般的な引戸とされた。また、半自動機能付きで、そのためのドア開閉用ボタンも設置されている。また、車掌や客室乗務員が使用する放送装置は、車外放送が可能となっており、無人駅での集札業務が多いJR四国での地域事情を考慮している。


室内
車両・座席種別ごとに「グリーン(Fresh Green)」・「オレンジ(Shine Orange)」・「茜色(Deep Red)」のアクセントカラーが設定されており、座席色やデッキ部手すり、乗降用ドアの室内側の塗装に反映されている。
また客室にはバリアフリー整備ガイドラインを考慮した設備を導入している。照明にはLED照明を採用している。
車内案内表示器(フルカラーLED式)は客室妻扉上部のほか、普通車半室を指定席とする場合の案内用として客室中央にも設置している。


普通客室
インテリアのコンセプトは「未来を想起させる明るく洗練された車内空間」「先進感の中にナチュラルなぬくもりを感じることができる」インテリアとし、窓下に木質系のテクスチャーを配置している。なお、座席色は車両のインテリアのアクセントカラーに準じ、グリーンとオレンジが存在する。
腰掛は2+2配置の回転式リクライニングシート(座面連動式・可動式枕つき)を980mm間隔で設置している。後述のように、8000系と比較して超過遠心力(横G)の許容値を引き上げて設計しているため、腰掛は着席時の横Gの間隔を緩和するため適度なくぼみを追及し、座席背もたれを高くすることで総合的なホールド感を向上させている。
足元にはフットレストを装備しているほか、肘掛には交流100V用の電源コンセントを備えている。背面テーブルはノートパソコン使用を考慮し、8000系の250mm×380mmから250mm×420mmに拡大されている。また、キャリーバッグなど手荷物の大型化に対応し、航空機の持ち込み可能手荷物の基準を考慮して荷棚を拡大している。


グリーン客室
インテリアは普通車と異なり妻壁を木質系としているほか、じゅうたん敷きの床とすることで「落ち着きのある空間」としている。
Tsc車に半室で設定され、2+1配列の回転式リクライニングシート(可動式枕つき)を1170mm間隔で設置している。普通客室と同様肘掛に電源コンセントを設けているほか、電動レッグレスト・読書灯を設置している。なお、シートモケットはアクセントカラーの茜色にカラフルなドットラインの波形を重ねることで、「瀬戸内海の穏やかな海や豊かな自然」といった「四国の豊潤な自然の恵み」を表現している。


運転台
乗務員室は、列車の分割・併合が容易に行える貫通構造の高運転台構造とし、高速走行時の視界確保と乗務員の安全を確保している。前面窓の運転席側と助士席側にはワイパーが装備されているが、運転席側に補助のワイパーを装備しており、主ワイパーが故障した際にはバックアップとして使用される。
その他設備
Tc・Tsc車に多機能便所・男性用小便所および洗面台、Mc車に通常の洋式便所と男性用小便所を設けている。多目的室はTsc車に設置している。
また、Tc・Tsc車の多機能便所前の通路は立客向けに明かり取り窓とコンセントのついたカウンター(ユーティリティスペース)を設けている。


主要機器
基本的に車両の性能確保を前提としたうえで、既存車両と共通化を図っているほか、新設計された機器も最小限の変更で既存車両に代替品として使用可能としている。
ユニットを組むMc車とTc(Tsc)車の2両に主要機器を分散搭載しており、Mc車にはVVVFインバータなどの主回路機器が、Tc車には集電装置や補助電源装置、空気圧縮機などの補機類が搭載される。
電源・制御機器
主回路制御方式は架線からの直流1,500 VをVVVFインバータで三相交流に変換して交流誘導電動機を制御するVVVFインバータ制御を採用する。
VVVFインバータ装置は S-CS63 と呼称される。IGBT素子を使用した2レベル電圧形PWMインバータ1基で1基の電動機を制御する、いわゆる1C1M構成とすることで故障時に1群ごとの開放が可能となる冗長性の高い設計である。ブレーキ方式は回生・発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用しており、常用ブレーキ、非常ブレーキ、抑速ブレーキ、直通予備ブレーキの4種類を備えている。発電ブレーキ時に使用するブレーキチョッパ装置 S-CH63 と自然冷却式ブレーキ抵抗器 S-MR63 も装備しており、架線への回生負荷がある場合には回生ブレーキを優先させ、常用ブレーキ使用時では0km/h付近まで回生ブレーキを使用できるが、架線への回生負荷が無い場合においての回生失効時には、架線電圧の急上昇を検知して発電ブレーキに切替るようになっている。また、滑走制御機能付きのブレーキ制御装置を台車近傍に装備して車輪のフラット防止を行う。
主電動機は東洋電機製造製の全閉外扇形三相かご形誘導電動機 S-MT63(端子電圧1,100V、電流161A、周波数172Hz、1時間定格出力220kW、定格回転数3,400rpm、効率93.5%[2])を採用する。固定子コイルや回転子周辺への塵埃の侵入を防ぐ事ができ、従来の開放形主電動機と比較して保守性に優れた構造となっている。さらに、外扇ファンによる冷却風が固定子鉄心を直接冷却することで冷却性能に優れている。
補機用・制御用電源として、静止形インバータ S-SIV150M を2基搭載する。そのうちの1基を待機予備とする待機2重系とすることで、冗長性を確保する設計である。
空気圧縮機はSIV出力の三相交流440V 60Hzを電源とする S-MH13-SC1600 を採用し、空気ブレーキや空気ばね式車体傾斜などへの圧縮空気の供給を行う。
冷房装置は集中式 AU721S を各車1基搭載する。停電で電力が絶たれた際にも換気が可能となる機能の他、トンネル進入時にダンパを制御して汚れた空気の流入を防ぎ、機器構成単位ごとのモジュール設計を導入して作業性の向上が特徴である。


集電装置
集電装置は、JR四国の車両としては初めてとなるシングルアーム型パンタグラフ S-PS61 が採用され、Tc・Tsc車後位に搭載する。バネ上昇式・空気下降式であり、電磁カギ外し装置を備える[13]。側面にアーク保護板を取り付けたメタライズドカーボンすり板を採用し、高速走行での追従性向上のためにオイルダンパーを搭載する。車体取付寸法は、8000系電車の(S-PS59)と共通とすることで互換性を持たせている。なお、集電装置取付部の屋根は予讃線の狭小トンネルに対応するため通常部の3560mmから3305mmへ255mm低屋根化されている。
8000系に引き続き、パンタグラフの車体傾斜による架線からの離線や、狭小トンネルでの建築限界への支障を防ぐため、常にパンタグラフが軌道中心を維持するよう、車体側部を通してパンタグラフの取り付け台と台車の間をワイヤーで連結し、パンタグラフの左右の動きを拘束、その取り付け台が屋根上の枕木方向に設置されたガイドレール上を移動する架線追従装置を装備するが、摺動とワイヤーの振れ角を小さくするため、台枠下面でのガイドローラーを省略している。また、台車の旋回・上下動の相対動きを相殺するため、ワイヤーロープ下端を台車に直接固定せず、車体側の中間ハリに接続し、台車のアンチローリング機構により中間ハリと台車が平行を保つ仕組みを設けている。
車体傾斜装置
空気ばね式車体傾斜方式を採用しており、床下に車体傾斜電磁弁箱を各車に2台ずつ装備し、曲線外軌側の空気ばね高さを上げることで最大で2度の車体傾斜が可能である。
車体傾斜制御は、従来の制御付自然振子車両が用いていた地点検知システムを応用したもので、地上の路線データなどをTc(Tsc)車のマイコン(TC装置)に記録しておき、ATS地上子により自車の位置を検知して曲線区間の手前から車体を傾斜させるマップ式を用いている。また、補助としてJR北海道キハ261系などで実績があるジャイロセンサーと加速度計から曲率を求めて加速度計の値が目標値となるまで車体を傾斜させるセンサ式も搭載している。
曲線通過速度は、2000系気動車、8000系電車と同様であり、曲線半径R≧600mにおいては、本則+30km/h、曲線半径600m>R≧400mにおいては、本則+25km/h、曲線半径400m>Rにおいては、本則+20km/hである。ただし、通常の在来線車両では曲線通過時の左右定常加速度0.08Gを目指して設計される[注 5]が、本系列では既存の振子車両と同等の条件で走行するため、着席を前提に新幹線で実績のある0.1Gを許容して設計されている。


台車
台車は、空気ばね式車体傾斜制御付き軸梁式軽量ボルスタレス台車で、電動台車が S-DT66、付随台車が S-TR66と呼称する[11]。
軸ダンパ、上下動・左右動ダンパとヨーダンパを装備している。基礎ブレーキは、付随台車では空圧式のキャリパー式車軸ディスクブレーキ、動力台車では短編成時のブレーキ性能の向上を図るため、油圧式のキャリパー式車輪ディスクブレーキが採用されている。Mc車の前位側の台車とTc(Tsc)車の前位側の台車には端梁を設けて、前者にはATS車上子を、後者にはATS車上子と車体傾斜用の地点検知用車上子を取付けているほか、Tc・Tsc車後位側の台車は、先述の架線追従装置によりパンタグラフ台座と接続されている。
駆動装置はTD継手式平行カルダン方式を採用し、はすば歯車を用いた一段減速式で歯車比は89:16=5.56である。収納する歯車箱は鋳鉄製で、整備性の観点から上下分割方式である。
形式・編成解説
8000系では5両編成と3両編成からなる構成としていたが、本系列ではきめ細かな車両運用を行うため、Mc-Tcでユニットを組む2両編成を基本に、中間にT車を連結した3両編成が可能な構成としている。なお、連結可能な編成数は地上設備側の制約で最大3編成までとなっている。


8600形 (Mc)

2・3両編成の岡山・高松方に組成される制御電動車で、全席普通席。定員56名(41.9t])。インテリアのアクセントカラーはグリーン[8]。
後位車端側車内には、自動販売機・洋式便所・男性便所が設置されている。
8700形 (Tsc)
3両編成の松山方に組成される制御車。グリーン室と普通室の合造車。定員はグリーン室12名、普通室17名の計29名(39.0t)。インテリアのアクセントカラーはグリーン客室のある前位側が茜色、普通客室のある後位側がグリーン[8]。
後位車端部の屋根上にシングルアーム式パンタグラフを設置している。
後位側室内には男性便所・車椅子対応の多機能便所・洗面台・ユーティリティスペース・多目的室を備える。また、車内に車いす対応設備を設けている関係で、後位側デッキの乗降扉と客室妻扉の幅は有効開口900mm以上に拡大されている。また、グリーン車の普通車との仕切り側には荷物置き場を設けている。
8750形 (Tc)2両編成の松山方に組成される制御車。全席普通席。定員45名(38.6t[注 8])。インテリアのアクセントカラーはオレンジ。

後位車端側の屋根上にシングルアーム式パンタグラフを設置している。車内後位側デッキはほぼ8700形と同様であるが、多目的室を設置しないため、洗面台と男性用便所のレイアウトが異なっており、空いたスペースに簡易荷物棚を設置している。
8800形 (T)
本形式唯一の中間車(付随車)で、3両編成の中間に組成される。全席普通席。定員68名(32.1t)。インテリアのアクセントカラーはオレンジ。
便所などの設備は無い。
編成
2両編成・3両編成ともにE編成となっているが、2両編成は10番台として区分されている。

改良・改修
量産先行車による走行試験時に、曲線が連続する区間で元空気溜圧が想定以上に低下する事象が発生した。このため、以下の改良が量産車で行われ、量産先行車についても改修が行われている]。
傾斜を行う曲線の見直しなど、制御を行う区間の見直し
空気タンクを330リットル/両から710リットル/両となるよう増設
台車補助空気室の容量変更(45リットル→35リットル)
この改良に伴い、8600形、8750形では空車重量が量産先行車落成時と量産車とでそれぞれ0.3tずつ増加している。
運用
2016年3月26日のダイヤ改正で、本系列は「しおかぜ」4往復と「いしづち」5往復(うち4往復は宇多津駅 - 松山駅間で「しおかぜ」と併結)に使用され、捻出された8000系電車により「しおかぜ」と「いしづち」に使われている2000系気動車を全て置き換えた。ただし、予備車がないため、一部列車を8000系で代走する場合がある。
また、ゴールデンウィークやお盆などの多客輸送期間は輸送力確保の観点から2両編成で高松駅-宇多津・多度津駅間の短距離輸送に充当される場合がある。

沿革
2014年(平成26年)
2月27日:量産先行車2両編成2本が川崎重工業で落成し、同日から28日にかけて高松貨物ターミナル駅まで甲種輸送。
3月5日:高松運転所で報道公開。翌3月6日付で松山運転所に配置。その後、各路線において基本性能の確認のための走行試験や曲線通過性能の確認とブレーキ試験のための走行試験を実施
6月23日:高松駅 - 松山駅間の特急「いしづち」1往復(103・104号)で営業運転を開始。ただし、車両の試験や検査等の関係から、7月1日以降は原則として水曜・木曜の「いしづち103号」と、火曜・水曜の「いしづち104号」は2000系が代走することとした[4]。
9月:同月末からは車両試験でデータの取得が完了したことから、運休日をなくして平日4両編成、土休日2両編成で運用。
2015年(平成27年)
3月14日:引き続き特急「いしづち」1往復(103・104号)のみで運用するが、2両編成時に輸送力が不足したため、毎日4両編成での運用に変更。
10月7日:量産車2両編成2本、3両編成2本の10両が落成。
2016年(平成28年)
2月6日:この日の「いしづち104号」で当形式で初めて3編成(高松方からE14+E11+E13編成)連結した6両で運転。
3月26日:同日のダイヤ改正より特急「しおかぜ」4往復と「いしづち」5往復(うち4往復は宇多津駅 - 松山駅間で「しおかぜ」と併結)に投入。予讃線電化区間を走行する2000系気動車を置き換え。ただし、これに伴う2000系の廃車は発生しなかった。
8月12日 - 15日:多客時に高松駅 - 多度津駅間で運転された臨時「しまんと」に使用。
2017年(平成29年)
7月13日 - E1編成が山陽本線・伯備線(岡山駅 - 倉敷駅 - 備中高梁駅)で試運転を行う。同年7月14・26・27日にも実施。9月にはE2編成を用いて実施。
同年度中:3両編成1本を増備予定。

基本情報
製造所 川崎重工業車両カンパニー
主要諸元
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500V
(架空電車線方式)
最高運転速度 130 km/h
設計最高速度 140 km/h
起動加速度 2.0 km/h/s
減速度(常用) 5.2 km/h/s
編成定員
3両編成:141名
2両編成:101名
編成重量
3両編成:113.0t
2両編成:80.5t
(いずれも空車)
全長 20,800 mm
全幅 2,840 mm
全高 3,560 mm
車体材質 ステンレス
台車 空気ばね式車体傾斜制御付き軸はり式軽量ボルスタレス台車(ヨーダンパ付)
S-DT66・S-TR66
主電動機 全閉外扇式三相交流誘導電動機
駆動方式 TD平行カルダン駆動方式
編成出力 220kW×4=880kW
制御装置 IGBT素子VVVFインバータ制御
制動装置 回生・発電ブレーキ併用電気指令式ブレーキ
抑速ブレーキ
直通予備ブレーキ
保安装置 ATS-SSⅡ

しおかぜは、四国旅客鉄道(JR四国)および西日本旅客鉄道(JR西日本)が岡山駅 - 今治駅・松山駅を宇野線・本四備讃線・予讃線経由で運行している特急列車である。

山陽新幹線に接続して、岡山市と香川県の西讃・愛媛県の各都市を結ぶJR四国の主力列車である。
1972年3月15日に、それまで運転されていた急行「いよ」を格上げしたことにより、高松駅 - 宇和島駅間で運転を開始した。同時期に運転を開始した「南風」とともに、四国初の特急列車であり、1986年11月1日にエル特急に指定されている。
1988年4月10日に本四備讃線(瀬戸大橋線)が開通に伴って岡山駅発着に変更され、引き続き高松駅を発着する列車は「いしづち」として運転されるようになった。
列車名の由来
瀬戸内海の「海から吹く塩気を含んだ風」である潮風を平仮名表記にしたものである。「しおかぜ」の名称は、1965年から1968年まで、新大阪駅 - 広島駅間を運行する特急の名称として使用された(「山陽本線優等列車沿革」を参照)。また、房総地区の臨時列車にも漢字は異なるが「汐風」が存在していた。
平成期からの運行概況
岡山駅 - 松山駅間で上り13本・下り14本、今治発岡山行きが上り1本運転されている。
運行区間のほとんどが単線区間で列車の増発が困難であることから、今治駅始発の1本を除き、宇多津駅・多度津駅 - 松山駅間で高松駅発着の「いしづち」を併結している。ただし、多客期(大型連休・お盆・年末年始)は一部列車を除いて宇多津駅または多度津駅での増解結作業を行わず、全編成が岡山駅発着の「しおかぜ」として運転される。この場合、高松駅 - 宇多津駅・多度津駅間に接続列車として臨時「いしづち」が運転され、宇多津駅 - 多度津駅間の各停車駅で乗り換えとなる。また、団体客が乗車する場合も同様で、時刻表に載らない場合が多い。逆に、瀬戸大橋が強風で運転を見合わせる場合は、全列車全編成とも高松駅発着となる。
1990年に2000系の量産車が予讃線に投入された頃から岡山駅 - 宇和島駅間を結ぶ直通列車は宇和島発が朝の上り3本、宇和島着が夜の下り2本のみとなり偏った状態だった。予讃線の電化完成当初は、岡山駅 - 宇和島駅間を結ぶ直通列車は宇和島発が朝の上りと宇和島着が夜の下り各1本のみ残されたが、松山駅で2000系同士の乗り換えが1日1回発生し、乗り換え利用時と直通利用時とで特急料金が異なる[注釈 1]ことが利用客から問題視され、一時的に2往復とされた。2011年3月12日からは、再度宇和島発が朝の上りと宇和島着が夜の下り各1本のみに変更された。
2016年3月26日のダイヤ改正で、8600系の「しおかぜ」への新規投入により、使用車両がすべて電車に統一され、特急列車は松山駅で完全に系統分離された。
停車駅
岡山駅 - 児島駅 - 宇多津駅 - 丸亀駅 - 多度津駅 - (詫間駅) - (高瀬駅) - 観音寺駅 - 川之江駅 - 伊予三島駅 - 新居浜駅 - 伊予西条駅 - 壬生川駅 - 今治駅 - (伊予北条駅) - 松山駅( )は一部列車のみ停車。


全列車が松山運転所所属の車両で運転されている。なお、宇野線・本四備讃線では振り子を含む車体傾斜機構は使用しない。


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