北大阪急行電鉄9000形電車(きたおおさかきゅうこうでんてつ9000がたでんしゃ)は、北大阪急行電鉄の通勤形電車である。ポールスター II (POLESTAR II) の愛称がある。
基本情報
製造所 近畿車輛
製造年 2014年 -
製造数 40両(2017年4月現在)
主要諸元
編成 10両編成 (4M6T)
軌間 1,435 mm
電気方式 直流750V第三軌条方式
最高運転速度 70 km/h
設計最高速度 95 km/h
起動加速度 2.8 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
車両定員 先頭車128人 中間車138人
全長 18,200 mm
全幅 2,800 mm
全高 3,745 mm
車体材質 ステンレス鋼
台車 モノリンク式ボルスタレス台車
主電動機 全閉式永久磁石同期電動機
主電動機出力 170kW
歯車比 103:14 (7.357)
編成出力 2720kW
制御装置 IGBT素子VVVFインバータ制御
2020年度開業予定で計画されている新箕面駅(仮称) - 千里中央駅間の路線延長に備えて車両の増備が必要となったため、「お客様への静かなやすらぎ空間の提供とさらなる環境性能の向上」を開発コンセプトに、第1編成が2014年4月28日に、続く第2編成が2015年2月2日に、マイナーチェンジされた第3編成が2016年2月27日に、第4編成が2017年4月28日にそれぞれ営業運転を開始した。
全密閉高効率主電動機、前照灯を含む全ての照明機器をLED化といった最新技術を積極的に採用しつつも、同社で従来から運用されている8000形で採用している木目調の化粧板やゴールデンオリーブ色のシートなど、親会社の阪急電鉄譲りの北大阪急行電鉄の伝統も踏襲している。
機器
主電動機には定格出力170kWの永久磁石同期電動機 (PMSM) を採用している。
制御装置は主回路に2レベルのIGBTを採用し保守性の向上を図っている。
加速度は8000形より落とされて2.8km/h/sであるが、定加速度領域を上げているため、8000形とほぼ同等の所要時分での運転が可能である。また、8000形と異なり、設計最高速度は95km/hとなっている。
外観
8000形ではアルミニウム合金の構体だったが、9000形は2000形以来のステンレスとなり、塗装の必要がなくなった。また、レーザー溶接工法の導入によって、外板と補強材が連続溶接可能となり、従来のスポット溶接より強度向上が図られた。
前照灯にはLEDを搭載し長寿命化を図った。また、前照灯の位置を8000形よりも上部に設置することで、従来よりも照射距離が伸びた。
行先表示器は8000形では方向幕であるが、9000形では前面・側面ともにフルカラーLEDを搭載している。ただし、大阪市交通局30000系電車で行っている側面の号車表示は省略されている。
3次車はデザインが大幅に変更された。外観は、緑地公園以北の沿線風景として馴染みがある「竹林」をテーマとし、色彩は沿線の文化的なイメージを重視し、側面上部に「菊炭色」、側面窓周りには濃いマルーン系の地色に竹柄のグラフィックとグラデーションをアレンジし、腰部は8000形「ポールスター」でも馴染みのある「マルーン」・「アイボリー」・「レッド」の3色を組み合わせている。また、先頭部は「マルーン」をベースとした配色でまとめている。
車内
内装
車内は8000形と同様にロングシートが採用され、木目調の化粧板やゴールデンオリーブ色のシートも踏襲されている。従来の車内照明には通勤車両として初めて調色・調光可能なLED照明を導入し、季節や時間帯によるシチュエーションに応じたやすらぎ空間を演出する。8000形からの改良点として、座席の仕切り板の大型化と握り棒の増設、側扉への開閉予告ランプの設置、ドアチャイムの自動化、車いすスペースの大型化が行われている。第3編成から、車内を出来るだけ広く見せるために、座席中間のスタンションポールを取り、荷棚の先端をつかみやすい形状とするなど、設備が一部変更された。
車両間の貫通扉には自動扉を採用しているが、8000形とは異なり扉の外側にある押ボタンを押すことで扉が開く仕組みとなっている。
8000形では8006FにLED式車内案内表示装置が千鳥配列で搭載されているが、9000形では各ドア上にはLCD型車内案内表示装置を搭載しており、15インチのLCD2画面と横長のLCD1画面(コイト電工の「パッとビジョン」)を交互に配置することで全てのドア上に車内案内表示装置を設けている。15インチのLEDは、IPコア「Sesamicro(セサミクロ)」を採用した大阪市営地下鉄30000系とは異なり、「パッとビジョン」に準じた表示内容となっている。
運転台
8000形ではマスコンとブレーキが独立した2ハンドルとなっていたが、9000形では阪急に準じ、御堂筋線を走る車両で唯一ワンハンドルとなっている。
8000形は速度計に大型7セグメントディスプレイが採用されていたが、9000形では一般的な指針式速度計となった。
従来個別に設置していた機器モニタリングシステムと運行情報記録システムを車両モニタ装置として1つに統合することで、機器のスリム化を図った。