RX-8(アールエックス-エイト)は、マツダが製造・販売していたロータリーエンジン搭載のスポーツカーである。2003年3月-2012年6月22日の期間、生産された。車両型式「SE3P」
プラットフォームの型式名はRX-7に引き続くFE型だが、マツダのロータリースポーツ車の新規車種として設計・生産され、2003年に発売が開始された。搭載されるエンジンも、型式こそ従来と変わらない13B型であるが、ポートやハウジングを含めほとんどを新設計された自然吸気型13B-MSP型『RENESIS』(RE+GENESISの造語)を搭載した[要出典]。月間1,000台の販売を計画した。
観音開き4ドア
RX-7の後部座席は「ワンマイルシート」と揶揄されるような補助的なもので、乗員の長距離移動には不向きだったが、RX-8ではアメリカ合衆国などの保険の関係により4ドアがフォード側の絶対条件であったため、大人4人が乗れるパッケージが求められた。しかし、4ドアにすると車体が大きくなり重量も増し、ロータリースポーツの旨みである「軽快さ」がスポイルされてしまうので、前後ドアが観音開きになる「フリースタイルドア」を採用した。後部ドアのアウターパネルは、軽量化のためにアルミ製とされた。後部ドアには、ピラーと呼ばれるボディーの上下を結ぶ骨組みが組み込まれたビルトインピラーを他社に先駆け採用した。これによって開口部拡大による車体の剛性低下を防いでいる。後部ドアのドアノブは室内側にのみ存在し、前部ドアが開くことによって初めて開閉が可能となり、前部ドアが後部ドアをロックする役割も兼ね備えている。後部座席への乗り降りには、フロント側のドアを先に開ける事が必須条件になっている(前席の乗員がいない場合には、前席シートを倒した後で身を乗り出してフロント側ドアを開けることで単独降車は可能であり、助手席側後部座席には、助手席シートを倒すレバーも付いている)。前席のシートベルトは後部ドアに取り付けてある為、後部座席へ乗り降りするためには、前席搭乗者のシートベルトも着脱する必要がある。
エンジン
搭載エンジンは『ロータリーエンジン』である。自然吸気(NA)とされ、排気ポートは市販ロータリーエンジンでは初となるサイド排気ポートを採用した。これによって「RENESIS RE」はオーバーラップ0とすることが可能となり、従来のロータリーエンジンと比較して燃費も向上しており、低速トルクも改善されている。吸気ポートは、6ポートのエンジンと4ポートのエンジンの2種類が設定され、6ポートのエンジンのレブリミットは9,000rpm(タイプS)という高回転型ユニットとなっている。ターボチャージャーを廃したことで、伸びやかでストレスなくレブリミットまで回転する、よりロータリーエンジンの旨みを引き出したエンジンとなった。ただし、サイド排気ポート方式には、排気ガスによって水温が上がりやすくなったり、燃焼室に煤がたまりやすくなるという欠点もあった。このエンジンの基となったものを搭載した車が、コンセプトカー「RX-01」(1995年東京モーターショー展示車)にも搭載されている。イギリスの「エンジン・テクノロジー・インターナショナル」が主催する「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー2003」を、過去最高の審査員50人中44人の得票を得て受賞した。
エンジンの最高出力は、カタログデータで標準モデル(5速MT/4速AT)が210PS、TYPE-E(6速AT)は215PS、TYPE-S(6速MT)250PS(以上マイナーチェンジ前の数値)である。マイナーチェンジ前の210PSモデルは吸気ポートが4つであり、215PS、250PSのモデルは6PI(吸気ポートが6つ)であるが、マイナーチェンジ後に全て6PIで統一された。また後期型はハイパワー版が250PSから235PSに修正されている。この理由はレギュラーガソリンへの適合のためとされているが、より実測出力値に近い数値に合わせたともいわれている。ロータリーエンジン搭載車としては、初めて電子スロットルを採用し、各種走行安定装置(電子制御)も導入されたモデルである。なお、メーカーによる慣らし運転推奨車種(取扱説明書に記載)となっている。
その他
ブレーキキャリパーはフロント/リアとも片押し1ピストンであるが、フロントのディスクローター径はグレードにより大径となる。MT仕様のプロペラシャフトは、カーボンファイバー強化樹脂とスチールを組み合わせた、軽量ワンピース型を採用(AT仕様はスチール製)。パワーステアリングは、モーター制御の電動を採用した。マツダのスポーツカーに継承されてきたフロントミッドシップはさらに推し進めれ、「アドバンストフロントミッドシップ」レイアウトを採用。車両の重量配分はRX-7の最終型であるFD3S型と同様に「前後50対50」の比率を確保し、エンジンの搭載位置をより低くしたため、FD3S型よりもヨー慣性モーメントが5%低減され、高い旋回性能を誇っている[4]。
安全面では、国土交通省による衝突安全性能総合評価において、運転席、助手席とも最高ランクの六つ星を獲得[5]し、ブレーキ性能試験においても100km/hからの停止距離が38.6m(湿潤時は44.4m)と、この記録は試験を行った歴代全車両の中で、2003年販売時点でトップであり、この記録は2015年現在も破られていない。一方、歩行者頭部保護性能試験では頭部保護機能を持ったボンネットを採用しているものの、低いフロント形状の特性ゆえレベル1に留まる。
軽量化のため、全グレードにわたってスペアタイヤは搭載されず、パンク修理キットで代用している(テンパータイヤは販売店装着オプション)。
2005年12月13日放送のプロジェクトX「技術者魂永遠に~新ロータリーエンジン 革命車に挑む~」では、開発者から家族4人で乗ることができる「ファミリーカー」として開発したことが語られている。
モータースポーツ
スーパー耐久にて、一部プライベーターチームによりレースに投入されたが燃費が悪くよい結果は残せず短期間の参戦に終わった。マツダが、アマチュア向きに「RX-8パーティレース」というワンメイクレースを開催していた。改造範囲は限定され、専用のロールバーなども発売されていた。レースの運営は、マツダではなく専業業者が行ったが、現在では終了している。D1グランプリにて、FD3Sのエンジンに換装されたマシンが出走している。2008年3月と2010年1月アメリカにおいて デイトナ24時間レースで 3ローターNAを搭載したRX-8がクラス優勝している。MAZDA-USAでは、20Bペリポートエンジンを搭載したRX-8が、レース用としてコンプリート販売されている。JAF全日本ジムカーナ選手権で川北忠選手のRX-8 typeS(平成15年式)が2010年度SA1クラスにてシリーズチャンピオンを獲得している。
マツダ・RX-8
SE3P型
フロント
MazdaRx-8.JPG
リア
Mazda RX8 rear 20070523.jpg
販売期間 2003年5月 - 2012年6月(生産終了)
乗車定員 4名
ボディタイプ 4ドアクーペ
エンジン 13B-MSP型 654cc×2
13B-RENESIS水素ロータリー 654cc×2(105PS 14.3kgf・m)
駆動方式 FR
最高出力 250PS/8,500rpm
最大トルク 22.00kgf・m/5,500rpm
変速機 4速、6速AT / 5速、6速MT
サスペンション 前・ダブルウィッシュボーン
後・マルチリンク
全長 4,435mm
全幅 1,770mm
全高 1,340mm
ホイールベース 2,700mm
車両重量 1,340-1,360kg
水素車1,460kg
航続距離 ガソリン549km
水素100km
『化物語』(バケモノガタリ)は、西尾維新によるファンタジー小説。〈物語〉シリーズ第1弾(通巻1、2巻目)として講談社BOX(講談社)から刊行された。イラストはVOFANが担当している。2009年にテレビアニメ化、2012年には『化物語 ポータブル』としてゲーム化、2018年に漫画化された。
化物語』は21世紀初頭の日本の田舎町を舞台に高校生の阿良々木暦が「怪異(かいい)」に関わった少女達と出会い、その怪異にまつわる事件を解決していく物語。作者の西尾は「とにかく馬鹿な掛け合いに満ちた楽しげな小説を書きたかった」と語っており、ギャグやパロディ、メタ視点を交えた登場人物同士の会話に多くのページが割かれているのが特徴。
上下巻構成になっており、上巻は『メフィスト』(講談社)2005年9月号から2006年5月号まで連載された第一話「ひたぎクラブ」、第二話「まよいマイマイ」、第三話「するがモンキー」を、下巻はBOX書き下ろしの第四話「なでこスネイク」、第五話「つばさキャット」を収録している。
パッケージイラストは上巻は戦場ヶ原ひたぎ、下巻は羽川翼が描かれている。
高校3年生の阿良々木暦は春休みにとんでもない『事件』に巻き込まれて以来、人とは少しだけ異なった部分があった。
『事件』を通じて親しくなったクラス委員長の羽川翼と共に文化祭の準備をしていた5月のある日、ひょんなことから2年間ろくに会話すらしたことがない病弱なクラスメイト戦場ヶ原ひたぎの秘密を知る。彼女には、およそ体重と呼べるものがほとんど無かったのである。暦は秘密を知った日の放課後、ひたぎから秘密をばらさないようにと猟奇的な脅しを受け、口許をホチキスで刺される。それにもめげずに彼女の問題解決に対する協力を申し出る。暦は事件の後遺症として他人よりも異常に傷の治りが早くなっており、ひたぎの負わせた傷もすっかり塞がっていた。ひたぎによると、2年前に1匹の不思議な蟹に出会い、重さを根こそぎ持っていかれたのだという。彼女の体重は平均的な体格にもかかわらず5kgしかなかった。
春休みに遭遇した事件解決に際し、暦と翼は怪異に詳しい忍野メメという風来坊のオッサンの力を借りた。暦とひたぎはメメに相談するため、彼がねぐらにしている学習塾跡の廃墟ビルに向かう。メメはそこで金髪の少女で『吸血鬼の成れの果て』という忍野忍と暮らしていた。「助けるんじゃない。君が勝手に助かるんだ。ボクは力を貸すだけだ」と語るメメ。メメによるとひたぎの体重を奪った蟹もやはり怪異であるという。ひたぎはメメの力を借り、自分の体重を奪った怪異と再会するのだが、それには彼女自身が抱え持つ別の問題が関係していた。
『事件』の影響から怪異に纏わり付かれるようになった暦。暦に助けられて以降、毒舌ツンデレながら好意を抱くようになるひたぎ。しかし、暦とひたぎが親しくなったことで暦の周囲は再び慌ただしくなっていった。