鹿児島市交通局(かごしましこうつうきょく)は、鹿児島県鹿児島市の交通部門。市電(路面電車)と路線バスを運営する。なお、鹿児島市営の交通事業として他に桜島フェリーが存在するが、これは鹿児島市船舶局が運営しており、交通局とは関係しない。
鹿児島市電
日本最南端の路面電車事業であり、全国の同事業の中でも数少ない健全運営を誇る。年間延べ約1千万人の利用客があり、特に谷山 - 天文館通間、鹿児島中央駅前 - いづろ通間は利用率が高い。
鹿児島市電の停留所は「電停」と呼ばれ、JRの駅と区別される。各電停にはバスロケーションシステムの表示端末が設置されており、後方3電停以内にいる電車の位置がわかるようになっている。鹿児島中央駅の地下通路においてはピクトグラムがJR線と紛らわしいが、JR線は列車の前面、市電は電車の側面である。
現存路線・系統
路線
以下の4路線(計13.1km)から成り立っている。軌間は(廃止路線も含め)全線1435mm。
第一期線(武之橋 - 鹿児島駅前)- 1914年12月20日全線開通
第二期線(高見馬場 - 鹿児島中央駅前)- 1915年12月17日全線開通
谷山線(武之橋 - 谷山) - 1912年12月1日全線開通、涙橋 - 谷山は専用軌道
唐湊線(鹿児島中央駅前 - 郡元) - 1959年12月20日全線開通
運行系統
以下の2つの系統が運行されている。両系統とも平均5分間隔で運行されており、天文館通 - 鹿児島駅前にいたっては1分間隔で運行されている時間帯もある。
■1系統〈青〉(鹿児島駅前 - 市役所前 - 天文館通 - 高見馬場 - 武之橋 - 郡元 - 谷山)
■2系統〈赤〉(鹿児島駅前 - 市役所前 - 天文館通 - 高見馬場 - 加治屋町 - 鹿児島中央駅前 - 郡元)
その他、平日の臨時運行があり、鹿児島駅前 - 鹿児島中央駅前 - 郡元(南側) - 谷山の直通系統(こちらは土曜も一部運行)、鹿児島駅前発鹿児島中央駅前経由脇田行き、脇田始発の1系統がある。さらに、7月の「かごしま夏祭」、11月の「おはら祭」の時には、高見馬場 - 朝日通間が歩行者天国になる関係で、谷山→騎射場→鹿児島中央駅前→郡元→谷山およびその逆方向の字状運行、朝日通 - 鹿児島駅前の区間系統が臨時運行される(「おはら祭」本祭の11月3日は字状運行のみ)。
廃止路線・系統
路線
以下の2路線を有していたが、いずれも1985年9月30日をもって廃止された。
戦前から[要出典]伊敷線は国道3号線、上町線は国道10号線の渋滞により廃止を望む声も多かった。上町線は1945年4月に日本本土空襲により破壊、1948年に経路を変更して復旧されたが、モータリゼーションの進行により存続の危機に晒されたためこれらの不採算路線を廃止し存続を図った。
上町線(市役所前 - 清水町)- 1961年4月1日全線開業、1945年4月空襲により休止、1948年12月28日再開
伊敷線(加治屋町 - 伊敷町)- 1961年12月16日全線開業
運行系統
上記路線の廃止に伴って下記系統が現在の系統に再編された。下記のほか、かつて朝ラッシュ時には、通常利用されない渡り線を利用して環状運転する臨時の系統も存在した(現在でも一部残存)。なお臨時系統での乗換券の発行は無かった。
1系統(現在と同じ)
2系統(清水町 - 市役所前 - 天文館 - 高見馬場 - 西鹿児島駅前(現・鹿児島中央駅前)- 郡元)
3系統(鹿児島駅前 - 市役所前 - 天文館 - 高見馬場 - 加治屋町 - 伊敷町)
計画路線
鹿児島市は、谷山電停からJR谷山駅までの延伸計画について、2002年度からその可能性を調査していたが、2006年4月、県道の渋滞を招くなどの理由から断念することを表明した。しかし、鹿児島市・鹿児島市議会・地元谷山の住民や商店街・周辺の教育機関などから要望があり、JR谷山駅から慈眼寺駅周辺の線路高架計画に基づき再検討されている。なお、他方面(県庁・与次郎・ウォーターフロント地区方面等)への延伸も検討されており、2012年度の鹿児島市の当初予算案にウォーターフロント地区への観光向け路線の調査検討費用が計上され、桜島フェリー乗り場、種子屋久航路の高速船乗り場を通るルートなどが検討されており、鹿児島市により以下の5ルート案が2012年2月20日に示された。
マイアミ通りA
いづろ通 - 桜島フェリーターミナル
マイアミ通りB(既存路線利用の周回路線)
いづろ - 市役所前
マイアミ通り・鹿児島駅
いづろ - 鹿児島駅前
みなと大通りB
市役所 - 種子屋久高速船ターミナル
大門口・みなと大通り(既存路線利用の周回路線)
いづろ - 大門口 - 市役所前
車両
元々は自局発注(一部は自局製造)と大都市圏(主に東京と大阪)で廃車となった車両を譲り受けたものが半数ずつという状況であった。他社からの譲り受けは1970年代の700・800形を最後に行われていない。
降灰のために夏季に窓を開放することができない鹿児島という都市の持つ特殊事情のため、災害対策の一環という位置付けで車両の冷房化を他の公共交通機関に先駆ける形で急ピッチで推進した。この結果、1986年には国鉄の鹿児島車両所(現・JR九州鹿児島車両センター)所属車両にも先駆けて、常用車両の完全冷房化を完了している(常用ではない700形は1991年に改造)。
1989年以降は市電の復権とバブル景気の後押しもあり、相次いで新造車を登場させている(2100形 - 2140形)ほか、車体更新により延命が図られた車両も存在する(800形→9500形)。2002年に就役した1000形は日本初の純国産超低床電車である。
2012年12月より、鹿児島市における路面電車の運行開始から100周年を迎えたことを記念して「観光レトロ電車」が導入された。形式番号は100周年を記念することから100形とされた。
鹿児島市営バス
2004年11月1日の5町編入以前の鹿児島市内全域に路線を持つ。ただし、桜島町のバス事業を引き継いだことから旧桜島町域にも路線を保有している。鹿児島市内の観光地を巡る路線バス「カゴシマシティビュー」や桜島の西側の観光地を巡る路線バス「サクラジマアイランドビュー」も運行している。それとは別に定期観光バスも運行している。貸切バス事業も行っている。
鹿児島市交通局
Kagoshima City Transportation Bureau
鹿児島市交通局本局
鹿児島市交通局本局
種類 地方公営企業
略称 市電、市バス
本社所在地 日本の旗 日本
〒890-0055
本局:鹿児島県鹿児島市上荒田町37番20号
バス事業課:鹿児島県鹿児島市新栄町22番28号
設立 1928年(昭和3年)7月1日
業種 陸運業
事業内容 乗合バス、路面電車、貸切バス
売上高 4,724,959千円(2005(平成17)年度)
従業員数 331名(2006(平成18)年4月1日現在)
外部リンク http://www.kotsu-city-kagoshima.jp/