つばめは、九州旅客鉄道(JR九州)が主に九州新幹線の博多駅 - 鹿児島中央駅間で運行している特別急行列車である。後述のように一部、西日本旅客鉄道(JR西日本)山陽新幹線に乗り入れる列車もある。2011年の九州新幹線全線開業以降は、種別を示す色として水色が用いられることがある。九州新幹線の全線開業以前は同線唯一の列車名であった。
九州新幹線の列車愛称は速達種別ごとに「みずほ」「さくら」「つばめ」の3本立てとされ、「つばめ」の愛称は「九州新幹線区間を運行する各駅停車列車」の位置づけ(東海道・山陽新幹線における「こだま」と同じ)となっている。
列車名の由来
「つばめ」の列車名は、鳥類の「ツバメ」にちなんでおり、その起源を1930年10月まで遡り、戦前・戦後を通じ日本国有鉄道(国鉄)を代表する特急列車の名称とされてきた、伝統ある列車名である(国鉄時代の特急については「つばめ (列車)」の項を参照)。1975年3月に廃止されて以降、「この名称に釣り合うだけの格式のある列車がない」という理由で、しばらくの間用いられることはなかった。
国鉄分割民営化後の1992年7月、JR九州が鹿児島本線の特急の列車名として再び起用した。同社は名称復活に関し、JRグループ各社から事前に了承を得るという手続きを行っている。その後、2004年3月に九州新幹線が名称を引き継いだのが現在の新幹線「つばめ」である。
九州新幹線の部分開業の際、「つばめ」の名称は公募により決定し、得票数では第1位が「はやと」で「つばめ」は第5位であったが、「はやと」は採用されなかった。これは、「はやと」が九州というより鹿児島県のイメージが強いこと、東北新幹線の「はやて」と紛らわしいからとされる[要出典]。なお、「はやと」の名前は九州新幹線開業と同時に設定された肥薩線吉松駅発着の特急「はやとの風」に用いられた。
運行概況
全列車が各駅停車として運行される。号数は、運行区間別に割り振られている「こだま」や「さくら」と異なり、運行区間にかかわらず運行順に300号 - 357号の連番が与えられている。
「つばめ」は博多駅 - 熊本駅間の区間運行が基本で、毎時1 - 2本が運行される。博多駅 - 鹿児島中央駅間直通の「つばめ」は朝夕の通勤・通学時間帯中心の運行となり、日中の熊本駅 - 鹿児島中央駅間は「さくら」のみが運行され、「つばめ」は運行されない。このほか早朝・夜間に博多駅 - 筑後船小屋駅間、熊本駅・川内駅 - 鹿児島中央駅間の区間運行列車が運行されている。
日中「つばめ」の運行されない熊本駅 - 鹿児島中央駅間では、毎時2本運行の「さくら」のうち1本が同区間の各駅に停車して「つばめ」の代替となっており、新八代駅 - 鹿児島中央駅間の各駅と「さくら」の大半が通過する筑後船小屋駅・新大牟田駅・新玉名駅などの相互間を利用する乗客の利便性を図るため、上述の「さくら」が熊本駅で「つばめ」と接続するダイヤとしている。また、博多駅では日中に山陽新幹線の「のぞみ」と、早朝・夜間は「こだま」と接続している。
2012年3月17日のダイヤ改正で、熊本駅発新下関駅行き上り列車1本、鹿児島中央駅発小倉駅行きの上り列車1本の計2本で山陽新幹線に乗り入れる「つばめ」が設定された。この時、「つばめ」が定期列車として本州の路線に乗り入れるのは、1975年に岡山駅 - 西鹿児島駅(現在の鹿児島中央駅)間の特急「つばめ」が廃止されて以来37年ぶりであった。2013年3月16日のダイヤ改正で一旦定期列車の山陽新幹線への乗り入れは消滅したが、2017年3月4日ダイヤ改正により、熊本発小倉行きつばめ306号が設定され、再び山陽新幹線に乗り入れを開始した。なお、「つばめ」では車内販売の営業は行われない。
停車駅・運行区間
小倉駅 - 博多駅 - 新鳥栖駅 - 久留米駅 - 筑後船小屋駅 - 新大牟田駅 - 新玉名駅 - 熊本駅 - 新八代駅 - 新水俣駅 - 出水駅 - 川内駅 - 鹿児島中央駅
博多駅 - 鹿児島中央駅:下り2本(307・353号)/上り6本(308・314・340・348 - 352号)
博多駅 - 熊本駅:下り23本(309 - 351・355号)/上り19本(302 - 306・310・312・316 - 338・342 - 346号)
小倉駅 - 熊本駅:上り1本(306号)
博多駅 - 筑後船小屋駅:下り1本(357号)/上り1本(300号)
熊本駅 - 鹿児島中央駅:下り2本(303・305号)/上り1本(354号)
川内駅 - 鹿児島中央駅:下り1本(301号)/上り1本(356号)
使用車両・編成
車両は800系、およびN700系(8両編成)が使用されている。
記号凡例
G=グリーン車指定席
指=普通車指定席
自=普通車自由席
S=喫煙ルーム
800系
800系は「つばめ」の運行開始当初から使用されており、現在も「つばめ」の大半で使用されている。
九州新幹線の全線開業以前は「つばめ」が唯一の列車愛称であったことから、800系の車体には「つばめ」としてのみ運行することを前提とした標記が多く描画されていた。その後、2011年3月12日の九州新幹線全線開業によって「さくら」としても運行されることとなり、標記は新しいものに変更することがJR九州より発表され、2011年1月に新標記の編成が運行を開始した。現在は全編成が新しい標記に変更されている。
九州新幹線全線開業
2011年(平成23年)3月12日:九州新幹線が全線開業。
「リレーつばめ」の運行を終了。
「つばめ」は九州新幹線内の各駅停車として運行し、ほとんどの列車は博多駅で東京・名古屋方面発着「のぞみ」・新大阪駅発着「ひかりレールスター」と同一ホームで接続。
2012年(平成24年)3月17日:熊本駅発新下関駅行きと鹿児島中央駅発小倉駅行きの上り2本が新たに設定され、山陽新幹線に乗り入れ開始[。
2013年(平成25年)3月16日:山陽新幹線への定期列車の乗り入れがなくなり、再び九州新幹線内のみの運行となる。
2016年(平成28年)
4月14日:平成28年熊本地震発生に伴い、九州新幹線全線で運転見合わせ。
4月20日:新水俣駅 - 鹿児島中央駅間で運転を再開。全列車「つばめ」として運行。
4月23日:博多駅 - 熊本駅間で運転を再開。全列車「つばめ」として運行。
4月27日:全線で運転を再開。全列車「つばめ」として運行。
4月28日:九州新幹線内での「みずほ」「さくら」の運転を再開。ただし、一部区間の速度制限により「変更ダイヤ」での運行となり、大半の「つばめ」が鹿児島中央駅発着となる。
7月4日:通常ダイヤと同じ本数、運行区間に戻る。
2017年(平成29年)3月4日:熊本駅発小倉駅行きの上り1本が設定され、再び山陽新幹線への定期列車の乗り入れ開始。
800系は、九州旅客鉄道(JR九州)に在籍する新幹線電車である。九州新幹線の初代車両として2004年(平成16年)に登場した。
JR九州は同社初となる新幹線車両を製作するにあたり、東海旅客鉄道(JR東海)および西日本旅客鉄道(JR西日本)から車両技術や車両保守などの技術供与を受けた。このことによって開発時間の短縮とコストの低減を図っている。基本的な構造は700系と変わらないが、先頭形状や内装表面、座席、機器配置などは変更されている。
日立製作所(ただし台車は川崎重工業製)により2004年3月の開業を前に6両編成5本30両(編成番号・U001 - U005)が導入されたが、新幹線車両の全般検査サイクルが約2年であり、それを控えて予備編成を用意する必要性が生じたことから、2005年(平成17年)夏にさらに1本 (U006) が増備された。九州新幹線全線開業に向けて、デザイン等のマイナーチェンジを行った新800系3編成(U007 - U009)が投入され、従来からの6編成と合わせて9編成となり、2009年より運転を開始した。
エクステリアおよびインテリアデザインは水戸岡鋭治とドーンデザイン研究所が、車内放送の音楽は向谷実が手がけた。2005年に鉄道友の会ローレル賞・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞を受賞した。
構造
700系を基本に開発・製造されているため、モータ制御等の制御装置についてはほぼ700系と共通である。ただし、35‰(パーミル)の急勾配での起動に対応するため、全車両電動車 (M) とするとともに、起動時引張力を増加させる事ができるようにしている。その結果主電動機の定格出力は700系と変わらないものの、起動加速度は2.5km/h/sに強化されている。営業最高速度は、500系や700系より遅い260km/hである。
車両外観
空力的な理由から「カモノハシ」のようなものとなった700系の先頭形状は採用せず、シャープな形状である。これは700系の先頭形状のコンペで提出されながら不採用となり、その案を設計した日立製作所で保存されていたものに少しアレンジを加えて復活させたものである。CFDや風洞実験により、260km/h対応として設計された。先頭形状を700系のままにせず新たに設計し直したのは、JR九州側、特に当時の社長石原進の意向による。また、JR九州側からの制約は、最前部のノーズポイントを上げることと、運転席前面ガラスの角度をある程度つけることであった。
新800系と呼ばれる U007 - U009編成はヘッドライトの形状が変更され、そのカバーガラスも曲面的でやや膨らんだ形のものとなった。
出入口付近に設置してある行先表示器は3色LED式を採用する。
車体
700系と同じく、中空押出型材を用いたアルミダブルスキン構造となっている。700系と平行して800系を製造することによって製造コストの抑制が図られている。ただし、重量が大きい主変圧器搭載のMp車にパンタグラフが搭載されていることから、各車の輪重バランスを均一化するためにMp車の屋根は軽量なシングルスキン構造となっている。
塗装
白地に金色とコーポレートカラーである赤色のラインが入る。そして、屋根は赤色塗装であるが、これはパンタグラフの摺り板の粉で生じる汚れを目立ちにくくするために設定されたものである。車体には、100系以降の東海道・山陽新幹線の車両に用いられていた白3号 (N9.2) ではなく、より明るい白 (N9.5) を採用しており、水戸岡は『たぶん一番白い列車』と述べている。
各車両の客用ドア横には赤色の大きな文字で号車番号が表記されているが、これは新八代駅で「リレーつばめ」から乗り換える際に、短い時間で乗車車両を探し出せるように配慮されたものである。なお787系電車においても「リレーつばめ」対応改修工事実施時に同じ配慮がなされ、金色の同字体を採用している。
完成当初は全車両側面の号車表示部分に、当時のJR九州社長石原進の揮毫による「つばめ」と列車名が書かれていたが、全線開業後に本系列は「さくら」の一部でも使用されることとなり、乗客の混乱を防止するため、列車名を消去した上に2011年1月から3月にかけて、先頭車の運転側の800系のイメージとするロゴマークと車体全体のつばめのイメージとするロゴデザインに変更された
主要機器
電源・制御機器
架線からの単相交流25kVを主変圧器で降圧した上で、主変換装置で単相交流から直流に変換後、さらに三相交流へと変換して主電動機を駆動する。
Mc+Mp+M2ユニットを採用し、Mc車(821形・822形)には主変換装置1基・空気圧縮機が、Mp車(826形)には主変圧器(WTM206K)・集電装置が、M2車(827形)には主変換装置2基が搭載される。
主変換装置(WPC200K)は、IGBT素子を利用した3レベルPWMコンバータ+3レベルPWMインバータで構成されている。主電動機4基を並列接続して回路を構成し、1C4M制御を採用する。
主電動機(MT500K)は、連続定格出力275kWを有するかご形三相誘導電動機であり、1両あたり4基搭載する。
台車・ブレーキ装置
台車は直進安定性に優れた走行特性を示す軸梁式の軸箱支持機構を備えたアンチヨーダンパ付きのボルスタレス台車のWDT205Kを装着する。駆動方式はWNドライブである。乗り心地向上のため、全車両にセミアクティブサスペンションが搭載されている。
ブレーキ装置については、700系と同様に回生ブレーキを装備するほか、緊急制動時の滑走対策のために先頭車の台車にセラジェットも装備されている。また、急勾配対策として抑速ブレーキの機能が追加されている。
定速装置が装備されているが、営業運行中は使用しない。
集電装置
800系のパンタグラフ
騒音・軽量化対策としては、700系のような大型の碍子カバーやパンタグラフカバーは装備せずに、東日本旅客鉄道(JR東日本)が開発しE2系1000番台で採用された低騒音碍子付きのシングルアーム式パンタグラフ(PS207K形)を装備している。この結果、700系に採用されているシングルアームパンタグラフ(TPS301形・パンタカバーなどを含む)と比較して約650kgの軽量化に成功している。
内装・設備
3号車座席
全車両普通車のモノクラス編成であり、座席は横に4席並び、2列+2列配置となっている。日本の「和」を基本コンセプトとする独自の意匠が施されている。木材にはすべて不燃処置が施されている。
奇数号車の博多寄りには便所・洗面所が設置されているが、便所はサクラ材の手すりで温かさを、洗面所には八代のイグサの縄のれんで伝統の技を演出した。1, 5号車には、車椅子スペースとバリアフリー対応トイレが設けられている。
2号車には公衆電話が、4号車には自動販売機が設置されている。
U001 - U006編成(0番台)
号車ごとの内装
号車 木の色 織物色
1・4 桜色 緑青
2・6 柿渋色 瑠璃
3・5 楠色 古代漆
妻面にクスノキ、座席に西陣織のモケット、日よけに木製のブラインドを採用。座席の基部も木製とされた。客室用座席は京都府京田辺市の住江工業製、運転席用座席は、700系と同様、レカロ製のセミバケットシート「RECARO 24H CHAIR」を採用。号車によって腰掛木材と表皮材料の色の組み合わせが異なっている。
後に増備される1000,2000番台(通称:新800系)の5号車に採用された多目的室は、既存の800系への設置改造も行われる。
出入り台の壁は柿渋色、客用ドアは古代漆色という伝統色、手すりや握り棒は熊本産のサクラ材が使用されている。
デッキと客室を仕切るドア上部に設置されている車内案内表示器には車両案内、停車駅案内、ニュース(西日本新聞ニュース)が表示される。後に車内後方座席からの視認性向上を目的として、新800系(U007 - U009編成)同様、車内中央の天井部にも車内案内表示器が設置された。
U007 - U009編成(1000,2000番台)
1000番台のU007編成
2009年夏から登場した新800系(U007 - U009編成)は、乗り心地改良のため、従来よりも座面を35mm深く、着席時の背もたれの角度が7度から8度に変更されている。新たに荷台下面と窓枠下の小テーブル(かまち)も木製となったほか、電話室の暖簾に久留米絣が採用されている。
号車によって腰掛木材と表皮材料の色の組み合わせが異なっている。
号車ごとの内装
号車 座席織物 妻壁(前) 妻壁(後)
1 赤の唐松模様の西陣織 クスと博多織
2 ワインレッドの革張り 金箔と柄入り金箔 ハードメープル
3 カーマインのツイード 金箔とハードメープル
4 アイビー柄のゴブラン織 金箔とハードメープル
5 オレンジ系のツイード ハードメープル 金箔と柄入り金箔
6 赤のアイビー柄の西陣織 クスと博多織
すべての腰掛から車内案内表示器の視認性を高めるため、背板の高さを25mm、腰掛座面を15mm、合わせて床面から40mm低くし、さらに車内の天井にも車内案内表示器が設置されている。後に既存編成(U001 - U006編成)でも同様に車内の天井部に車内案内表示器が設置された。
形式および車種
電動車3両を1ユニット (Mc+Mp+M2) とする構成で700系の4両1ユニットから1ユニットあたりの車両数は1両減らされている。そのため、運転室後部に機器室を設置しそこに減らした車両分の機器を搭載している。このため500系と同様に運転室後部の客用ドアは設置されていない。
開業初期から所属している編成(U001 - U006編成)は0番台を、2009年以降に増備される編成のうち、U007, U009編成は1000番台を[21]、U008編成は2000番台を名乗る。検測機能を搭載できることから区別されている(#検測機能を参照)。車体番号のハイフン以下一桁の数字は0番台からの連番である。例えば、U007編成821形の場合は、821-1007となる。
普通席を備える制御電動車。U編成1号車として使用。鹿児島中央向き運転台、便所、洗面所、車椅子対応設備を備え、主変換装置、静止形変換装置、電動空気圧縮機などを搭載する。定員46名。
822形 (Mc)
普通席を備える制御電動車。U編成6号車として使用。博多向き運転台、電話室を備え、主変換装置、補助電源装置、電動空気圧縮機などを搭載する。定員56名。
826形0番台(826-6) 826形100番台(826-106)
826形0番台(826-6)
826形100番台(826-106)
826形 (Mp, Mpw)
普通席を備える中間電動車。
0, 1000, 2000番台 (Mp)
U編成2号車として使用。電話室を備え、主変圧器、静止形変換装置、補助電動空気圧縮機、集電装置などを搭載する。定員80名。
100番台 (Mpw)
U編成5号車として使用。便所、洗面所、車椅子対応設備を備え、主変圧器、補助電動空気圧縮機、集電装置などを搭載する。2009年以降、1100, 2100番台車両と同様の多目的室、車販準備室の設置工事が行われた。その際16・17ACD席と14・15B席を撤去したため、定員66 → 58名と減少する。
1100, 2100番台 (Mpw)
U編成5号車として使用。便所、洗面所、車椅子対応設備、多目的室、車販準備室を備え、主変圧器、補助電動空気圧縮機、集電装置などを搭載する。定員58名。
827形0番台(827-6) 827形100番台(827-106)
827形0番台(827-6)
827形100番台(827-106)
827形 (M2, M2w)
普通席を備える中間電動車。
0, 1000, 2000番台 (M2w)
U編成3号車として使用。便所、洗面所を備え、主変換装置2台などを搭載する。定員72名。
100, 1100, 2100番台 (M2)
U編成4号車として使用。乗務員室、自動販売機を備え、主変換装置2台などを搭載する。定員72名。
運用
九州新幹線内の「さくら」「つばめ」で運用されている 。
九州新幹線部分開業時
2004年3月13日の九州新幹線の新八代駅 - 鹿児島中央駅間開業と同時に「つばめ」の愛称で運用を始した。
当時、新八代駅発着の全列車は鹿児島本線の特急「リレーつばめ」と接続を行っており、同列車とは相互で同一ホーム上で接続を行っていた。
2009年8月22日の「つばめ42号」より、新800系(1000番台・U007編成)の運用が開始された。
九州新幹線全線開業に伴う運用
九州新幹線全線開業後、800系は九州新幹線内折り返し列車に限定して運用されている。2011年1月以降、列車電話の事業者をソフトバンクテレコムから山陽新幹線と同じNTTコミュニケーションズに順次変更している。
2012年3月17日現在
さくら
博多駅 - 鹿児島中央駅間:9本
博多駅 - 熊本駅間:14本すべて
つばめ
博多駅 - 鹿児島中央駅間:5本
博多駅 - 熊本駅間:45本
博多駅 - 筑後船小屋駅間:2本
川内駅 - 鹿児島中央駅間:下り1本
山陽新幹線への乗り入れ
JR西日本の管轄である山陽新幹線との直通列車にはN700系7000番台・8000番台が運用されており、800系は使用されていない。当初は新下関駅発着の「さくら」に使用する計画があったが見送られた。
構造上は山陽新幹線への乗り入れも可能であり、2011年1月には乗り入れ対応のため山陽新幹線で試運転を行っている。
検測機能
U007,U009編成(1000番台)には軌道の検測を可能とする装置を、U008編成(2000番台)には電力、信号、通信の検測を可能とする装置が搭載可能である。U001編成は線路および架線の検測機能を持っており、車両番号の末尾に「K」の文字が加えられていたが、前述の編成増備に伴いその任を解かれ、2010年3月31日付けで車番変更(車両番号から「K」が除かれる)が行われた。
ただし、他の検査専用車両のように検査機器を常時設置しているわけではなく、検査実施時のみ機器を搭載して検測を行う。外観上の違いはパンタグラフ付近に計測用のカメラと投光器が装着されている点で、それ以外には他編成との違いはない。この架線計測装置には明電舎の「カテナリーアイ」を使用している、これは、車両の屋根上に小型カメラ2台とラインセンサを搭載して走行中にトロリー線を約3cm間隔で検測する装置であり、従来の計測装置と比べて大幅な省スペース化が図られている。
ATC仕様変更
山陽新幹線との直通運転を行うN700系7000番台・8000番台が東海道新幹線仕様のデジタルATCを搭載するため地上設備の仕様変更を行い、また、車上設備の変更も行われた。変更の対象になったのは既存の6編成と2009年夏に投入された1編成。地上設備(新八代 - 鹿児島中央)と車上設備に計10億円をかけて改修を行った。
仕様変更に伴い、2009年6月13日から同年12月末にかけて土日を中心に、営業時間外に800系を使用しての試験が行われた。同年9月までは 120km/h 以下、同年10月からは260 km/h での試験が行われた。
運用者 九州旅客鉄道
製造所 日立製作所
製造年 2003年 - 2010年
製造数 9編成54両
運用開始 2004年3月13日
投入先 九州新幹線
主要諸元
編成 6両編成(全車電動車)
軌間 1,435 mm
電気方式 交流25,000V 60Hz
(架空電車線方式)
最高運転速度 260 km/h
起動加速度 2.51 km/h/s
編成定員 392名(U001 - U006編成)
384名(U007 - U009編成)
(全席普通席)
編成長 154.7 m
全長 27,350 mm(先頭車)
25,000 mm(中間車)
全幅 3,380 mm
車体高 3,650 mm
車体 アルミニウム合金
台車 軸梁支持方式
WDT205K
主電動機 かご形三相誘導電動機 MT500K
主電動機出力 275 kW × 4基
駆動方式 WN駆動方式
編成出力 6,600 kW
制御方式 IGBT素子VVVFインバータ制御
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、抑速ブレーキ
保安装置 KS-ATC、ATC-1型
備考 台車は川崎重工業製