東京臨海新交通7000系電車
東京臨海新交通7000系電車(とうきょうりんかいしんこうつう7000けいでんしゃ)は、株式会社ゆりかもめ(旧・東京臨海新交通)が保有するAGT(新交通システム)車両。6両編成8本の48両が在籍する。
概要
1995年(平成7年)の東京臨海新交通臨海線(当時)の開業に合わせて登場した。
車両に自動列車運転装置(ATO)と自動列車制御装置(ATC)を搭載しており、普段はATOによる自動運転による無人運転だが、先頭車両にはワンハンドル式マスター・コントローラー(力行3ノッチ、ブレーキ4ノッチ)を装備しており、非常時や車両基地内での移動では、乗務員による手動運転も可能である。全車が制御電動車または電動車であり、車体長は9000mm、車高は2470mm、車体幅は2470mmである。日本の案内軌条式鉄道の車両として初めてステンレス車体、片側2ドア構造、空気式のウイングスライド方式プラグドア(3次車以降は外吊り引き戸式)、クロスシート配置(3次車以降はセミクロスシート)の座席、折り畳み座席付きの車椅子スペースを採用しており、車両前面には折り畳みはしご付きの非常用脱出扉が設けられている。前面と側面に大きく表記された数字が編成番号を表す。車両番号は編成番号を示す百位と十位の数字「19・20」が欠番になっている。なお、早朝と深夜に運行される列車は自動運転ではなく、乗務員による手動運転扱いとなっているため、先頭車前面の座席が運転席となり、運転台が使用される。列車無線は誘導無線方式を採用しており、音声だけでなく車両のデータや故障などの情報を送ることができる。電動空気圧縮機は、往復形単動2段圧縮機(1000ℓ/min)を編成内に2台搭載しており、車両の客室ドアの開閉やブレーキで使用される。
集電装置は、走行に使用される電力が電圧600Vの三相交流3線式を採用しているため、3つの集電器が車体下部に取付けられている。主電動機は、1-3次車が分巻補極付きの直流電動機で、主電動機の冷却は自己通風式が採用され、4-6次車が三相かご形誘導電動機で、主電動機の冷却は自己通風式が採用されており、ともに出力は110kwである。制御方式は、1-3次車は三相全ブリッジサイリスタ位相制御方式を採用しており、側面から集電装置を介して供給される三相交流をサイリスタ位相制御により直流に整流するとともに出力電圧を制御することで直流電動機を制御する。4-6次車はVVVF制御方式になり整流の必要がなくなったため、電気方式を変換することなく誘導(交流)モーターを制御する。なお、通常の交流型電車と異なり地上の変電設備で三相交流に変換しているため主変換装置やインバータ装置は搭載する必要がなくなった。
台車は1-3次車が平行リング式のユニット台車、4-6次車は平行リング式のボギー台車を採用している。また、ガイドウェイに設置された案内軌条により車両を案内する案内方式は側方案内方式を採用しているが、走行車輪を操向(ステアリング)する操向方式は、1-3次車は2軸4輪ステアリング方式、4-6次車は4案内輪車軸ボギー方式が採用されているが、7300系の導入後は、案内車輪の変位を、台車に装着された案内操向装置を介して直接台車に伝達することで、台車全体を旋回させる方式から案内車輪の変位を、案内操向装置自体に直結した操向用のロッドにより、走行輪の舵角に転換して操向する方式に変更されている。
7000系の形式称号は、お台場周辺の東京臨海副都心が7番目の副都心であることに由来する。
製造メーカーは多くが日本車輌製造だが、三菱重工業、東急車輛製造、新潟鐵工所、新潟トランシスも数編成を製造している
7000系は初期車(1 - 3次車)と後期車(4 - 6次車)で台車・主電動機・制御方式・操向方式が異なっており、前者を7000系、後者を7200系と区別することも多い。また、1次車から6次車の間でも編成内の定員が異なっている。
7000系
1次車 (7011F - 7131F)
新橋駅 - 有明駅間の開業に合わせて、1995年(平成7年)に導入された。在籍車両は13編成(78両)だった。主回路制御はサイリスタ位相制御を採用した。全面は、虹をブロック状に並べたイメージである。編成内の定員は352人で座席定員は170人。2013年度より本系列(2・3次車含む)の廃車が始まり、まず、2013年12月付で7041Fがこのグループで初めて廃車となった。次に7031Fと7011Fの順に廃車された。また、3編成はいずれも同年度内に日本総合リサイクル(富山県高岡市)で同時に解体された。同年度末での在籍車両は10編成(60両)となった。次に、2014年度は7021F・7061F・7071F・7101F・7121F・7131Fが廃車となり、同年度末の在籍車両は4編成(24両)にまで減少した。そして、2015年度は7081F・7091F・7111Fが運用を終了した。この時点で7051Fのみとなったが、同編成は2016年5月、このグループで最後に運用を終了した。
2次車 (7141F・7151F)
1997年(平成9年)に導入された。在籍車両は2編成(12両)だった。1次車とほぼ同一。7141Fと7151Fは共に、2015年度に廃車された。
3次車 (7161F - 7181F)
社名が「ゆりかもめ」となった1998年(平成10年)に導入された。在籍車両は3編成(18両)だった。この3次車から座席配置がオールクロスシートからクロスシートとロングシートが互い違いに配されたセミクロスシートに変更され、側面ドアもプラグドアから外吊り引き戸に変更されるとともに、前面に虹の模様が追加された。編成内の定員は338人で座席定員は158人。7161F・7171F・7181Fは共に2016年6月に運用終了した。
7200系
4次車 (7211F - 7231F)
1999年(平成11年)に導入された。在籍車両は3編成(18両)である。車体は3次車とほぼ同一だが、主電動機が三相かご形誘導電動機に、制御装置がVVVF制御に変更されており、また、操向方式が7221Fから4案内輪車軸ボギー方式に変更され、案内車輪が2輪から4輪になったのが大きな違いである。編成内の定員は338人で座席定員は158人。
なお、日本のAGTにおけるVVVF車両は、この4次車以降の車両の他に西武鉄道8500系・広島高速交通1000系・神戸新交通2000型・東京都交通局300形・埼玉新都市交通2000系・横浜シーサイドライン2000形・大阪市交通局200系が存在する。
5次車 (7241F - 7261F)
2001年(平成13年)に導入された。在籍車両は3編成(18両)である。前面の模様が変更された他は4次車と同一である。
6次車 (7271F・7281F)
開業10周年及び2006年(平成18年)の有明駅 - 豊洲駅間延伸記念に、マスコットキャラクター「ゆりも」が誕生した2005年(平成17年)に導入された。在籍車両は2編成(12両)である。この6次車では前面にFRP素材が使用されるとともに側面の塗装も一新され、窓部分の黒塗装を廃してステンレス無地とされた。座席配置が3 - 5次車と異なり、折り畳み座席部分を除き、豊洲方向に向かって左側をクロスシート、右側をロングシートに統一する方式を採用するとともに、クロスシートはボックス部分のシートピッチを従来の1,450mmから1,700mmに拡げ、もう一画はシートピッチ950mmの片方向向きの固定クロスシートとして座席空間を大幅に拡大し、座席表地もグレーから青に変わった。編成内の定員は308人で座席定員は120人。 また、つり革の形も変更された。
東京臨海新交通7000系電車
ゆりかもめ7200系電車
基本情報
製造所 日本車輌製造
三菱重工業
新潟トランシス(新潟鐵工所)
東急車輛製造 他
主要諸元
編成 6両編成
電気方式 三相交流600V, 50Hz
設計最高速度 60 km/h
編成定員 352名
車両定員 57(座席27, 立席30)名(先頭車)
59(座席28, 立席31)名(2・5号車)
60(座席30, 立席30)名(3・4号車)
全長 8,550(先頭車)
8,500(中間車) mm
全幅 2,470 mm
全高 3,340 mm
車体 ステンレス
台車 4案内輪車軸ステアリング方式台車(1 - 3次車、第21編成)
4案内輪車軸ボギー方式台車(4 - 6次車、第21編成を除く)
主電動機 直流分巻補極付自己通風式(1 - 3次車)
かご形三相誘導電動機(4 - 6次車)
主電動機出力 110kW
制御装置 サイリスタ位相制御(1 - 3次車)
可変電圧可変周波数制御(4 - 6次車)