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近鉄3200系電車 (通勤形電車)

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近鉄3200系電車(きんてつ3200けいでんしゃ)は、近畿日本鉄道(近鉄)の保有する一般車両(通勤形電車)。


概要
1984年に登場した1420系は近鉄では初採用のGTOサイリスタ素子を搭載したVVVFインバータ制御方式の試作形式として投入され、大阪線にて長期的な試験運用が行われたが、この結果を基に各部仕様変更を加えて、近鉄では初の量産型VVVFインバータ制御車両として1986年1月に4両編成3本の計12両が登場した。本系列の登場に伴って、800系の一部車両が伊賀線に転属している。

車体構造では奈良線系統や特急車では標準の最大車体幅2,800mmの大型車体を引き続き採用し、従来車の鋼製から8000系8069Fで試験採用されたアルミニウム合金車体を本格的に採用して、左右対称となった中間車の窓配置など、以降の近鉄一般車両の標準となった仕様が多く取り入れられている。各部仕様は車体材質を除けば大阪線・名古屋線用急行車の5200系にも採用された。

車内はロングシートで、インテリア面では内装材は1420系と同様にサンドウェーブ柄の化粧板に、マルーン調の床材を引き続き採用しているが、ロングシートの仕様はひじ掛けが化粧板仕上げとなった新しいものに変更されており、以上の車内デザインは2000年に登場するシリーズ21まで近鉄一般車両の標準仕様となった。
電算記号KLである。

車体形状
車体材質はアルミニウム合金を採用しており、当時の最新鋭一般車両である8810系と比較して1両あたり約4tの軽量化を実現している。

車体前面は本系列特有のデザインとされ、左右非対称の曲面ガラスを備えて車体上部を若干傾斜させた「く」の字型の断面で、地下鉄線走行を考慮して貫通扉は中心部より左側に寄せられた非常扉とされ、緊急脱出用に特化している。また、この部分の車両番号表記も他の車両とは異なり、運転席窓右下に記されている。車体塗装は一般車では初めてマルーンとシルキーホワイトの塗装となり、後に在来車も本系列に合わせて塗装変更され、専用色が採用されているシリーズ21を除いた近鉄一般車の標準塗装となった。なお、本系列では落成当初から裾部のマルーン塗装は省略されている。

京都市営地下鉄乗り入れの関係から車体長は汎用型特急車両と同じ20500mmとなっており(他の一般車両は20720mm)、その分連結面の長さが短い。
主要機器・性能
3000系とは異なって他編成との併結は行わないことを前提に設計されているため、電気指令式ブレーキを採用し、奈良線走行時の非常時を考慮してブレーキ読替装置を備えているが、連結器は電気連結器を省略した密着連結器を装備している。運転台は登場時の3000系と同じく、デスクタイプの横軸2ハンドルマスコンを採用した。主電動機の出力は165kW、制御装置は1C4M制御のGTO-VVVFインバータ制御装置を搭載している。歯車比は1986年製が5.73、1987年製が6.31と異なるが、混結に支障はない。制動装置には3000系や8800系以降の近鉄車両で標準となった回生ブレーキと、奈良線の山岳区間運用を考慮して抑速ブレーキを併せて標準装備しており、標準軌線の全線での走行を可能とする[1]。以上の機器設計に基づく電動車負担による回生制動と前述の車体軽量化により、在来車と比較して約40%の電力削減を図った。台車は両抱き踏面制動方式のシュリーレン式空気バネ台車である近畿車輛製KD-93系を装着。集電装置は各電動車の京都寄りに1基ずつ搭載するが、モ3800形は6両化の際に奈良寄りにも増設して1編成4基搭載とされた。車両性能は営業最高速度105km/hを確保している。

配置
2018年4月現在、7編成42両が西大寺検車区に配置されている。
運用
運用は3220系と共通で増解結の無い列車を中心に限定運用が組まれており、主に京都線系統(京都駅 - 近鉄奈良駅・橿原神宮前駅)と地下鉄烏丸線で運行されるが、両系列合わせて車両数に余裕があるため近鉄線内で完結する運用や、地下鉄烏丸線内の区間列車にも運用される(その場合、京都線直通列車と違い、種別表示のない黒抜き文字の京都市交用専用幕が表示される)。この他にも検査入場時や試運転時には大阪線、大阪難波駅での折り返しのため電留線のある阪神なんば線桜川駅まで走行する。

近鉄3200系電車
基本情報
運用者 近畿日本鉄道
製造所 近畿車輛
製造年 1986年 - 1988年
製造数 7編成42両
投入先 (近畿日本鉄道)難波線・大阪線・奈良線・京都線・橿原線・天理線
(京都市交通局)烏丸線
主要諸元
編成 6両編成
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1500V
最高運転速度 近鉄奈良線・京都線:105 km/h
地下鉄烏丸線:75 km/h
全長 20,500 mm
全幅 2,800 mm
全高 4,040 mm
車体 アルミニウム合金
台車 M車:KD-93/KD-93B
Tc車・T車:KD-93A/KD-93C
主電動機 三菱電機MB-5014-A2
MB-5023A
主電動機出力 165 kW
駆動方式 WNドライブ
歯車比 5.73 (86:15)
6.31 (101:16)
編成出力 1,980 kW
制御方式 GTO-VVVFインバータ制御
制御装置 三菱電機製MAP-174-15VD10
制動装置 電気指令式空気ブレーキ
(回生・保安ブレーキ付)
保安装置 近鉄型ATS
CS-ATC
備考 電算記号:KL


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