佐世保バーガー(させぼバーガー)とは、長崎県佐世保市名物の手作りハンバーガーの総称。いわゆるご当地グルメの一種。
ひとつの決まったスタイルのハンバーガーを指していうのでなく、佐世保市内の店で提供される「手作りで」「注文に応じて作り始める(作り置きをしない)」こだわりのハンバーガーの総称である。
端緒
佐世保には、1889年(明治22年)に大日本帝国海軍の佐世保鎮守府、1903年(明治36年)に海軍工廠が置かれて都市化したが、1945年(昭和20年)6月28日深夜からの佐世保大空襲で焦土と化した。占領期に入ると佐世保にも進駐軍が展開し、旧日本軍施設に米海軍が進駐した。すると、米軍属相手にした飲食店・バー・キャバレーが佐世保市内に現れた。そして、佐世保が朝鮮特需による好景気に沸いた1950年(昭和25年)頃、米海軍関係者よりハンバーガーのレシピを教わり、佐世保におけるハンバーガーの歴史が始まったとされる。なお、初めて佐世保で手作りハンバーガーを作った店がどこなのかは不明。
近況
1999年(平成11年)、横須賀市で行われた旧軍港4市(横須賀市、佐世保市、呉市、舞鶴市)による交流物産会で各都市から郷土料理の店を出店することになり、市内のハンバーガー店が出店。横須賀市民には佐世保での勤務経験を持つ海上自衛隊員が多かったため、隊員たちが「懐かしい」と予想以上の人気を集めた。このことが地元のまちづくり関係者の間で話題になり、郷土料理として見直しが進んでいく。
2001年(平成13年)、佐世保市の市制100周年プレ事業の一環として地域興し事業を行う際、先のイベントで成功した佐世保のハンバーガーもPR。その後、地道な活動続けていきながら「日本で最初に生まれたハンバーガー」として徐々に知名度を上げていく。それが、取材やイベントで佐世保を訪れたマスコミ関係者や芸能人の中で話題となっていった。
2003年(平成15年)5月、佐世保で修行した佐世保出身者が東京都中野区に「ザッツバーガーカフェ」の屋号で佐世保風ハンバーガーショップを開店(現在は「ISLET」に屋号変更)。すでに一部で使われていた「佐世保バーガー」の呼称を商品名として販売した。
2004年(平成16年)、廃止された西海アメリカンフェスティバルに替わって「佐世保バーガーフェスティバル」が開催された。これにより、佐世保の公的な機関も「佐世保バーガー」という呼称を用いるようになった。
2005年(平成17年)2月、ららぽーとTOKYO-BAY(千葉県船橋市)にあるフードテーマパーク「東京パン屋ストリート」内に、ビッグマンの直営店が開店したことにより益々マスコミが取り上げる機会が増えブームに拍車がかかる。
今日では市内に25店舗の認定店を含め多くの店舗でハンバーガーが出されており、全国各地から観光客が訪れている。2006年(平成18年)にはトヨタ自動車の「ラクティス」のCM(九州版)で使用され、佐世保のログキット(ハングアウト)でロケが行われた。
2018年(平成30年)春には、佐世保地方創生プロジェクトチームと旧日本海軍の艦艇などを擬人化したシミュレーションゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』のコラボ企画「『艦これ』佐世保鎮守府巡り[2]」に市内の提供店舗が協力し、コラボメニュー購入者へのコラボステッカーやコースターの提供、抽選によるポスターのプレゼント企画などが行われた。
2019年(令和元年)6月14日、佐世保市内の事業者による団体・佐世保バーガー事業協同組合の申請により佐世保バーガーが地域団体商標に登録。
佐世保バーガー認定制度
2007年(平成19年)1月に「佐世保バーガー認定制度」が創設された。佐世保市の保健福祉部や旅行業界関係者などが、「独自性・主体性」「信頼性」「地産地消」「手づくり」などの項目を基準に審査し、合格した佐世保市内の店舗に限り「佐世保バーガー認定店」としている。認定店舗は、店の前に佐世保バーガーボーイのイラストが入った認定証(看板)を設置しているので確認することができる。しかし、佐世保市外のハンバーガーに対しての拘束力はなく、全国には認定店ではない「佐世保バーガー」を名乗る業者が多い。そんな中で、佐世保市外でも佐世保市が「佐世保バーガー」と認定する佐世保市出身者は、「佐世保バーガー観光大使」に任命している。
地域団体商標
2019年(令和元年)6月14日、佐世保市内の事業者による団体・佐世保バーガー事業協同組合の申請により佐世保バーガーが地域団体商標に登録。 組合には2019年7月現在24事業者32店舗が加盟しており、「1年以上佐世保市内に店舗や工場がある」などの加盟条件がある。 地域団体商標は、組合加盟店の中で「手作り」「バンズ・パテ・野菜・ソースを入れる」などの基準を元に、今後は認定印などを統一し差別化を図る予定がある。
グッズ展開
マスコット
2003年(平成15年)、佐世保市がやなせたかしに「『アンパンマン』に登場するハンバーガーキッドをイメージキャラクターに使用したい」と依頼した。これにやなせは「どうせならば新規のキャラクターを」ということで新たに水兵服を着たハンバーガー人間のデザインを起こした。2004年(平成16年)の「佐世保バーガーフェスティバル」で名前を募集したところ、佐世保地方の方言で「ハンバーガーをちょうだい(ハンバーガーばちょうだい)」という意味の「佐世保バーガーバー」が選ばれて発表された。しかしその後の全国展開の際に方言由来の「バー」が分かりにくいとして「佐世保バーガーボーイ」に変更されることとなったが、「佐世保バーガーバー」も愛称として併記されている。2006年(平成18年)6月には、やなせたかしがデザインした女の子のキャラクターを「させぼのボコちゃん」も登場した。
テーマソング
2005年(平成17年)2月、やなせたかしが作詞し、たいらいさおが歌う『佐世保バーガーソング』が発売された。佐世保ではストラップやピンバッジと共に販売されている。
新宿のMUSICTEITO等で販売されているとの情報があるが、出荷数が少ないために詳細は不明。