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新幹線N700S系電車

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N700Sは、東海旅客鉄道(JR東海)に在籍する新幹線電車である。

 

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報道資料等では「N700S系」ではなく単に「N700S」で呼ばれている。

JR東海の所有する東海道新幹線向けの営業用新幹線車両としては0系・100系・300系・700系・N700Aに続く第六世代となる車両で、2016年6月24日に確認試験車(量産先行車)の制作が発表された。

JR東海と西日本旅客鉄道(JR西日本)の共同開発だったN700系と異なり、300系以来となるJR東海単独での開発車両である。従来の16両編成だけではなく、基本設計をそのまま用いて12両や8両など、海外輸出を意識した様々な編成を構成させることを可能とする「標準車両」を目指して制作される。

 

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「S」は、「最高の」を意味する "Supreme(スプリーム)" の頭文字から採ったもの。編成記号の『J』編成はかつて300系で使用されていたものである。

確認試験車、量産車とも日本車輌製造と日立製作所笠戸事業所で製造されている。

構造
車両概観
先頭車両のデザインはN700系・N700Aの「エアロ・ダブルウィング形」を進化させ、左右両サイドにエッジを立てた「デュアル・スプリーム・ウィング形」(Dual Supreme Wing:ふたつの最高の翼)とした。これにより、トンネル突入時の騒音を低減させ、走行抵抗も減らすことを目指す[6]。さらに、エッジを立たせたことで前照灯の開口部を広くすることも可能になったという。前照灯は、N700系のHIDから、新幹線では初採用となるLEDを採用しており、省エネにつなげている。

車体はN700系と同じくアルミニウム合金製の中空押出型材によるダブルスキン構造を採用している。アルミ合金の一部にはJR東海と日本車両製造、日立製作所、ハリタ金属(富山県高岡市)、三協立山が共同で実証した「アルミ水平リサイクル」の仕組みを導入し、廃車処分となった700系から回収したアルミ合金を再利用している。

走行機器
駆動システムに発熱が少ない炭化ケイ素 (SiC) 製の素子を使用して冷却機構を簡略化し、駆動システムの大幅な小型軽量化を目指した。

 

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2019年8月7日の発表では、保線の測定としての「軌道状態監視システム」に加えて「トロリ線状態監視システム」と「ATC信号・軌道回路状態監視システム」も営業用車両3編成にて導入する計画である。

また、高速鉄道では初の試みとして「バッテリー自走システム」を採用。車体下部に大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載し、不測の事態により架線からの給電が行われなくなっても、最寄り駅やトンネル等を避けた場所など、乗客の避難が容易な場所まで最低限の自力走行が出来る仕組みを導入すると共に、トイレが使用できなくなる事態も回避できるようにした。

車内設備
N700系のデザインスキームを踏襲しつつ、曲面を多用したデザインとした。客室自動ドア上部の情報ディスプレイは従来のLEDタイプから液晶ディスプレイとなり大型化。また、防犯機能の強化のため、防犯カメラを従来の出入口付近に加えて客室内天井(1両あたり最大4箇所)にも設置した。

グリーン車は『ゆとりある空間と個別間の演出』をコンセプトに、座席はN700系の「シンクロナイズド・コンフォートシート」を進化させたものとし、座席ごとに荷棚と一体化した大型側面パネルを配置。フルアクティブ制振制御装置を搭載し、乗り心地の向上も図るとしている。

普通車は全座席の肘掛け部にモバイル用コンセントを設置。座席はシート(座面)と背もたれが連動して動く機構を採用した。座席表地にはJR東海とTBカワシマ(滋賀県愛荘町)が共同開発した、水に濡れると柄のラインが濃く浮かび上がって濡れていることを検知できる「水濡れセンサーシート」を採用している。また、両先頭車とパンタグラフ設置車にもフルアクティブ制振制御装置を搭載した。

 


確認試験車の製造
確認試験車は2018年2月に浜松工場へ順次陸送された。また、2018年3月7日にはN700Sのシンボルマークが決定し、同年3月10日には報道公開された。そして同年3月20日に走行試験を開始した。

 

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この車両は試験研究用車両としても利用され、試験走行試験期間は3年間を計画としており、リチウムイオンバッテリーによる自走走行試験も同年9月に、本来の16両編成の他に8両編成に短編成化での試験走行を同年10月に実施を計画しており、更には同年6月から乗り心地向上での「次期軌道状態監視システム」開発に走行試験をする計画もある。なお、N700Sの確認試験車は、量産車の登場後はN700系Z0編成の後継として、引き続き確認試験車として使用される見込みである。

2019年6月6日には360km/h走行の報道公開の試験列車が米原発京都行きとして運行され、最高試験速度362km/hを達成しているが、東海道新幹線の営業速度を変更する予定はない。

2019年7月10日には災害時の停電対応目的でのバッテリー自走走行を報道公開している。

編成一覧
運用
2020年7月1日に「のぞみ1号」「のぞみ3号」で営業運転を開始した。

JR東海の公式Twitterアカウント(東海道新幹線(東京~新大阪)運行情報 (@JRC_Shinkan_jp) - Twitter)で7月2日以降の次の日の運行予定を公表することが明らかになっており、8月31日分をもって終了された。

7月11日より「ひかり」「こだま」としても運用するようになった。2020年8月現在主に「のぞみ」で運用しており1日1往復以上の運転がある一方、「ひかり」「こだま」に運用するのは極まれとなっている。

 

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運転区間はJR東海の公式車両案内によれば「のぞみ」と「ひかり」は東京 - 博多間、「こだま」は東京 - 新大阪間で運用しているとしているが、山陽新幹線新大阪 - 博多間への乗り入れは運転開始日の2020年7月1日こそ「のぞみ」2往復に運用したものの、翌日の2020年7月2日より1か月以上運転がなかったほか、「ひかり」として山陽新幹線に乗り入れたことは一度もない。そのためほとんどが東京 - 新大阪間での運転となっている。

 

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なおJR西日本では自社管内に乗り入れを行う他社車両も車両図鑑で扱っているが、N700Sに関する記載はN700系のページに「一部の編成(N700S)については、全ての座席にコンセントを設置しています。」という記載がされているのみである。

Supremeコラボレーション
JR東海では、N700S運行開始に伴い、「Supremeコラボレーション」と題した各種宣伝展開を実施。YouTubeにも公式チャンネルを開設した。

ポスター
2020年6月27日より各駅で掲示。
テーマは「あなたが、走り出す日のために」。
新型コロナウイルスの影響により外出が制限された状況下、「東海道新幹線は歩みを止めない」「将来(新型コロナウイルス終息後)に想いを馳せる人々の想い」が込められた。
テレビCM
運行開始日の2020年7月1日より放映開始。
使用楽曲はイギリスのロックバンド、Queenの「Don't Stop Me Now(フレディ・マーキュリー作)」。
オリジナル漫才
お笑いコンビ・ミルクボーイ(駒場孝・内海崇)を起用したN700Sオリジナル漫才をYouTubeに公開。
子供向けオリジナルブック
おしりたんていとコラボレーションしたオリジナルブック「JR東海からの挑戦状」を制作。
記念オリジナルフード
崎陽軒(横浜) - デビュー記念の中華海苔弁当を完全予約制にて販売
坂角総本舗(名古屋) - 特別パッケージの海老煎餅を販売
池利(奈良) - 車体にちなんだ白と青の素麺と、ドクターイエロー版として黄色と青の素麺を発売。
今後
JR西日本も500系・700系・N700系の後継車両にN700Sを採用する予定と報じられている。また、2022年に九州旅客鉄道(JR九州)が武雄温泉駅 - 長崎駅間で暫定開業する九州新幹線西九州ルートでの導入が検討されている。

 

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海外では、JR東海が技術アドバイザーとなっているヒューストン - ダラス間の高速鉄道(テキサス・セントラル・レイルウェイ)で、N700Sを一部仕様変更した導入予定車両のイメージパースが公表されている。

新幹線N700S系電車
基本情報
運用者 東海旅客鉄道
製造所 日立製作所笠戸事業所
日本車輌製造
製造年 先行試作車: 2018年
量産車: 2020年 -
製造数 試験車:1編成16両
量産車:4編成64両
(2020年7月1日現在)
運用開始 2020年7月1日
投入先 東海道・山陽新幹線
主要諸元
編成 16両編成(14Ⅿ2T)
最高運転速度 東海道:285 km/h(曲線 +25 km/h)
山陽:300 km/h
編成定員 計1,323名
(うちグリーン車200名)


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