19世紀より前から様々な内燃機関が発明されてきたが、19世紀に入り都市ガスが普及し始めるとこれを燃料とする内燃レシプロエンジンの開発が活発となった。1860年代には様々な形式のガスエンジンが定置式の産業用原動機として普及し始め、ニコラウス・オットーらの4ストローク機関により完成の域に達した。
内燃機関 古濱庄一 東京電機大学出版局
同じ頃石油の採掘と精製が産業として確立し、ガスエンジンをガソリンで運転する試みが始められたが、ガソリンを継続的に気化する仕組みの開発がネックとなり、ガソリンエンジンの実用化はガスエンジンに多少遅れている。さらに少し遅れて、これら予混合燃焼の機関とは別のアプローチからディーゼルエンジンが発明された。
貯蔵と運搬が容易な液体燃料を使用する内燃機関の登場は、自動車の商業実用化や飛行機の発明を可能にし、特に輸送の分野に大きな発展をもたらした。
4ストローク機関は、空気と燃料の混合気を燃焼室へ取り込み燃焼して燃焼ガスを排出するまでの一連の動作(サイクル)が、ピストンの上昇と下降が2回ずつの合わせて「4回の行程」で行われる、容積型内燃機関である。1サイクルの間には、ピストンがシリンダー内を2往復してクランク軸は2回転する。
自動車やディーゼルエンジンを動力源とする鉄道車両や通常動力型潜水艦などで用られているほか、比較的小型の航空機でも用いられる。また、ような定置型の動力源、農林業で用いられる可搬型の作業機械としても広く用いられている。なお、大型船舶のディーゼルエンジンは2ストロークが多い。ホンダ・カブ(スーパーカブ)では4ストロークエンジンが採用され、低燃費(50スーパーカスタムでは180km/L)と高寿命高耐久性[1]により、日本国外にも多く知られている。
基礎から学ぶ高効率エンジンの理論と実際 飯島 晃良 グランプリ出版