マルチプルタイタンパー (Multiple Tie Tamper) とは鉄道の保線用機械の一種。略してMTTまたはマルタイとも呼ばれる。一般の鉄道車両と同様にレール上を自車の車輪で自走できるが、一般的には車籍を有しない機械扱いであり、これを用いて作業を行う時には線路閉鎖が行われる。
目的
列車走行に伴うレールのゆがみを矯正するために使われる。バラスト軌道の場合、列車が走行すると枕木が沈降し、レールがわずかにゆがむ。このゆがみは列車の乗り心地を悪化させる上に、高速走行を阻害する原因にもなり、定期的なメンテナンス(保線)が必要である。
マルチプルタイタンパーが導入される前は、つるはし(ビタ、ビーター)やタイタンパーで保線作業を行っていたが、大量の人員と長時間にわたる作業時間を要していた。
最新の機械では、機械操作に2人から3人、その他監視等に1人から2人で作業でき、一般軌道では100メートルを10分から15分程度でつき固めることができる。
機能・構造
機械がレールを掴んでミリ単位で持ち上げ、枕木下に隙間を設ける→ツール(爪のような部分)で砂利を突き固め、枕木下に砕石を入れることで予定の高さに線路を直していく。
またペダル操作により自走できるため作業もスムーズにできる。この作業で突き固めだけでなく、同時に高さの調整(高いところを低くすることはできない)や左右方向の歪み(狂い)も直している。ポイント部分でも突き固めることのできる高機能なものもある。最近ではこの作業の邪魔にならない形状のATS地上子が増えていて、突き固めたときに飛び散るバラストから地上子を保護するカバーも設置が進んでいる。
大型マルタイの良いところを、シンプルに必要な機能を厳選することで操作性をシンプル化。 メンテナンスの手間を大幅に削減。
通常の建設用機械(小型マルタイ、ハンドタンパー等)と比較し、正確かつ容易な軌道保守作業を実現します。 1時間当たり約150mの作業効率を実現。軌道保守の品質と経済性改善に最適な機械です。
8本のタイピングツールを備え、マクラギ1丁分の撞き固めを行うことができる。
Plasser&Theurerの一般的な08マルタイでは16本のタンピングツールでマクラギ1丁分の撞き固めを行うが、本形式では1丁のマクラギに対してツールの貫入角度を変えながら2回の撞き固めを行うことで同様の撞き固め能力を持たせている。
ガードレール及び分岐器区間ではツールを約17[°]傾けて作業することができる。
主要装備
ALC:目標とする軌道線形、補正値の記録、計算を全自動で行う。
DRP:線形の記録システム。10[km/h]以下での使用が可能である。
セルフローダージャッキ:トレーラーへの積載へ用いる。
転車台:方向転換に用いる。踏切等でセルフローダージャッキと組み合わせると容易にトレーラーへの積載が行える。
諸元
■ 寸法・重量
長さ 10,210[mm]
幅 2500[mm]
高さ 2,900[mm]
軌間 1,067[mm]
軸距 4,500[mm]
車輪径 730[mm]
自重 21.65[t]
■ エンジン
エンジン型式 DEUTZ TCD2013L6/2V/1529
エンジン出力 235[PS]/2100[rpm]
■ 走行性能
勾配 単車時
水平線 40[km/h]以上
40‰ 20[km/h]以上
■ 作業性能
施工速度 150[m/h]
参考:長野電鉄 パンフレット『UNIMA 4』.伊岳商事 新着情報『納入情報:コンパクト型マルタイ UNIMA(ウニマ)4』