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ましゅう ( AOE-425 ましゅう型補給艦)海上自衛隊

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ましゅう(ローマ字:JS Masyu, AOE-425)は、海上自衛隊の補給艦。ましゅう型補給艦の1番艦。艦名は摩周湖に由来する。

ましゅう型補給艦(ましゅうがたほきゅうかん 英語: Mashu-class replenishment oilers)は、海上自衛隊が運用する補給艦の艦級。建造費は約430億円。
2015年にいずも型ヘリコプター搭載護衛艦が就役するまでは最大の自衛艦であった。

昭和62年度計画で建造された8,100トン型補給艦(62AOE)をもとに、補給能力を向上させるとともに任務の多様化に対応した性能向上型とされている[2]。増大する護衛隊群の補給所要、機動運用する掃海隊群への支援、国際平和協力業務、国際緊急援助活動等の多様な事態に対応するため、当初は1万4,000トン型を計画したが、補給所要等を精査した結果、最終的に1万3,500トン型として建造することになった。

船体
構造様式は62AOEと同じく縦肋骨方式である。一部を除いて商船規格に基いて設計されている。船型は、62AOEと同じ上甲板の斉一化を図った長船首楼型を基本とするが、艦首部には更に1層の船首楼が設けられている。これは上甲板への波浪の影響を減らすための措置であった。このために従来のようなブルワークは省かれている。また揚錨機を船首楼内に配置したことで、投揚錨(錨関係)作業はここで実施することとされた。ただし、係留関係の機器や索具は船首楼上に装備される。

抵抗低減のため艦首はバルバス・バウとされており、またこれとあわせて艦首部のラインも従来になく絞り込んだ特異な形状となっている。補給物資搭載スペースの確保と速力向上を両立するため、水線上を広くとる一方抵抗軽減を意図し水線部を絞り込んだ形状となり、両舷には顕著なナックルが設けてある。また艦尾もかなり絞られており、機械室付近から艦尾にかけて曲線を形成している。なおヘリコプター甲板長確保のため、艦尾にはオーバーハングが付されている。

船体部については、特に傾斜船型とされているわけではないが、船体平行部は少ない。また上部構造物については、レーダー反射断面積(RCS)低減を意識して傾斜がつけられている[4]。なお2021年からは、順次ロービジ塗装への塗装変更が進んでおり、煙突頂部の汚れを目立たなくするための黒帯の廃止、艦番号及び艦名の灰色化かつ無影化、飛行甲板上の対空表示(航空機に対し艦番号下2桁を表示するための塗装)の消去などが行われている。

なお搭載艇としては、01甲板レベルの煙突両舷にダビットを設けて、11メートル作業艇を各1隻搭載している。また後部03甲板上には6.3メートル複合型作業艇1隻を搭載する。

また2番艦の「おうみ」には、新造時から女性用居住区が造られている(女性専用居住区は「ましゅう」にも設定されており、平成20年の対テロ作戦支援任務では14名の女性自衛官が参加した)。平成18年の対テロ戦争支援任務でのインド洋派遣(自衛隊インド洋派遣)にも19名の女性海上自衛官が参加している。


 

機関
本型は、海上自衛隊の補給艦としては初めて、主機関にガスタービンエンジンを採用している。機種としては、第2世代DD(汎用護衛艦)で巡航機として用いられたロールス・ロイス社のスペイSM1Cが選定された。

主機関の合計出力は40,000馬力で、62AOEの26,000馬力と比して大幅に強化されている。これは船型の大型化を補って余りあるものであり、速力は62AOEよりも2ノット優速の24ノットを発揮できるとされている。機械室はパラレル配置とされており、両舷に1基ずつの主機関が設置されて、減速機を介して両舷の推進器を駆動する。推進器としては、スキュー付き5翼の可変ピッチ・プロペラ(CPP)を採用している。

貨油ポンプが蒸気駆動から電気駆動に変更されていることもあって所要電力が大きく、出力1,500キロワットのガスタービン発電機3基とディーゼル発電機1基が搭載され、給電能力が強化されている。

なお水中放射雑音低減の観点から、主機関・減速機・発電機などは防振支持構造となっているほか、プロペラも大径化・低回転数化されている。

能力
補給機能
とわだ型で確立された手法をベースとして、これを全体的に改良・強化したものとなっている。補給物資搭載量は大幅に増加しており、さらに真水の補給能力も持つ。

洋上補給
「ましゅう」の補給ステーション。
補給ステーションは6箇所あり、艦橋からの視界改善のため門型からモノポール型に変更されている。中央の2つ(第3/4番)がドライカーゴ用、前後の4つが液体用であり、艦首よりの2つ(第1/2番)は主燃料、艦橋よりの2つ(第5/6番)は主燃料、航空燃料、真水用である。なお、とわだ型より省力化が進められている。

#外部リンクにある「おうみ」と護衛艦「かが」による相互洋上給油訓練映像(蛇管接続・離脱時のみの抜粋)のように、大型艦に対しては2か所のステーションを同時に使用しての給油も可能。

補給品格納・荷役
液体補給品
液体補給品のタンクは、弾薬庫の防御構造の一部として組み込まれており、弾薬庫の下部に貨油タンク、両サイドは補給用真水タンク、前後は補給用の燃料タンクが配置されている。搭載量は、主燃料と航空燃料はとわだ型比で約1.5倍になっており、貨油は10,000トン近くに達するとみられている。


第2甲板の両舷にドライカーゴの移送用の補給通路が設置されており、これは艦首から艦尾までほぼ全通している。補給通路上にはレール上を移動するバッテリー式フォークリフト(サイド・フォーク)が設置されており、補給物資を速やかに移送することができる。艦の中央両舷(補給通路上)、および後部左舷(医療区画後部)に昇降機が設置されており、これによって第1甲板と第2甲板の間で物資を移送できる。
弾薬については、第2〜4甲板において各2ヶ所ずつ、計6ヶ所の格納所が設置されている。格納所は前後の計2区画にまとめられており、各区画の格納所同士は昇降機によって連接されている。格納所内では、専用のフォークヘッドトロリーによって物資の移動が行なわれる。
また、食糧についても同様で、艦の中央部に設置された冷凍・冷蔵庫内で昇降機およびコンベアで移送されたのち、第2甲板で補給通路上のサイド・フォークに引き渡される。
#外部リンクの「おうみ」による固形物資移送映像では、冷凍庫~補給通路サイドフォーク~エレベータ~第1甲板~移送~回収の流れが確認できる。
航空補給
海自AOEでは、5,000トン型補給艦「さがみ」(51AOE)でHSS-2ヘリコプターを発着させられるようヘリコプター甲板を設置し、ヘリコプターによる物資移送(VERTREP)に対応した。発展型の8,100トン型補給艦では、MH-53Eヘリコプターに対応できるようヘリコプター甲板を拡張した。

本型では、更にヘリコプター甲板に連続して、VERTREP用の物資を一時集積するための飛行甲板荷扱所を設置した。物資が集積されていない場合、ここを格納庫として利用することができる。ヘリコプター甲板、格納庫のいずれも、建造当時海上自衛隊最大のヘリコプターであったMH-53Eまで対応した。

医療機能
本型は、自衛艦として最も高度な医療能力を備えていることで知られている。これは護衛艦隊の洋上後方支援を担当するという任務に対応したものであるが、阪神・淡路大震災規模の大規模災害派遣においても十分に活用できるものとなっている。このことから、災害時などには病院船としての運用が考慮されている。

医療区画は、艦後部、第2甲板レベルに設置されている。区画のすぐ裏には、第1甲板レベルの飛行甲板と第2甲板の間を往復する昇降機が設置されており、昇降機で移送されたストレッチャーを直ちに医療区画に移すことができる。

本型の医療区画は、手術室、集中治療室、X線撮影室、歯科治療室など充実した医療設備を備え、46床の入院設備を有している。重傷者用の第1病室(8床)、軽傷者用の第2病室(30床)、女性用または隔離室としても使える第3病室(7床)に区分されており、収容人数を確保するため、第2病室は二段ベッドを採用している。

自衛機能
「ましゅう」の装備する電波兵装
対水上捜索用のOPS-28E及び航海用のOPS-20を搭載する。 OPS-28Eはシースキマーの探知も可能とされている。また対空レーダーの搭載も考慮されている。また補給艦として初めて、戦術航法装置(TACAN)も搭載している。

本型は、海自AOEとして初の電子戦装置として、NOLR-8B電波探知装置を搭載している。原型のNOLR-8はミサイル・シーカー波の瞬時探知や全方位同時捜索に対応するなど、対艦ミサイル防御(ASMD)を重視して開発された電波探知装置であり、あさぎり型護衛艦「せとぎり」より装備化されていたものであった。

デコイ発射装置としては、Mk 36 SRBOCを搭載し、Mk.137 6連装チャフ・フレア発射機を艦橋ウイング後方両舷に各2基ずつ装備する。これは62AOEと同様の装備要領であるが、同級では後日装備であったのに対し、本型では当初より搭載した。

艦首と後部格納庫上部には高性能20mm機関砲(CIWS)の後日装備が計画されているが具体的な目処は立っていない。

また、12.7mm重機関銃等を装備可能な機関銃座が艦橋両舷に装備されている。 機関銃は、自衛隊における区分としては兵装ではなく搭載小火器扱いにはなるが、必要に応じ艦内の格納庫から持ち出され、銃座に設置・運用される。


「ましゅう」は、中期防衛力整備計画に基づく平成12年度計画13,500トン補給艦4015号艦として、三井造船玉野事業所で2002年1月21日に起工され、2003年2月5日に進水、2004年3月15日に就役し、護衛艦隊に直轄艦として編入され舞鶴に配備された。

2004年11月25日、第11次派遣海上補給支援部隊として、テロ対策特別措置法に基づき、護衛艦「ちょうかい」、「おおなみ」と共にインド洋に派遣された。12月18日、パキスタン海軍への燃料補給を皮切りに、2005年3月まで任務に従事し、5月10日に帰国。この帰国の際、映画「男たちの大和/YAMATO」の撮影に協力し、航行シーンと、乗組員が海上自衛隊員や派遣隊員の家族および市民による歓迎を受けている光景を撮影された。

2006年4月3日、護衛艦隊隷下に第1海上補給隊が新編され編入された。 同年6月26日、第16次派遣海上補給支援部隊として、護衛艦「さざなみ」と共にインド洋に派遣され、同年11月まで任務に従事し、12月22日に帰国。

2008年4月20日、新テロ特措法に基づき、護衛艦「いかづち」と共にインド洋に派遣され、同年8月まで任務に従事し、9月4日に帰国した。

2009年11月9日、再び護衛艦「いかづち」と共にインド洋に派遣されたが、2010年1月15日に新テロ特措法が失効したことに伴い活動が終了し、2010年2月6日に東京港晴海埠頭に帰国した。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東日本大震災に対し、災害派遣される。

2012年2月13日、昭和基地への補給を終え日本へ帰投中の砕氷艦「しらせ」が、海氷に閉じ込められた上、海図にない暗礁により舵を損傷し航行不能となった。事態を重く見た防衛省は輸送艦「おおすみ」に加えて「ましゅう」を救援のため南極海に緊急派遣することを決定したが、「しらせ」が無事脱出できたため、派遣計画は白紙撤回された。

2015年8月4日、フィリピンで開催される米太平洋艦隊主催の医療・文化活動「パシフィック・パートナーシップ2015(PP15)」に参加するため舞鶴を出航、ルソン島のスービック港を拠点に活動し、14日には、フィリピン西方海域で米海軍の大型病院船「マーシー」に対して洋上給油を実施し、8月19日に舞鶴に帰国した。

2019年9月17日から9月29日及び10月15日から10月23日までの間、 関東南方から沖縄周辺を経て九州西方へ至る海空域において日豪共同訓練(日豪トライデント)を実施する。海自からは本艦のほか、護衛艦「はるさめ」、「てるづき」、「あさひ」、「あたご」及びP-1哨戒機又はP-3C哨戒機と潜水艦が、オーストラリア海軍からは艦艇及び潜水艦が参加し、 各種戦術訓練を実施する。

2021年5月4日、沖縄周辺の海空域において、フランス海軍と「自由で開かれたインド太平洋」の実現に資する日仏の防衛協力関係を強化すべく共同訓練を実施した。フランス海軍からはフリゲート「シュルクーフ」が参加し、洋上補給を実施した。

2021年、ロービジ塗装へ塗装変更。その内容としては、煙突頂部の汚れを目立たなくするための黒帯の廃止、艦番号及び艦名の灰色化かつ無影化、飛行甲板上の対空表示(航空機に対し艦番号下2桁を表示するための塗装)の消去。

2023年2月22日日本海において米海軍駆逐艦「バリー」と日米共同訓練(ILEX23-2)を実施した。

現在は、護衛艦隊第1海上補給隊に所属し、定係港は舞鶴である。

ましゅう
基本情報
建造所 三井造船 玉野事業所
運用者  海上自衛隊
艦種 補給艦
級名 ましゅう型
母港 舞鶴
所属 護衛艦隊第1海上補給隊
艦歴
計画 平成12年度計画
発注 2000年
起工 2002年1月21日
進水 2003年2月5日
就役 2004年3月15日
要目
基準排水量 13,500トン
満載排水量 25,000トン
全長 221.0m
最大幅 27.0m
深さ 18.0m
吃水 8.0m
主機 川崎SM1Cガスタービン × 2基
出力 40,000PS
推進器 スクリュープロペラ × 2軸
速力 最大 24ノット
乗員 145名
兵装 Mk.15 高性能20mm機関砲(CIWS) × 2基(予定)
搭載機 ヘリコプター × 1機搭載可能
※平時搭載機なし
レーダー OPS-28E 水上
OPS-20 航海用
電子戦・
対抗手段 NOLR-8B 電波探知装置
Mk.137 デコイ発射機 × 4基


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