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じんりゅう (潜水艦)海上自衛隊

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じんりゅう(ローマ字:JS Jinryu, SS-507)は、海上自衛隊の潜水艦。そうりゅう型潜水艦の7番艦。艦名「じんりゅう」は仁愛の徳を持つ龍に由来する。建造費は545億8千万円。




「じんりゅう」は、中期防衛力整備計画に基づく平成23年度計画2900トン型潜水艦8122号艦として、三菱重工業神戸造船所で2012年2月14日に起工され、2014年10月8日に命名・進水、2015年7月30日に公試開始、平成28年3月7日に神戸造船所から防衛省に引き渡された。2016年3月7日に就役し、第1潜水隊群第1潜水隊に編入された。定係港は呉。






そうりゅう型潜水艦(そうりゅうがたせんすいかん、英語: Sōryū-class submarine)は、海上自衛隊の通常動力型潜水艦の艦級。13中期防に基づく平成16年度予算より、海上自衛隊初の非大気依存推進(AIP)潜水艦の艦級として建造を開始しており、10番艦まではスターリングエンジンによるAIPシステムを搭載している。その後、11・12番艦ではスターリング式AIPを廃止する一方、世界で初めて機関の構成要素にリチウムイオン蓄電池を採用した潜水艦級となった。


海上自衛隊では、平成5年度計画のおやしお型(05SS)より部分単殻構造・葉巻型船型を導入した。これは、通常動力型潜水艦が活動するような低速域については涙滴型船型と同等の流体力学的性能を確保しつつ、長大な側面アレイ・ソナーを耐圧殻に直接固定できるように配慮した設計であり、本型でも踏襲された。船体の基本設計は05SSと同様であるが、長さ11メートルのAIP区画を挿入したにもかかわらず、艤装の高密度化によって全長は2メートル程度の延長で収まっているが、これにより居住区画はおやしお型と比較して狭くなり、連続潜行時間の増加も併せて居住性は悪化した。船型についても、05SSと比べると艦首や艦尾の曲線が変更され、セイルをやや前方に移動させ、その基部にフィレットと呼ばれる流線形の覆いを追加するなどの改良を加えており、第2世代の葉巻型船型ということができる。なお、AIP区画の挿入によって船体内は6区画とされ、セイルへの昇降は第1防水区画から行うように変更されている。また前部脱出筒と魚雷搭載口は、将来装備予定の個人脱出スーツ(Mk.10)の寸法に配慮して分離された。


ターゲット・ストレングス(TS)低減のため、水中吸音材・反射材の装備やセイルの傾斜構造化を行った点では05SSと同様だが、本型では、入射音を音源と異なる方向に全反射させる反射材が開発され、船体全てが水中吸音材または反射材で覆われることになった。またフィレットの設置も、水中抵抗の低減とともに、乱流による雑音発生の低減による水中放射雑音削減に益しているとされている。


外見上の最大の変化が後舵装置(X舵)の採用である。従来は、回頭を担当する垂直舵(縦舵)と姿勢制御を担当する水平舵(横舵)による十字型舵を採用してきたのに対し、X舵ではこれらを45度ずつ傾けた形で装着して、4枚の舵すべてに回頭と姿勢制御の両方の役割を担当させるものである。この方式は機動性に優れるほか、舵面の1枚が損傷しても他の3枚で分担できることから冗長性にも優れ、また着底・沈座・接岸時にも舵面が損傷しにくいというメリットがある。以前、アメリカ海軍が実験潜水艦「アルバコア」で試験を行ない、同国での採用は見送られたもののヨーロッパを中心に採用例が多く、例えばスウェーデン海軍では1960年代末のシェーオルメン級(A-11B型)より採用している。本型での採用は、機動性向上によって艦型の大型化を補うことを狙ったものであった。


スターリングエンジン搭載型
本型の10番艦まではスターリング発電機による非大気依存推進(AIP)システムが搭載されている。本型で搭載されたシステムは、「あさしお」やスウェーデン海軍A-19型で搭載された4V-275R Mk.II(連続定格出力65キロワット)の発展型である4V-275R Mk.III(連続定格出力75キロワット)を4基用いており、第4防水区画の上層にスターリング発電機が両舷2基ずつ、下層には液体酸素タンクが両舷に1基ずつ配置されている。なお4V-275R Mk.IIIは川崎重工業でライセンス生産化されている。


ただしスターリングAIPシステムは出力が低い低速機(4~5ノット程度)であるため、高速力を発揮する際には、従来通りの鉛蓄電池もしくは浮上してディーゼル・エレクトリック方式が用いられる。ディーゼルエンジンとしては、はるしお型(61SS)以来用いられてきたV型12気筒の高速4ストローク機関である川崎重工業12V25/25Sの小改良型である12V25/25SBが搭載された。


AIPとともに本型で導入された新機軸の1つが永久磁石同期電動機である。従来の潜水艦では直流電動機を採用してきたが、既に進化の極致に達していた。一方、一般産業界では、電力用半導体素子技術や制御技術の進歩を背景として、大型交流電動機を半導体電力変換装置によって可変速運転するシステムが発展していた。このシステムは、速度切替の機構操作が不要であり、また整流子・ブラシ・界磁励磁回路・スリップリングがなく小さくでき、保守が容易であるなど多くのメリットを備えていたことから、世界的にも珍しい潜水艦用交流電動機装備が開発されて搭載されたものである。


リチウムイオン蓄電池搭載型
技術研究本部では、平成9年度より、次世代の潜水艦用蓄電池として、リチウムイオン蓄電池の開発に着手していた。これは、従来の鉛蓄電池と比べて、水素ガス発生の危険がなく、2倍以上の重量容積あたりエネルギー密度と、1.5倍以上の繰り返し充放電回数を持ち、充電時間が短く、放電による電気容量の低下を抑えられ、高率放電を長時間持続できるなど、多くの優れた特性を持っていた。特に充電時間については、鉛蓄電池では発電機出力に余裕があってもそれ以下の電流量で充電せざるをえず、また完全充電に近づくと少量ずつしか充電できないために、作戦海域で満充電することがほとんど不可能であったのに対し、リチウムイオン蓄電池ではこれらの制約を受けないことから、潜水艦にとっては非常に望ましいものであった。


当初は本型5番艦(20SS)からこれを導入することで、艦の巡航速度を改善し高速航行可能な時間を増大させることも検討されていた。その後、一度は平成29年度計画で建造予定の新型艦まで待って導入する方針となったものの、結局は、平成27年度計画で建造された本型11番艦の「おうりゅう」から先行搭載されることになった。。搭載にあたっては、鉛蓄電池のみをリチウムイオン蓄電池に置き換える手法と、スターリングAIPシステムと鉛蓄電池の双方をリチウムイオン蓄電池で置き換える手法が比較検討され、後者のほうがコストは高いが出力も大きいため、在来潜やAIP潜より高速での水中連続航行が可能となることが期待された。最終的にこの方式が採択され、リチウムイオン蓄電池はGSユアサが受注した。前年度計画の本型10番艦「しょうりゅう」の建造費は約517億円だったのに対し、同艦の建造費は約643億円と、100億円以上の価格上昇となっているが、その大部分がリチウムイオン蓄電池の費用とみられている。


スターリングエンジン搭載型と比べると軸馬力は8,000馬力から5,600馬力に低下したとする資料があるが、海上幕僚監部の資料ではそうりゅう型の機関出力は全て5,884kW(8,000仏馬力)となっており、リチウムイオン蓄電池搭載による機関出力の低下はみられない。また、上記のようなリチウムイオン蓄電池の特性から、長時間に渡って持続的に中・高速力を発揮できるようになったものとみられている。同艦の就役にあたり、海上自衛隊は「リチウムイオン電池を新たに搭載することにより、従来型潜水艦に比べ、水中の持続力や速力性能など大幅に向上した潜水艦」と発表した。


装備
装備面での最大の変化がネットワーク化である。海上自衛隊の潜水艦では、ゆうしお型(50SS)より潜水艦指揮管制装置(05SSでは潜水艦情報処理装置)を導入したものの、これは基本的に武器管制システムおよび魚雷発射指揮システムであり、情報処理は各センサーが独自に保有するデータベースによって個々に行われていた。これに対し、本型のシステムでは、主要なセンサーや武器が基幹信号伝送装置(SLI)と称される二重の光ファイバーによるLANによって連接され、情報処理装置(Target Data Base Server, TDBS)をサーバとして、情報管理を共通化している。端末装置としては、水冷式の潜水艦情報表示装置(MFICC)が6基配置される。また、これらのネットワーク化システムによって生成された情報を意思決定に反映するためのインタフェースとしてZQX-11潜水艦戦術状況表示装置(Tactical Display System, TDS)が導入された。ここにセンサー情報や航海情報、さらにはMOFシステムから配信されるノンリアルタイムの情報まで全てを集約することで、従来の対勢作図盤よりも多くの情報を迅速に表示できるほか、乗員間での共通戦術状況図(CTP)や共通作戦状況図(COP)の生成も可能となった。


また艦外のネットワークへの連接のため、ZYQ-31 指揮管制支援ターミナル(C2T)が搭載された。これはおやしお型後期型から装備化されたものであるが、同型はネットワーク化されていないために、C2Tで得た情報はその端末上でしか表示できなかったのに対し、本型ではC2TとTDSが連接されたことから、TDSの画面にその情報を重畳表示できるほか、SLIを介して各コンソールでも見られるようになった。また、艦の情報を上級司令部に送信することもできる。このほか、7番艦からは新たなXバンド衛星通信装置が装備された。2020年の衝突事故において通信アンテナが全損し、司令部と長時間通信が不可能だったことを踏まえ、衛星携帯電話など艦のシステムとは独立した通信装置の導入が検討されている。






ソナーシステムはZQQ-7(2番艦以降ではZQQ-7B)に改良されている。これらは、基本的には05SSのZQQ-6と同様、艦首アレイ、側面アレイ、曳航アレイおよび魚雷警報装置(逆探ソナー)で構成されているが、艦首アレイについては、利得向上のため、従来の円筒アレイに対してカージオイド指向性を形成するようなかご形構造とされている。また潜望鏡は従来の光学式2本から、従来型と非貫通式潜望鏡1型(イギリス、タレスUK社製非貫通式潜望鏡CMO10を三菱電機でライセンス生産)各1本へ変更された。


兵装としては、艦首上部に6門のHU-606 533mm魚雷発射管を装備している。89式魚雷及び、ハープーン対艦ミサイルを搭載している。また8番艦(SS-508)「せきりゅう」からは新たに潜水艦魚雷防御システム(Torpedo Counter Measures :TCM)を装備した。魚雷発射指揮装置としては潜水艦発射管制装置ZYQ-51が搭載されているが、これはSLIに連接されてサブシステムとなっている。


じんりゅう
基本情報
建造所 三菱重工業 神戸造船所
運用者 海上自衛隊
艦種 AIP通常動力型潜水艦
級名 そうりゅう型
建造費 545億8,000万円
母港 呉
所属 第1潜水隊群第1潜水隊
艦歴
計画 平成23年度計画
発注 2011年
起工 2012年2月14日
進水 2014年10月8日
就役 2016年3月7日
要目
基準排水量 2,950t
水中排水量 4,200t
全長 84.0m
最大幅 9.1m
深さ 10.3m
吃水 8.5m
機関 ディーゼル・エレクトリック方式および非大気依存推進方式
ディーゼルエンジン × 2基
川崎/コックムス 4V-275R MkIIIスターリングエンジン × 4基
電動機(交流同期電動機) × 1基
蓄電池 × 480個
出力 水上 3,900PS
水中 8,000PS
推進器 スクリュープロペラ × 1軸
速力 水上 13kt
水中 20kt
潜航深度 不明
乗員 65名
兵装 533mm魚雷発射管 × 6門
(89式長魚雷およびハープーン対艦ミサイルを発射可能)
C4ISTAR ZYQ-31 指揮管制支援ターミナル
情報処理装置(TDBS)
ZQX-11 潜水艦戦術状況表示装置
ZYQ-51 潜水艦発射管制装置
レーダー ZPS-6F 水上
ソナー ZQQ-7B 統合式
探索装置・
その他装置 潜望鏡
電子戦・
対抗手段 ECM

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