昭和18年6月18日、瀬戸内海柱島泊地で謎の爆沈をした戦艦『陸奥』の両舷に搭載されていた副砲
50口径三年式14cm砲は、日本海軍の開発した艦載砲。伊勢型戦艦や長門型戦艦の副砲、天龍型軽巡洋艦、5500トン型軽巡洋艦や各種艦艇の主砲として使われた。
超弩級戦艦以降の副砲としては50口径四十一式15cm砲が搭載されてきたが(金剛型および扶桑型戦艦)、この砲の弾丸重量は45.4kgもあった。欧米人に比して体格で劣る日本人が、人力装填によりこの砲を長時間連続発射するのは難しいと考えられ、より軽量な砲弾を使用する速射砲の開発が望まれた。1914年に制式化された本砲は、弾丸重量38kgとなり前述の砲に比べて一発あたりの打撃力は低下したが、一方で射撃速度は向上し、また最大射程もほとんど変わらないという優秀な性能を示した。
戦艦にはケースメート(砲郭)式の単装砲として装備された。軽巡洋艦等に搭載された砲では、単装砲架で後方が開放された砲楯式(シールド)であったが、連装砲型では一部を除いて砲員を防護する砲室を持っていた。
軽量で設置が容易なことから各種の中型小型の艦船にも搭載され、太平洋戦争でも代表的な艦砲の一つとして活躍した。一部は陸上に設置され要塞砲として利用されている。
なお、本砲は平射砲であり、有効な対空戦闘能力を持たなかったため、戦時中に搭載艦船が改装された際には、しばしば一部または全部が撤去され高角砲等に換装されている(例えば、伊勢型戦艦の航空戦艦への改装、5500トン型軽巡洋艦の改装時など)。
重量 21t(単装砲)
50t(連装砲)
砲弾重量 38 kg
口径 140mm口径 / 50口径長
仰角 -7°/+30°314
俯仰速度: 8度/秒(単装砲), 6度/秒(連装砲)
旋回角 旋回速度: 8度/秒(単装砲)
4度/秒(連装砲)
動力 装填:人力
俯仰・旋回: 電動油圧方式(人力旋回可)
発射速度 10発/分
初速 850m/s
最大射程 19,100 m