新幹線「ひかり」の普通車に登場した“背中合わせ”型リクライニングシート。中ひじ掛けははねあげられ、手前のシートがリクライニングの状態になっている。
現在の東海道新幹線はすべて「リクライニングシート」ですが、1964(昭和39)年に0系が登場した際、座席がリクライニングできたのは一等車(グリーン車)のみでした。当時はいまほどリクライニングシートが一般的でなく、0系の二等車(普通車)は背もたれを前後に動かして座席の向きを変える「転換クロスシート」が採用されていたのです。
しかし昭和50年代に入り、国鉄が輸送サービスの向上を図るためアンケート調査を行ったところ、リクライニングシートを望まれる声が多いことが判明。そこで1980(昭和55)年11月から、0系の普通車をリクライニングシートに取り替える改造工事が始まります。また翌1981(昭和56)年に登場した0系車両からは、普通車の座席が全てリクライニングシートになったほか、定員を減らして座席の前後間隔(シートピッチ)を94cmから98cmに拡大するなど、居住性の向上が図られました。
ただ3人掛け座席は横幅が広く、向きを変えようと回転させると前後の座席にぶつかるため、リクライニングは可能でも座席の向きを変えることはできないという形にせざるをえませんでした。
これを解決したのが1985(昭和60)年にデビューした100系です。シートピッチを98cmから104cmへ拡大することで、横幅のある3人掛け座席でも前後座席にふつからずに、回転させることが可能になりました。 この普通車104cmというシートピッチは100系以来、東海道新幹線の標準となっています。