Quantcast
Channel: 観光列車から! 日々利用の乗り物まで
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3251

キャブオーバーバス(T5型-1951年式 日産)

$
0
0


標準であったボンネットバスの車体を前の方まで伸ばし、運転席をエンジンの横に配置したものをキャブオーバーバスと呼びました。客室面積が拡がり輸送力が増大し、乗客の多い都市間輸送で活躍しました。 一般の路線バスとして使用されたガソリン車として最終期を代表し、貴重です。

中島飛行機は終戦後GHQに接収され賠償指定工場となり富士産業(現・富士重工業)へ改称。旧海軍機生産の小泉製作所がバス車体生産で民需転換を申請し小泉ボデー製作所を設立。中古の日産180シャーシに架装したジュラルミン製キャブオーバーT1型バス1号車完成。 賠償問題の一部が解決し小泉ボデー製作所解散。富士産業伊勢崎工場が小泉ボデー製作所のバス事業を継承。GHQ払下げのGMC CCKW353トラック等にキャブオーバーT3型(屋根丸い)およびT5型(前窓凹)ボディを架装。この頃GHQが持ち込んだGMCリヤエンジンバスが日本のバス関係者に影響を与え始める。

キャブオーバー、またはキャブオーバー型とは、自動車の構造上の分類の一つ。エンジンの上にキャブ(運転席)があるものを意味し、主にトラックなど中・大型車で使われている。キャブオーバーの長所と短所は、ボンネット型のそれと全く正反対であると言える。キャブオーバーの長所として挙げられるのは、全長方向に対するパッケージが優れていること。運転席とエンジンが二階建て構造になっているため、全長方向に対しこれらが要する空間を圧縮できるからだ。

トラックが効率よく荷物を運ぶためには貨物室を大きくしなければならず、逆にそれ以外の部分が大きく容積を取ることは好ましくない。また大抵の国では車体の大きさに制限がかけられており、全長もその一つで、設計においてはこの規制値を超えないようにしなければならない。つまり限られた全長の中で最大限に貨物室を大きくしなければならず、故にエンジンと運転席が占有する空間を圧縮できるキャブオーバーのメリットは非常に大きい。これが日本やヨーロッパなど多くの国でキャブオーバーが主流となった、つまりボンネット型が廃れた主因と言えるだろう。
一方でキャブオーバーをボンネット型と比べた場合、短所として以下の四つの不利があげられる。
①衝突安全性で不利 ②空気抵抗で不利 ③乗員の快適性で不利 ④整備性で不利


衝突安全性は、運転席の前方にクラッシャブルゾーンが殆ど無い事が原因で、ワンボックス車など小型の商用車・乗用車も同じような不利を抱えている。空気抵抗で不利なのは、ボンネットが無いことで空気の流れを滑らかにしづらい傾向があることから。快適性の不利は、自動車の騒音及び振動の主たる発生源であるエンジンの真上に乗員が乗ることによるもの。そして運転席がエンジンの真上にあることから、キャブオーバーではキャブそのものをボンネットのように持ちあげたり、或いは運転席を跳ね上げて整備口を開かならければならない。

これはボンネットを開けるだけでエンジンを広く見渡せるのと比べれば、整備面で不利である。北米で今でもボンネット型が主流なのは、こういった面でボンネット型の方が有利で、また国土が広大で全長方向の制限が緩い為。キャブオーバーの短所は一般論であり、全てのキャブオーバー車がボンネット車に上記四点で必ず劣るとは限らない。各メーカーは車体細部の形状、エンジン、トランスミッション、キャブ構造などを改善し続けており、燃費や快適性、整備性を向上させている。

 

形式 TN714型1625号 登録番号 東2-58277
製造年 1951(昭和26)年
製造会社 富士重工業(エンジン日産)
最大寸法
(車体長×車幅×高さ)
7400×2200×2800mm
主要機器 エンジン ボア3 1/4インチ(8.25cm) ストローク4 1/2インチ(11.43cm) 気筒数6(3.668cc)
定員 45人
廃車 昭和40年代初め

 

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3251

Trending Articles