JR西日本225系電車 紀州路快速
西日本旅客鉄道(JR西日本)の直流近郊形電車で1994年から2008年まで製造された223系の次世代車両にあたる車両で、2009年9月16日の定例社長会見において新造が発表されました。初回製造分は、約300億円をかけて東海道本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)・山陽本線(JR神戸線)・湖西線・北陸本線・赤穂線の新快速・快速などで運用される0番台が110両と、阪和線・関西空港線の関空快速・紀州路快速などで運用される5000番台116両の、合計226両を製造する。新快速用の車両としては6代目、関空快速・紀州路快速用の車両としては2代目の形式となります。2009年10月23日に神戸駅と大阪駅で、24日に天王寺駅と京都駅でそれぞれ車両展示会が開催されました。日本産業デザイン振興会の2011年度グッドデザイン賞を受賞しています。
JR西日本が所有する従来車両に比べて、さらに安全性向上を図るとともに、車内設備や旅客サービスを改善しています。ステンレス鋼 (SUS301, SUS304) を使用した連続溶接構造である。ただし、運転台部分は鋼製である。全電動車編成とすることによって、車両構体の共通化によるコスト削減が図られています。
2005年4月25日に発生したJR福知山線脱線事故を受け、列車が衝突した際、運転席周りに比べて相対的に強度を低くした先頭上部が先につぶれることで力を上方へ逃がし、乗客への衝撃と客室の変形を抑える構造(クラッシャブルゾーン)をJR西日本の車両で初めて採用しています。この衝撃吸収の仕組みはJR西日本が独自に開発したもので、「ともえ投げ方式」と呼ばれます。これらを採用したことによって、前面形状が223系までと異なっている。このほかにも、床・側板・屋根の接合を強固にし、前面方向以外からの衝突に対しても変形を少なくする設計となっています。
また、223系2000・2500・5500番台同様、コストダウンの一環としてメーカーごとの工法の差がある程度許容されており、製造メーカーによって妻面のビードの有無(川崎重工業製はあるが、近畿車輛製はない)など、細部が異なります。車体前面はガラス周辺部を黒い塗色とし、前照灯およびフォグランプにはHIDが使用されている。車体塗色は223系と同様で、0番台は車体側面と正面に白・茶・青・薄茶の帯を、窓部分に茶色の幅広帯を配しており、5000番台は車体側面に白と青のグラデーションの帯とペールブルーの幅広帯を配しています。本線用0番台とは異なり、223系0・2500番台に準じて帯は正面まで回りこんでいません。側窓は、223系と比較すると最終増備車の2000番台7次車では座席の列数に合わせて5枚あったのに対し、225系では3枚に減らされ、中央部は大型のガラスが採用されています。207系と同じ調律のミュージックホーンが引き続き採用されている。他系列車と同様にペダルを軽く踏むとミュージックホーンだけが、強く踏むと通常の空気笛が同時に鳴る仕組みです。
基本構造は223系と同じシートピッチ910mmの転換クロスシートが扉間に5列(扉横は固定式)、車端部(運転台およびトイレ設置部を除く)に向かい合わせ式の固定クロスシートが設置されている。座席配列についても223系と同様で、0番台には補助席を設けているが、5000番台は空港輸送を考慮して1人+2人席とし補助席は設置されていない。座席のモケットは、0番台が暖色系、5000番台が寒色系のシートを使用しています。
つり革や手すりは大型化され、緊急時につかまりやすく考慮されており、オレンジ色に変更されている。225系ではつり革の数を増やし、1両につき223系の80個からおよそ1.5倍となる124個を設置しています。また、手すりの端部を曲線化することにより、乗客が手すりに衝突した時でも衝撃力が集中しないように配慮されています。
優先座席付近については、つり革を緑色化することによりそのエリアを明確化させている。また、バリアフリー新法の施行により、トイレの形状の変更が行われ、223系では編成に1箇所であった車椅子スペースを2箇所に増設している。客用ドアの室内側には黄色のラインを追加し、ドア開閉ランプを設置している。また、JR西日本の車両では初めてとなるドアエンジンの戸締め力弱め機能が追加されています。トイレの汚物処理方式は、223系1000・2000番台では浄化式(カセット式)、223系0・2500番台は循環式であったが、225系では0・5000番台とも真空吸引式に変更されている。運転室背面の仕切り構造はワンマン運転対応の125系3次車・223系5500番台・521系・キハ122・127系などと共通です。案内装置については、自動放送装置と、321系で採用実績のある車内旅客案内装置「WESTビジョン」を導入し、19インチの液晶ディスプレイを、乗降扉間に1台4面を、車内両端に1台2面を、それぞれ2箇所ずつ設置している。この装置では日本語と英語の表示に対応しているほか、225系では途中で増解結を伴う運用にも投入されるため、それに関する案内にも対応しています。