セスナ スカイホーク(Cessna Skyhawk)は、4座席、単発プロペラ推進、高翼式の軽飛行機で、セスナ・エアクラフト・カンパニー(以下セスナ社と略称する。)が製造している軽飛行機である。1955年に初飛行し翌1956年に引き渡しが始まった。シリーズ名別で集計した場合、2015年時点で累計生産機数は4万5千機に達し、歴史上世界で最も多く生産されている機体シリーズである。
当初はモデルナンバーのセスナ 172 (Cessna 172)の名称で販売されていたが、現在では愛称だったスカイホーク(Skyhawk)を商品名としている。
1920年代に製造されたセスナ社の最初の製品の「モデルA」を観ると、当時の機体材料は木金混構造の骨組に布張りといった相違点もあるが、現在のセスナ社が製造する単発軽飛行機の高翼配置単葉という基本デザインの片鱗を窺うことができる。1930代の大恐慌直後に開発された「モデルEC-1」や「モデルEC-2」を見れば、ランディングギアの配置を除きほぼの現在のモデル 172とほぼ同じデザインに到達していたことが解る。
セスナ社は自社の設計した飛行機の内、民間機については第二次大戦後に開発された機体シリーズから3桁の数字の「モデルナンバー」で表すようになった。
モデル 172のデザインの基となる直系の機体シリーズはモデル 170である。モデル 170は、高翼配置単葉の翼、金属製のセミモノコック構造の胴体、水平対向の空冷ピストンエンジンを採用していた。モデル 172においてもこれらの基本デザインは踏襲された。一方でランディングギアの形式が尾輪式から前輪式に、主翼の外板が布製から金属製に変更された。垂直尾翼の形は楕円型から矩形に変更となった。基本形状はほとんど変更されていないが、グラスコックピットの採用などアビオニクスのアップグレードは定期的に行っている。小型機のプロペラにはハーツェル・プロペラが採用されることが多いが、モデル 172はセスナと同じテキストロン傘下のマコーレイ・プロペラ・システムズ製が採用されている。
モデル 172の最初の飛行は1955年に行われた。この年に量産が開始し、1956年から引き渡しが始まった。
以降、年を経るに従い少しずつ改良を重ね続け、次々と新しい型式を開発し製造を続けた(特に1960年代はセスナ社の意向で当時の自動車メーカーと同様に毎年新しいモデルを売り出していた)。その後1980年代には、製造物責任法絡みの問題と事業の採算性を理由として、182スカイレーンや206ステーショネアなどの他のモデルと共に製造中止の憂いを受けることとなる。1996年には製造販売が再開された。
高翼式のため安定性が高く、練習機や撮影機などの事業用から個人所有の遊覧機までゼネラル・アビエーションで人気が高い。また製造数が多いため習熟した整備士や中古機も多いことも人気の理由である。
Robert Timm とJohn Cook は、ラスベガスのマッカラン国際空港から飛び立ち、1958年12月4日から1959年2月7日に64日22時間19分5秒の滞空時間の記録を保持している。給油は走行中のトラックから行った。1987年にマチアス・ルストがモスクワの赤の広場に着陸した時にも使用された。
軍用型はT-41 メスカレロと呼ばれる。
型式172
モデル 172の基本型式である。最初の機体は1955年に製造が開始され、1956年から引き渡しが始まった。1960年初頭に新型式172Aが登場するまで製造を続けた。コンチネンタル社製O-300(145hp)水平対向6気筒空冷エンジンを搭載し、最大離陸重量は2,200lb(998kg)である。オプション無しの当時の基本価格で8,995米ドルであった。1960年に製造終了となるまでの5年間で合計4,195機製造された。1956年モデルともいう。
寸法諸元
全長:8.28 m (27 ft 2 in)
全高:2.72 m (8 ft 11 in)
全幅:11.0 m (36 ft 1 in)
翼面積:16 m2 (174 ft2)
ホイールベース:1.65 m (5 ft 5 in)
トレッド:N/A m (N/A ft)
室内高さ:1.22 m (48 in)
室内幅:1.00 m (40i n)
室内長:3.61 m (11 ft 10 in)
座席数:4
貨物重量:54 kg (120 lb)
貨物容積:0.85 m2 (30 cuft)
重量諸元
最大ランプ重量:1,160 kg (2,558 lb)
最大離陸重量:1,157 kg (2,550 lb)
最大着陸重量:1,157 kg (2,550 lb)
最大無燃料重量:N/A kg (N/A lb)
燃料重量:144 kg (318 lb)
燃料容量:201 L (53 gal)
運用自重:744 kg (1,641 lb)
有効積載量:416 kg (917 lb)
最大有償荷重:413 kg (911 lb)
最大燃料時有償荷重:272 kg (599 lb)
性能諸元
最大巡航速度:230 km/h (124 kt)
航続距離:1,185 km (640 nm)
離陸距離:497 m (1,630 ft)
離陸滑走距離:293 m (960 ft)
着陸距離:407 m (1,335 ft)
着陸滑走距離:175 m (575 ft)
実用上昇限度:4,267 m (14,000 ft)
海面上昇率:223 m/分 (730 ft/分)
超過禁止速度:302 km/h (163 kt)
失速速度:89 km/h (48 kt)
パワープラント
製造者:ライカミング・エンジンズ
型式:IO-360-L2A
出力:180 hp
プロペラ製造者:マコーレイ・プロペラ・システムズ
プロペラ形式:金属製2翼、固定ピッチ