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78式 戦車回収車

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74式戦車の導入に伴って開発された車両で、戦後の国産戦車回収車としては70式戦車回収車に次いで2車種目にあたる。74式戦車の車体を流用して、ブームクレーンや各種の回収/整備機材を搭載したもので、1978年に制式採用され、約50両が生産された。

74式戦車を装備する戦車部隊のある師団/旅団の後方支援部隊整備隊の戦車直接支援隊の他に、戦車教導隊、武器学校等に配備されている。90式戦車は重量が50tと74式戦車より重くなったため、これを支援するには78式戦車回収車では能力不足となる。そのため、90式戦車を装備する部隊には90式戦車を元に開発された90式戦車回収車が配備されている。

74式戦車から砲および砲塔を取り除いた車体部に回収装置を取り付けた車輌で、戦車や装甲車等の野外回収作業および整備に使用する。車体右側についている吊上げ能力20tの巨大なクレーンで、戦車のエンジン交換を行なう事ができるほか、38tの牽引能力を持つウインチも備えている。以前は戦車部隊に直接配備されていたが、最近では後方支援連隊の戦車直接支援中隊に移管しているようだ。74式戦車の女房役としてなくてはならない存在である。

車体前部右側にブームクレーン、車体前面にはウィンチを装備し、車体前部左側は戦闘室となっている。自衛用に戦闘室天面には12.7mm重機関銃M2 1丁を搭載し、車体前面左右には3連装煙幕弾発射器をそれぞれ装備している。車体前面下部にはドーザープレートを装備するが、これは主に作業時の駐鋤(ちゅうじょ、スペード)として車体を安定させるために用いられる。クレーンは20トン、ウィンチは38トンの吊り下げ/牽引能力を持つ。車体後部上面のエンジンデッキ上には、予備、もしくは故障/損傷車両から取り外したエンジンや変速装置等を搭載して運搬することが可能である。
74式戦車と同じく油気圧式懸架装置を備えており、作業の際には車高を下げることによって重心位置を下げ、安定した作業を行うことができる。変速装置は6速セミオートマチックであるがクラッチがあり、クラッチは一速と後退へ変速する際に使用する。


2009年の陸上自衛隊「協同転地演習」では、本来鉄道輸送を前提としていない78式戦車回収車が、その履帯を取り外した状態で、JR貨物の機材輸送列車にて、試験的に鉄道輸送された(往路のみ)。2011年東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所事故の対応作業上、障害となるがれきの除去のため派遣された74式戦車2両へ、駒門駐屯地より1両が付随した。

乗員数 4 名
速度 約53km/h
全長 7.95m
全幅 3.18m(スペードを取り外した状態)
全高 2.40m
全備重量 約38.9t
牽引力 38t
つり上げ力 約20t
最高速度 53km/h
武装 12.7mm重機関銃M2×1
エンジン 三菱10ZF22WT
空冷2ストロークV型10気筒
ターボチャージド・ディーゼル
720hp / 2,200rpm
製作 三菱重工

 


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