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CCV研究機 三菱 T-2

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CCV研究機

防衛庁技術研究本部(技本)が将来の戦闘機開発に必要な要素の研究を実施する為に用いた機体。CCVは Control Configured Vehicle の略で、運動能力向上機と称する。コンピュータ制御により機体に見かけ上の静安定を作る事により、運動性が著しく向上する。

CCVの研究は三菱を主契約企業として1978年(昭和53年)に始まった。T-2 #103号機の機体をベースにして、機首に垂直1枚・水平2枚のカナード翼を取り付け揚力中心位置を変更しているほか、主翼のスポイラーを廃止して主翼後縁フラップをフラッペロンに変更、デジタル・フライ・バイ・ワイヤ・システムを使用して、動翼をコンピューターで制御する機構をもたせている。1983年(昭和58年)8月9日に初飛行、10月14日に小牧飛行場にて一般にも公開した。

しかし、その後のCCVモードでの初飛行の際、脚上げ直後から始まったロール振動が発散を始め、最終的に左右に90度近くなった。パイロットは咄嗟に脚下げとMBU(Mecha­nical Back UP)システムへの切り替えを行い、緊急事態を宣言して着­陸した。原因はフライ・バイ・ワイヤ・システムのロールゲインを100%にしたところ、PIO(Pilot Induced Oscillation)を励起したものであった。この時期、フライ・バイ・ワイヤ・システムを搭載した最新鋭機で似たような事故が多発していた。最終的にこの問題はロールゲインの設定値を調整する事で解決した。 この模様はテレビカメラで撮影されており、全国ネットの報道番組で放映される事となった。 1984年(昭和59年)に技本が受領し、実験航空団による各種支援のもと、操縦性応答の最適化など基礎実験が2年にわたり延べ90時間行われた。機体は1987年(昭和62年)に返還され、T-2CCVの部隊使用が認可された。

技術は将来の次期支援戦闘機FSX(F-2)に利用できると考えられていたが、FSXは米国との共同開発でF-16をベースにすることになったので、技術を生かしきることはなかった。しかし、当初輸入としていたフライト・コントロール・システムは、T-2CCVで確立した技術を採用している(米議会によるF-16のFBWソースコードの供与拒否でFSXが開発中止にならなかったのは、T-2CCVの成果が一応あったので、独自開発することができたためだとされている)。

技術研究本部(ぎじゅつけんきゅうほんぶ、英語:Technical Research and Development Institute、略称:TRDI)は、かつて防衛省に置かれていた特別の機関のひとつである。略して技本(ぎほん)とも呼ばれる。

自衛隊の装備品等(装備品、船舶、航空機及び食糧その他の需品)についての技術的調査研究、考案、設計、試作及び試験並びに自衛隊において必要とされる事項についての科学的調査研究を行っていた。

防衛省本省並びに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊が使用する車両、船舶、航空機、誘導武器などの兵器等、電子機器、防護服などの各種装備品の研究開発を一元的に行っていた機関。陸上、船舶、航空機及び誘導武器担当の4技術開発官が置かれ、研究と試作品の評価は装備別の4研究所とセンターが行っていた。 その他に4試験場と3支所を有していた。岐阜試験場ではBK117ヘリコプター2機保有していた。

F-2戦闘機や10式戦車、P-1固定翼哨戒機などの多くの国産装備品の研究開発を担当してきた。末期には、ミサイル防衛に関する日米共同技術研究やXC-2次期輸送機、X-2先進技術実証機などのプロジェクトが実施されている。

予算は、人件費81億円、歳出化経費710億円、一般物件費257億円の計1,047億円で、新規後年度負担は1,039億円、装備品試作など物件費1,296億円である。人員は、事務官・技官等820人、自衛官273人が所属していた。

2015年6月10日に成立した防衛省設置法の一部を改正する法律に基づき、装備施設本部とともに防衛装備庁へ発展改組の形で統合され、廃止された。

1952年8月 - 保安庁技術研究所として江東区深川越中島において発足
1954年7月 - 防衛庁技術研究所と改称
1955年9月 - 三宿地区に移転
1956年7月 - 陸上自衛隊初のロケット「TMA=0」の試験を王城寺原演習場にて実施
1958年5月 - 防衛庁技術研究本部と改称
2000年3月 - 市ヶ谷地区に移転
2006年7月 - 大幅な組織改編を実施
第1~第4研究所は艦艇装備・電子装備・航空装備・陸上装備研究所へと名称を変更し、第5研究所は艦艇装備研究所の久里浜地区となったほか、先進技術推進センターが新設された
2014年3月 - 土浦試験場を廃止し、航空装備研究所土浦支所に改編
2015年10月1日 - 防衛装備庁発足に伴い廃止

 


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