神戸市交通局1000形電車(こうべしこうつうきょく1000がたでんしゃ)は、1976年(昭和51年)に神戸市営地下鉄の西神・山手線用として登場した神戸市交通局の通勤形電車である。
神戸市営地下鉄西神・山手線が開通した1977年(昭和52年)に営業運転を開始し、1989年(平成元年)までに6両編成18本、総計108両が製造された。
アルミ製全長19メートルの車両で、片側に3つの客用扉を持つ。窓配置は扉間に3枚、車端部に1枚(先頭車の最前部はなし)である。内装も、よろい戸式日除けやカバー付照明、木目柄の化粧板(阪急と柄は異なる)など、関西色が強い。当初から冷房装置を搭載して落成されており、これは同年登場の名古屋市営地下鉄3000形と並んで、日本の地下鉄車両では初めての事例である。
現在は6両編成を組成し、編成中の電動車 (M) と付随車 (T) の構成は(MT比)4M2Tで、パンタグラフは下枠交差式を2、5両目に2基ずつ計4基搭載する。空気圧縮機は両先頭車に、制御装置は2、5両目に搭載する。落成当時は全編成が1C8M(1つの制御器で2両分8台のモーターを制御)自動可変界磁式電機子チョッパ制御(1,500V、1,400A、2100kW、合成周波数350Hz)であった。主電動機の出力は130kW(電圧375V、電流385A、85%界磁時定格回転数2,050rpm、最弱め界磁率50%)である。定格速度は35km/hである。回生ブレーキ、抑速ブレーキにも対応している。回生ブレーキは55%界磁から使用する。
前面は微妙に湾曲しているものの切妻に近いが、天井近くまである大きな窓と縦方向に丸型の前照灯・尾灯を配しており、他に類を見ない独特の形態となっている。貫通路は2-3両目、4-5両目の間のみ扉付きの狭幅で、3-4両目は扉なしの狭幅、他は扉なしの広幅という特殊な形態となっているが、これは検査時に2両ごとに分割する必要性から来ている。
外部塗色は神戸市電にちなみ、上半分を淡いグリーン、下半分を濃いグリーンとされた。また、窓上にも細い濃緑帯が巻かれるが、これは乗務員扉後部で窓下まで降りてくる。帯部分には1両あたり2箇所(先頭車は前面を含め3箇所)にシンボルマークであるUラインマークが描かれているため、該当部分では帯が途切れる。車両番号のフォントも市電と同じである。
正面の非常用貫通扉は外側への開き戸を採用しており、これはのちの西神・山手線の車両や北神急行電鉄7000系電車にも受け継がれている。
神戸市営地下鉄1000形電車
基本情報
運用者 神戸市交通局
製造所 川崎重工業
製造年 1976年 - 1989年
製造数 18編成108両
運用開始 1977年3月13日
投入先 西神・山手線
主要諸元
編成 6両編成
軌間 1,435 mm
電気方式 架空単線式直流1,500V
最高運転速度 90 km/h
設計最高速度 100 km/h
起動加速度 3.3 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 872名
編成重量 188.0 t
全長 19,000 mm
全幅 2,790 mm
全高 4,010 mm
車体 アルミニウム合金
台車 S型ミンデン式ダイレクトマウント空気ばね台車
FS393
主電動機 直流直巻電動機(登場当初)
かご形三相誘導電動機
主電動機出力 130 kW / 基
駆動方式 WN駆動方式
歯車比 98:15
制御方式 電機子チョッパ制御(登場当初)
GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御(1101~1107F)
2レベルIGBT素子VVVFインバータ制御(1108F以降)
いずれも日立製作所製
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ(補足ブレーキ付)
抑速ブレーキ
保安装置 自動列車制御装置 (CS-ATC)
自動列車運転装置 (ATO)
備考 車内信号は0、15、25、45、60、75、90km/hで設定
第18回(1978年)
ローレル賞受賞車両