老朽化した1986年(昭和61年)製造のAR100形を置き換えるために、2001年(平成13年)から2006年(平成18年)にかけてAR301 - AR307の7両が製造された。
富士重工業の第三セクター鉄道向け標準設計車両LE-DCで、車体長さはAR200形と同一であるが、AR200形では窓や扉にバス用部品を使用していたのに対して、本形式ではバス部品を排し、側面窓が上段固定下段上昇窓に、扉は引き扉に改められたほか、車体側面上部に行先表示器を設置している。また本形式では従来の前面非貫通形をやめて標準的な前面貫通形とした。車内はAR200形に準じたセミクロスシート(定員124名)となっている。AR301 - AR303は富士重工業で製造されたが、2002年(平成14年)に同社が鉄道車両製造から撤退したため、2004年(平成16年)製造のAR304以降は富士重工業の同事業を継承した新潟トランシスで製造された。
エンジンは横型噴射式295PS/2100rpmのUDトラックス(旧:日産ディーゼル)PF6HT03を装備している。AR200形に比べてエンジン出力が向上し、冷房装置は再びエンジン直結式となった。台車はボルスタレス式を採用した。
車体塗装は基本的にAR100形・AR200形と同一だが、前面に貫通扉を設けたため、マスコット「レビット君」のイラストが側面に移った。なお、AR301以外の6両は、2010年(平成22年)から2015年(平成27年)にかけて、それぞれ異なるオリジナル塗装に塗り替えられた。
車両塗装の意匠
AR301 開業当初からのデザイン
AR302 水源地と柿をイメージ
AR303 旧国鉄キハ20形をイメージ
AR304 甘鉄沿線の山や農地の緑をイメージ
AR305 旧国鉄急行型車両をイメージ
AR306 公募による高校生のデザイン
AR307 公募による高校生のデザイン。桜をイメージ
運用
2001年12月にAR301が運用開始したのち、2006年にAR306・307が運用開始しAR106・AR201が廃車となったことで、甘木鉄道の全車両が当形式および当形式と同一性能のAR400形となった。
単行または2両編成で運用される。
AR303は、2014年(平成26年)3月16日に西太刀洗駅前の踏切で踏切内に侵入してきた2tトラックと衝突して列車は前輪を脱線し破損したが、およそ半年後に修復作業が完了し、運用復帰した。
甘木鉄道AR300形気動車
基本情報
運用者 甘木鉄道
製造所 富士重工業、新潟トランシス
製造初年 2001年
製造数 7
主要諸元
軌間 1,067 mm
車両定員 124名(座席44名)
自重 39.7 t
全長 18,500 mm
全幅 2,800 mm
全高 3,990 mm
車体 普通鋼製
台車 FU56D(動力台車)/FU56T(付随台車)
機関出力 295 PS/2100rpm(PH6HT03)
搭載数 1基 / 両
駆動方式 液体式
制動装置 応荷重装置付SME3管式直通空気ブレーキ