関門とんねる物語 田村 喜子 毎日新聞
関門トンネル(かんもんトンネル)は、山口県下関市と福岡県北九州市を結ぶ国道2号のトンネル(海底トンネル)である。山陽本線の同名のトンネルと区別するために関門国道トンネル(かんもんこくどうトンネル)と呼ばれることもある。
関門海峡の海面下に掘削され、西日本高速道路九州支社が管理する有料道路のトンネルである。鉄道用の関門(鉄道)トンネル(山陽本線)、新関門トンネル(山陽新幹線)と並び、関門海峡(早鞆の瀬戸)の海底下で貫通する3本のトンネルのうちのひとつで、同海峡の道路用トンネルとしては唯一である。
1958年(昭和33年)に開通し、徒歩でも通行できる人道トンネルも併設されている。日本道路公団等民営化関係法施行法第26条により、通行料金は維持管理有料制度を根拠として徴収されていることから、料金の徴収期限は設定されていない。
山口県と福岡県の県境は関門海峡の海面下56 m(車道)ないし58 m(人道)にある。
関門海峡を貫いて本州と九州を結ぶトンネルは、1942年(昭和17年)に関門鉄道トンネルが先に開通していた。
1938年9月22日、内務省は、関門国道トンネル工事を1939年度から4か年計画で着工することを決定した。1939年5月12日、起工式。 道路のトンネルは、関門海峡の最狭部である早鞆瀬戸の下に建設されることになり、鉄道より遅れた1937年(昭和12年)に試掘導坑の掘削を開始し1939年(昭和14年)に完了。
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同年、本坑掘削に着工し1944年(昭和19年)12月に貫通したが、トンネルの掘削に適さない地質であったことや、第二次世界大戦の勃発で資材不足に陥り、相次ぐ戦災で1945年(昭和20年)6月ないしは7月に工事を中断するなど工事は困難を極めた。
その後、1952年(昭和27年)に道路整備特別措置法による有料道路としての工事を再開し、着工から21年の歳月をかけて1958年(昭和33年)3月9日に開通した。
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総工費は当時の金額で約57億円である。海底道路トンネルの誕生は、本州から九州まで徒歩でも渡れるという話題性から全国から観光客が集まり、散歩を楽しんだといわれる。
人道
歩行者・自転車・50 cc以下の原動機付自転車が利用できる幅4 m・長さ約780 mのトンネルで、徒歩で約15分ほどで関門海峡の海底を通り抜けることができる。両端とも国道2号に接続していないが、車道の直下に位置している関係上、人道も国道2号に指定されている(国道2号車道に対する自転車歩行者道の扱い)。後に下関側・門司側とも坑口の右側の部分に国道標識が取り付けられた。
地上と地下の人道トンネルの間は、下関側・門司側とも専用エレベーターを利用する。なお、エレベーターとは別に保守・非常避難用の階段が設けられており、車道と兼用である。実際に間寛平がアースマラソンで通行した際にはこの階段を使用した。
通行料金は徒歩は無料で、自転車と原動機付自転車は下関側の人道出入口に設置されたポスト状の料金箱に現金又は回数券を投入する。なお、ポストからやや離れた場所には詰所があり、人道部の監視員が常駐している。監視員に自転車の料金・回数券を渡すことも可能である。供用時間は6時から22時までで、深夜は閉鎖される。
交通ルール上は歩行者専用道路に準じた扱いとなっており、トンネル内は右側通行で、車両(自転車および原動機付自転車)はエンジンをかけない手押しでの通行(道路交通法上「歩行者扱い」となる)、乗車しての通行は認められていない。
監視カメラが設置されており、乗車して通行すると、トンネル内の拡声器で注意される。本州・九州側双方には注意を促す看板が設置されている。この扱いは、車道が集中工事などのために長期通行止めとなる際に原付などの迂回路となる場合も同様である。
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人道トンネルの内面は、壁に海藻や魚、天井に朝・昼・夕・夜の空が描かれている。日常の移動手段としてだけではなく、雨・日焼け対策が不要なジョギング・ウォーキングコースとして利用されているほか、下関と門司港を結ぶ観光周遊ルートとしての広報もなされている。両側の入り口には、関門の観光マップや通行記念スタンプも設置されていて、旅行の記念に押す人も多い。
なお、人道トンネルの横のスペースは車道用の換気ダクトとなっており、新鮮な空気を車道に送り込む役割を果たしている。
要目
起点:山口県下関市みもすそ川町(国道9号に接続)
終点:福岡県北九州市門司区大字門司(福岡県道261号門司東本町線に接続)
距離:780 m
通行時間:6時から22時まで
料金
歩行者:無料
車両(軽車両・原付):20円
人道トンネルへのアクセス。
本州側 - サンデン交通 御裳川バス停下車。
九州側 - 西鉄バス北九州 関門トンネル人道口バス停下車、もしくは平成筑豊鉄道門司港レトロ観光線関門海峡めかり駅から徒歩10分。
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