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SL・EL急行 (大井川鐵道)

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SL急行(SLきゅうこう)は、大井川鐵道が大井川本線新金谷駅(当初は金谷駅) - 千頭駅間で1976年(昭和51年)7月9日から運行している、蒸気機関車 (SL) 牽引による急行列車の総称である。


「EL」とは電気を動力に動く機関車(電気機関車)のことで、「EL列車」はELが他の動力をもたない客車や貨車を牽引する列車のことです。電気機関車は蒸気機関車に変わる機関車として誕生し、高度経済成長期頃の1950年代~1980年代には全国各地で運行されていました。しかし、現在の電気で動く旅客列車では客車部分にモーターを搭載し、牽引用の機関車をもたない電車が主流となり、1年を通して定期運行する旅客EL列車は井川線のアプトいちしろ~長島ダムの1.5kmのみとなっております。

ELかわね路号では、電気機関車が車内外にレトロな雰囲気を漂わせる旧型客車を牽引します。

 

鉄道廃線めぐり   大野 哲 竹書房

 

2011年(平成23年)10月1日のダイヤ改正より、本列車はすべて「かわね路号」に列車名が統一されており、以下の列車が運行されている[報道 1]。なお、同年9月30日までについては、定期SL急行は「かわね路号」、臨時SL急行は「南アルプス号」や「トラストトレイン」などと列車名が複数存在した。また、臨時SL急行については、列車名のないものも運行されていた。ただし、春期に新金谷 - 家山間で運行される臨時SL急行のみ、「さくら号」という列車名で運行されることは、現在も変わっていない。


運行予定については、大井川鐵道ホームページでSL運転カレンダーにより発表されている。原則として、同カレンダーで発表されるダイヤでは1日1往復の場合は、「かわね路1号」 - 「かわね路2号」
1日2往復の場合は、「かわね路11号」 - 「かわね路14号」、「かわね路1号」 - 「かわね路2号」
となっており、1日3往復運転となる「かわね路13号」 - 「かわね路12号」については、多客期にSL空席状況により追加で運転が発表される。

きかんしゃトーマス号
2014年(平成26年)7月から、ウィルバート・オードリー原作のイギリスの幼児向けテレビ番組『きかんしゃトーマス』とのタイアップ企画が実施されている。これはイギリスのほか、アメリカ[1]やオーストラリア[2]などで、「Day out with Thomas」の名称で実施されているもので、アジアで実現するのはこのイベントが初めてである。

『きかんしゃトーマス』日本語吹き替え版の総合制作であるソニー・クリエイティブプロダクツとの全面的なパートナーシップの下、同年7月12日から10月12日までC11 227を改装した「きかんしゃトーマス号」が運行された。翌2015年(平成27年)7月にはC56 44を改装した「きかんしゃジェームス号」も登場し、一部運転日は両方が運行される。改装は両機をトーマス・ジェームスに似せ、車体塗装を変更する、顔を設置する、前照灯の位置をボイラー上部から連結器付近に移設するなど、大規模なものとなっている。

 

東京カートグラフィック 鉄道路線図ハンカチ 関西 日本語 RHKJ W53×H53×D0.1cm   東京カートグラフィック

 

なお、2014年は従来のSL急行料金が適用されたが、2015年からは新たに「トーマス・ジェームス料金」を設定し、乗車料金は運賃と「トーマス・ジェームス料金」の合計となる。

これに合わせて、大井川鐵道所有のスハ43系客車7両(スハフ42 184・286・304、オハ47 81・380・398・512)がトーマスの牽引する客車アニーとクララベルを模したオレンジ色に塗装され、専用客車としてリニューアルされた。車内の各座席にトーマスのキャラクターをデザインしたヘッドカバーが装着され、車内放送ではトーマス(声 - 比嘉久美子)やジェームス(声 - 江原正士)による沿線名所の案内も行われている。

また、千頭駅では「トーマスフェア」が開催され、駅構内に設置された「トーマス広場」では静態保存機の9600形蒸気機関車 (49616) がヒロ(声 - 玄田哲章)、井川線用のDB1形ディーゼル機関車 (DB9) がラスティーにそれぞれ改装されて展示されており、千頭駅に到着したトーマスとジェームスがヒロ、ラスティーの隣に並ぶ演出が行われる。2015年4月21日には、以前部品取り機として、新金谷駅構外側線に留置されていたC12形 (C12 208) を改装したパーシー(声 - 神代知衣)も登場した[報道 4][新聞 4]。ヒロとパーシーはスピーカーによって声を出し、パーシーはそれに加えて目が動くようになっている[新聞 5]。2016年(平成28年)にはいたずら貨車といじわる貨車が登場したほか、大井川本線と並行する道路をバスのバーティーが走るようになった。2019年(令和元年)には、新金谷車両区に消防車のフリンが登場した。2020年(令和2年)には、静岡市のバス会社の協力のもと、静岡駅から新金谷駅までをロンドンバスのバルジーで往復するツアーを開始した。

2020年は原作出版75周年を記念した様々な企画の実施を計画しており、『きかんしゃトーマス トーマスのはじめて物語』に登場する、トーマスが初めてソドー島に来た頃のボディを再現した「緑色のトーマス号」を、5月から6月にかけ期間限定で運行予定[3]だったが、新型コロナウィルスの関係で中止。同列車は列車名を「みどりのトーマス号」に変更し、2021年(令和3年)6月12日に運行を開始。同月28日まで運行される予定。

両列車の種別は大井川鐵道で唯一の特急扱いであり、客車にも「特急」のサボが表示される。このため、ダイヤ上は新金谷 - 千頭間をノンストップで結んでいるが、ダイヤ自体はSL急行の増発便のものを流用しているため、運転停車や列車交換を行っており、所要時間は通常のSL急行と同等である。

使用車両
牽引機関車
C10形
C10 8
C11形
C11 190
C11 227
C56形
C56 44
補助機関車
客車の編成がある程度長いときは、補助機関車(補機)として電気機関車が連結される。通常は最後尾に連結されることが多いが、展望車を連結して運行する際は、SLの次位に連結されることが多い。
C10・C11形は客車が5両編成以上である場合、C56形は客車が4両編成以上である場合連結されるが、SL不調時等は客車の編成の長さに関係なく、連結される。このほか、SLが故障や検査などで使用できないときに、代理で牽引することもある。
起点が金谷駅だった当時は、新金谷車両区 - 金谷間の回送にも使用されていた。
E10形
E101
E102
E31形
E32
E33
E34
ED500形
ED501

客車
大半が日本国有鉄道(国鉄)から譲り受けたものである。これらは、戦前から戦後にかけて製造された旧型客車で、SL全盛時代に使用された客車を、ほとんど無改造のまま使用しており、往年の客車列車の雰囲気を色濃く残している。そのため、昭和初期から中期(1940 - 70年代)を舞台にした映画やドラマのロケーション撮影に使用されることも多い。客車は最短3両編成(試運転時は2両以下の場合もある)、最長7両編成である。
旧国鉄の旧型客車を使用。外観も車内もレトロ感たっぷり。座席はオールボックスシートで車窓をゆったり楽しめます。
窓が開く
現在の鉄道車両はエアコン完備で客室の窓は閉めきりのものが多くなっています。しかし、ELかわね路号で牽引する客車は1930年代~50年代に製造されたものでエアコンがなく、かわりに窓が開きます。
外からの空気で車内の空気が換気されるとともに、さわやかな春風や製茶工場からただようお茶の香りなど大井川本線の雰囲気を臨場感を持って体験できます。

窓が開くからこそよく聞こえるEL列車ならではの音にも耳を傾けてみてください。
1.重々しい電気機関車のモーター音
2.レールの継ぎ目を通過する際のジョイント音
3.EL特有のかん高いホイッスル汽笛。千頭駅ではまわりの山々にこだまします
車両番号
オハ35系
オハフ33形
オハフ33 215(入線当初は電気暖房付きで原番号+2000。戦前型。白熱灯装備車、扇風機非装備、千頭方貫通路閉塞)
オハフ33 469(戦後型)
オハ35形(全車戦前型)
オハ35 22(入線当初は電気暖房付きで原番号+2000)
オハ35 149(同上)
オハ35 435(入線当初は電気暖房付きで原番号+2000。新金谷方貫通路閉塞)
オハ35 459
オハ35 559(入線当初は電気暖房付きで原番号+2000)
スハ43系
スハフ42形(186はぶどう色、それ以外はトーマス号塗装)
スハフ42 184(入線当初は電気暖房付きで原番号+2000)
スハフ42 186(同上)
スハフ42 286(同上)
スハフ42 304(同上)
オハ47形(全車トーマス号塗装)
オハ47 81(入線当初は電気暖房付きで原番号+2000。TR23台車を装備した純然たるオハ47形はこの1両のみ)
オハ47 380(オハ46形から改形式されたが台車はTR47のままである)
オハ47 398(同上)
オハ47 512(同上)
日本ナショナルトラストの所有
スハ43系
スハフ43形
スハフ43 2
スハフ43 3
60系
オハニ36形
オハニ36 7
3両は、西武鉄道から譲り受けた501系電車の付随車(サハ1501形)を改造した客車で、主に団体用として使用される。
ナロ80形(お座敷車)
ナロ80 1
ナロ80 2
スイテ82形(展望車)
スイテ82 1

不定期に設定される運休日や天候不良時を除き、毎日運行される。他社のSL列車が原則的に休日のみの運行なのに対し、平日も積極的に運行している点は特筆に値する。基本的には1日1往復だが、夏休みなどの多客期には2往復または3往復が運行されることもある。
乗車に際しては、SL急行券(大人800円・小人400円、2013年3月20日改定)の購入が必要で、全席指定となっているが、満席の場合は、立席での乗車も可能である。2005年ごろから、通勤通学客に配慮して、定期乗車券所有者の急行料金が免除となった。
本列車運行開始以来、永らく転車台が千頭駅構内の1か所にしかなかったため、下り金谷発千頭行き列車のSLは原則的に正方向で、上り千頭発金谷行き列車のSLは原則的にバック運転(逆機)で客車を牽引していた。2011年に新金谷駅構内に設置された転車台が、同年10月7日(SLフェスタ2011の初日)に運用を開始したことに伴い、上り列車のSLについても原則的に正方向での客車の牽引が開始されるとともに、千頭駅構内の転車台についても原則的に常時運用するようになった。これに先立ち、同10月1日からはすべて、新金谷 - 千頭間の運行となった。また、金谷駅からの利用者のため、下り列車は金谷 - 新金谷間の区間列車と接続を受けて発車する形となり、本列車運行日のみに運行する区間列車も設定された。これは元々、西武鉄道から購入した電気機関車(E31形)を、新金谷車両区 - 金谷間における回送用に充当する予定だったものが、ATS設置費用を捻出できず実現しなかったための措置である。
なお、新金谷駅転車台が運用開始する以前については、通常の運行では先述のとおり、下り列車のSLは正方向で、上り列車のSLは逆機で客車を牽引していた。ただし、イベントや映画の撮影の際、千頭駅転車台で方向転換をし、上下列車ともSLが正方向で客車を牽引したこともあった。この場合、その次の運行では、上下列車ともSLが逆機で客車を牽引し、そのまた次の運行では、通常の運行形態(下り列車のSLは正方向、上り列車のSLは逆機)に戻っていた。

 

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