豊後森機関庫は、大分県玖珠郡玖珠町の国鉄(現JR九州)久大本線豊後森駅の東側にあった機関庫です。2009年(平成21年)2月6日に「旧豊後森機関区の関連遺産」として扇形機関庫と転車台とが近代化産業遺産に認定されており、2012年(平成24年)には国の登録有形文化財に登録されました。
機関車は60―70キロごとに石炭や水の補給基地が必要で、久大線では豊後森が補給基地の機関区に選ばれました。
電気・ディーゼル機関車と異なり、前後の区別がある蒸気機関車は方向転換に転車台という回転装置を必要とします。機関車を収容する機関庫を転車台を中心に扇形にすれば効率的なので、蒸気機関車の時代には各地に扇形庫が建設されました。
大分県玖珠郡玖珠町の豊後森駅の東側に、1934年(昭和9年)の久大線全線開通とともに完成。同時に、豊後森機関区も発足した。鉄筋コンクリート造で1,785m²の面積を有し、最盛時には蒸気機関車21台が所属する大規模な機関庫であった。
太平洋戦争中には戦時中は軍事輸送の拠点となったため、米軍機の機銃掃射によって職員3人が死亡する被害を受け、機関庫の壁面にはその際の弾痕が残っている。
蒸気機関車には前後の区別があったため、方向転換のために大規模な扇形機関庫や転車台が必要であったが、ディーゼル機関車やディーゼルカーへの移行が進んだことにともない、1970年(昭和45年)に廃止された。現存する扇形庫はだいたい現役で使われており、豊後森機関庫のように廃墟のまま解体されずに残っているのはかなり珍しい事例です。
2001年(平成13年)に地元の有志によって保存委員会が結成され、登録有形文化財の登録を受けるべく活動した。その一環として行われた「一万人の署名運動」では、目標を上回る約23,000人分の署名が集まった。その結果、2012年に登録された。
2006年(平成18年)3月には、玖珠町が旧機関庫と敷地(10,200m²)を3,466万円でJR九州から買収。2008年(平成20年)には、鉄道記念公園整備計画を策定しており、将来的には鉄道記念公園として整備する計画がある。
原形のまま残る機関庫としては九州唯一、全国的にも14年に造られた京都の梅小路機関庫があります。他には津山駅(岡山県)、米子駅(鳥取県)などに残っている。
扇形庫の建築的な魅力といえば、名前の通り扇形に広がるファサードです。純粋に機能的な理由で設計された形でありながら、円柱が並ぶ立面が古典的な神殿を連想させる。
転車台は、レールと枕木は残っていないものの、桁や操作室、円形ピットといった主な構成要素は現存しており、多数の蒸気機関車が出入りしていた全盛期の姿ままです。
桁の側面には「鐵道省」「昭和九年」等と記された銘板が付いていることから、この転車台装置は機関庫竣工当時のものであると分かります。
所在地 :大分県玖珠郡玖珠町大字帆足415
竣工 :1934(昭和9)年
構造規模 :鉄筋コンクリート造、建築面積:1,785m2
豊後森機関庫内での撮影や見学は申請書を町に申請しヘルメットの着用が必要です。ヘルメットの貸出は玖珠町役場商工観光振興課も行っています。
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