救命艇
救命艇は、船舶の基本装備のひとつであるが、膨張式救命筏や他の搭載艇によって代替えも出来るため、大型の遠洋海域航行用を中心に搭載されています。
近年の救命艇は全天候型で、風雨から乗組員を守るため全閉囲式となっており、艇内には食料や水などが搭載されていて、救助までの期間を安全に過ごすことが出来るようになっています。
現代のモーター救命艇(MLB)は、最初の追加改造されたエンジンより大きなパワーを持ち、波のうねりを乗り切ることができるようになっています。そしていかなる悪天候でも遠い沖合いで海に出ることができます。昔の救命艇は帆とオールに頼っていて、遅く、また風の状態や人力に依存していました。現在はこの両方のタイプが使われている。このタイプの救命艇はすべて標準的に遭難者を見つけるための国際VHFやレーダーなどの最新の電子装置を備え、生存者のために医薬品と食料を携えています。
最初のMLBは1899年に合衆国救命局(USLSS)で作られ、その船体デザインは1987年のモデルまで受け継がれた。USLSSは後にアメリカ沿岸警備隊となって、発足時の救命業務を継続しています。
救命艇は内陸で運用される場合もある。王立英国救命協会(仮訳)(en:Royal Life Saving Society UK、RLSS UK)などの組織は、河川や湖といった領域も行動範囲としている。
イギリスの最初の救命艇基地は1776年、フォーンビーの海岸にリヴァプール市会議員であったドック長ウィリアム・ハッチンソンによって設立された。
最初の救命艇はイギリスのライオネル・ルーキンの製作です。ルーキンは1784年、20フィートのノルウェーのヨールを改造し、浮力を増すために防水コルクで船室を満たし、復原性を高めるために鋳鉄製の竜骨を装着しました。
これらの救命艇には6人ないし10人の志願者が乗り組んでいました。彼らは王立救命艇協会(イギリス:Royal National Lifeboat Institution(RNLI)、1824年設立)や合衆国救命局(アメリカ:United States Life Saving Service(USLSS)、1878年設立)などの組織に属しており、船が遭難したときには海へ漕ぎ出し、船上の不運な命を救うために彼らの命を賭けた。イギリスの場合、彼らは一般に地元の船乗りでしたあった。
専門に作られた最初の救命艇はヘンリー・グレートヘッドの建造によるもので、1790年1月29日にイングランドのタイン川でテストされた。最初の救命艇の発明者としてはウィリアム・ウッダブとライオネル・ルーキンも名乗りを上げている。初期の救命艇の1例としては、リチャード・ホール・ガウアーによって設計された1821年のランドガード・フォート救命艇が上げられます。
イギリスの救命艇は帆とオールを備えていた。また回頭する必要がないように、船のどちらの端でも舵の操作が可能な構造になっていました。
1899年、マルケット救命基地の要請により、レイク・ショア・エンジン会社によって、スペリオル湖(アメリカ、ミシガン州)の34フィート救命艇に2気筒12馬力の内燃エンジンが取り付けられた。この初めてのモーター救命艇(Motor Life Boat、MLB)は成功し、救命艇基地は次々にその保有する救命艇にエンジンを取り付けていきました。
1909年には、アメリカのエンジン付き救命艇の数は44隻となり、出力も40馬力まで増加。1915年、USLSSと税関監視艇局(en:Revenue Cutter Service)が合体してアメリカ沿岸警備隊となった。当初の保有MLBは36隻でした。
最近では沿岸の救難に最適なものとして、風や波によって転覆する危険の少ない、固定式の船殻を持つ膨張式ボート(en:Rigid Hulled Inflatable Boat、 RIB)が使用される。特別に設計されたジェット救難艇もまた有効に使われている。普通のプレジャーボート等と異なり、これらの小型ないし中型の救難艇は、遭難者を吊り上げることなく船内に収容できるよう、一般にきわめて低い乾舷を持つ。通常の船とは異なり、浮力タンクにより浮力を得るよう設計されていることから、船体内に水が入っても行動可能である。(通常の船は船体が水を押しのけることにより浮力を得ている。)