島原鉄道株式会社は保線用モーターカーとして、富士重工業製の小型機TMC100Bを保有しており、レール等の資材運搬に使用していた。1999年にはより大型のTMC370が入線した。同機は前後とも自動連結器を有して救援車両の牽引にも対応し、残存していた機関車D3703が置き換えられた。
モーターカーとは、主に鉄道の保守作業に使用される小型の鉄道車両である。ただし、鉄道部内では法規上は「機械」扱いで「鉄道車両」ではないので車籍は無いことが多い。
保守、点検に用いられ、資材を積んだ小型貨車を牽引する場合もある。編成化された小型貨車の先頭に遠隔操縦用の運転台を設け、プッシュプル運転が可能な車両も存在する。車体は警戒色として黄色に塗装されている場合が多いが、東海旅客鉄道(JR東海)の濃淡ブルーや、近畿日本鉄道の薄緑色など、黄色以外の場合もある。走行用の動力は、古くはガソリンエンジンが主流であったが、現在ではディーゼルエンジンが主流で、空気圧縮機や、作業用にPTO経由で油圧ポンプを駆動するものもある。車両によっては車体中央に自車昇降用油圧式ジャッキを持ち、自車をジャッキアップした後に車体を手動で旋回させてその場で方向転換させることが可能である。
多くの場合は法規上の「鉄道車両」ではなく、運転者の動力車操縦者運転免許は不要である。そのため、保線係員等の動力車操縦免許不保持者などでも操縦が可能であり、作業にあたり、同資格の取得や専門運転者の別途手配の必要がない。ただし、機械扱いであるため、最高速度は45km/hに制限されている上、本線上を走行させる場合は線路閉鎖を前提とする。また、軌道回路に影響を与えないよう車輪は電気的に絶縁構造となっており、軌道回路を用いた列車検知装置や自動踏切等には反応しない。このため走行に当たっては、線路閉鎖の手続きのみならず、在線状況の確認や分岐器の進路転換の際運転指令所や信号扱所との慎重な打合せを要し、踏切も手動で作動させる等、特別な取扱いが必要である。
貨車移動機と混同されることがあるが、モーターカーは保線作業用動力車であり、貨車移動機は貨車の入換用動力車である。また、貨車移動機は信号等に反応するよう車輪は絶縁車輪ではなく通常の車輪を使用している。共通の基本設計に基づいて製作されたモーターカーと貨車移動機も存在するが、仕様は明確に区別されている。