うらが(MST-463)は 、海上自衛隊の掃海母艦。艦名は浦賀水道に由来する。うらが型掃海母艦の1番艦。海上自衛隊の掃海母艦の艦級。機雷敷設艦機能を併せ持つため、機雷戦母艦としての性格を有する。
掃海母艦「はやせ」(44MST)と機雷敷設艦「そうや」(44MMC)の代替として、その双方の機能を兼ねそなえた艦として建造された。「はやせ」のペルシア湾派遣(自衛隊ペルシャ湾派遣)の経験を反映して母艦機能の向上が図られたほか、新たに導入される航空掃海具(Mk.105)のドックからの投入・揚収に対応するなど航空掃海を行うためのヘリコプター支援機能も求められた。この結果としてかなり大型化し、最終的に当初計画よりやや小型化して5,600トン型とされたものの、これでも44MSTと比して排水量は倍増している。
ネームシップの建造は、03中期防の後半にあたる平成6年度計画において、297億円で認可された。2番艦の建造も翌年度計画で認可された。
「うらが」は、中期防衛力整備計画に基づく平成6年度計画5,600トン型掃海母艦463号艦として、日立造船舞鶴造船所で建造され、1995年5月19日起工、1996年5月22日進水、1997年3月19日に就役の後に第2掃海隊群に配属された。
2000年3月13日に掃海隊群直轄艦となる。
2005年11月25日、国際連合難民高等弁務官事務所の要請を受け、アフガニスタンの難民向けにテント・毛布などの物資を運ぶため護衛艦「DD-157 さわぎり」と共にパキスタンのカラチへ派遣された。救援物資搬出後は「さわぎり」と別れ12月31日に帰還した。
2011年9月、「MSO-302 つしま」と共に海自艦艇としては初めてベトナム・ダナン港[3]およびインド洋アンダマン諸島のポートブレアに寄港した。その後は10月14日にバーレーン・ミナサルマンに寄港し、翌15日から30日までバーレーン沖ペルシャ湾にてアメリカ合衆国とイギリス共催による多国間掃海訓練に日本国として初参加し、12月1日に帰国した。
設計面では、バルバス・バウやステルス化された塔状マストなど、並行して計画されていた8,900トン型輸送艦(05LST)と共通した要素が多い。平甲板艦型を採用しており、船体中央部から艦尾にかけての主船体内には、中央部にはウェル・デッキ、両側には機雷庫が、それぞれ第2・3甲板の2層分の高さをもって設けられており、船尾には油圧で開閉する門扉を備えている。門扉のうち、中央にある大型のものが航空掃海具用で、下ヒンジ式とされている。一方、その両舷の小型のものが機雷庫に接続したもので、上ヒンジ式である。
その上方の後甲板(第1甲板)はヘリコプター甲板とされており、MH-53Eヘリコプターの運用に対応するため、かなり広い面積が確保されている。その前方に位置する上部構造物後部は航空掃海具用整備格納庫とされている。ヘリコプター甲板とウェル・デッキはエレベータにより連絡しており、通常、第1甲板の整備格納庫で整備を受けた航空掃海具はエレベータで格納庫に戻され、ここから投下・揚収を行うが、第1甲板からでも投下・揚収を行えるよう、後部左舷のクレーン力量は8トンとされている。
なお、ステルス性に配慮した設計を行ったステルス艦であるが、主船体については、掃海艇への横付け補給を行う場合を考慮して、あえて傾斜は付されなかった。また横付け補給のため、第2甲板レベルにレセスが付され、舷門等の設備が設けられている。
主機関も05LSTと同じく、三井造船製4サイクルV型12気筒中速ディーゼルエンジンである12V42M-A(9,900bhp/600rpm)が搭載された。
前甲板に62口径76mm単装速射砲1基が備えられるスペースがあり、後日装備ということになっているが未だ装備されていないため、射撃指揮装置2型(FCS-2)なども装備していない。かつて退役する護衛艦「むらくも」から転用する計画があったが状態が思わしくないために断念しており、その後は搭載の目途が立っていない。
小型船舶対処用としては12.7mm重機関銃M2が数挺装備されている。これらは普段は武器庫に格納されており、必要に応じて銃架に装備する。
本型は、個艦での対機雷戦能力は備えていない。しかし、ヘリコプター用のMk.104音響掃海具とMk.105磁気掃海具を搭載できることから、航空集団第111航空隊のMH-53E掃海ヘリコプターと連携して掃海作業を実施する。その後、2011年より、新型のMCH-101掃海ヘリコプターの調達が開始された。こちらは従来の航空掃海具を搭載できないが、AN/AQS-24A空中機雷掃討システムや航空機搭載レーザ機雷検知システム(ALMDS)に対応しており、機雷掃討に重点をおいた装備となっている。
また機雷敷設のため機雷敷設装置3型を備えており、艦尾の小さい門扉4基にそれぞれ機雷敷設軌条3条を備えている。機雷搭載数は約230発とされている。
なお、母艦機能の一環として、司令部施設や水中処分員のための減圧室も有している。
本型は、充実した搭載能力や医療能力を含めた母艦機能をいかして、海外への災害派遣(救援物資の輸送)にも活用されている。例えば機雷庫は温度・湿度等を一定に保つ機能があることから、邦人輸送等では居住区としても転用できる。
映画『男たちの大和/YAMATO』では戦艦「大和」の艦舷として、「大和」に着任したばかりの海軍特別年少兵たちが、タラップを甲板へ上がるシーンに「ぶんご」を撮影に使用した。「ぶんご」左舷のタラップを降ろし、艦左舷を合成処理がすぐ出来るように青いシートを張って撮影された。
建造者 日立造船 舞鶴造船所
運用者 Flag of Japan.svg海上自衛隊
計画 平成6年度計画
発注 1994年
起工 1995年5月19日
進水 1996年5月22日
就役 1997年3月19日
艦種 掃海母艦
艦級 うらが型
排水量 基準 5,650トン
満載 6,850トン
全長 141.0m
全幅 22.0m
吃水 5.4m
機関 2軸推進
* 三井造船12V42M-Aディーゼル × 2基
機関出力 19,500PS
速力 最大速 22ノット
乗員 170名
兵装 * 62口径76mm単装速射砲 × 1基(後日装備)
* 12.7mm重機関銃M2
* 機雷敷設装置3型
* Mk105航空磁気掃海具
* Mk104航空音響掃海具
艦載機 着艦スペースのみ
レーダー * OPS-14C対空
* OPS-20航海
ソナー 機雷探知用ソナー(後日装備)
電子戦・
対抗手段 着艦スペースのみ