230形蒸気機関車233号機 - 1903年、汽車製造製。
1984年、準鉄道記念物に指定、その後、2004年、鉄道記念物に昇格。2016年3月11日、国の重要文化財に指定。現存する最古の国産蒸気機関車。
国鉄230形蒸気機関車は、日本国有鉄道(国鉄)の前身である逓信省鉄道作業局(官設鉄道)が発注したタンク式蒸気機関車である。本格的に量産が行われた初の国産蒸気機関車であり、日本で2番目の民間機関車メーカーである汽車製造会社が初めて官設鉄道に納入した機関車である。最も初期の国産機関車であるだけに、全くのオリジナル設計というわけにはいかず、イギリス製のA8形を基にしている。
官設鉄道A8形を模倣して国産化された車軸配置2-4-2(1B1)で2シリンダ単式の飽和式タンク機関車であるが、動輪直径がやや小さく(A8の1321mmに対して1245mm)、総軸距も51mm短縮(A8の5944mmに対し5893mm)されるなど、若干の寸法変更が見られるほか、クロスヘッドの滑り棒が、A8形の上下2本に対して本形式では上部の1本のみであるのが相違点である。
1902年(明治35年)から1909年(明治42年)にかけて計41両が製造され、官設鉄道に38両が納入されたほか、北越鉄道に1両、北海道鉄道に2両、高野鉄道に2両が納入された。北越鉄道と北海道鉄道の3両は、1906年(明治39年)に制定された鉄道国有法により官設鉄道に編入され、1909年(明治42年)に制定された鉄道院の車両形式称号規程では230形(230 - 270)と定められた。
元鉄道作業局のものは、おもに関西地区や中国、四国地方に配属され、使用線区は山陽本線、山陰本線、北陸本線などであった。一方、元北海道鉄道の2両は、国有化後樺太庁鉄道に貸し渡され、1915年5月31日付けで正式に保管転換された。1937年に川上幸義が実見したところによると、269は片側を切開したカットモデルとして大泊に保管されており、270は南樺鉄道で使用されていた。また、270の製造番号は製造銘板によれば3であり、公式記録と異なっていた。
1923年3月末時点で、230形は39両が在籍しており、神戸鉄道局に30両、門司鉄道局に9両が所属していた。神戸鉄道局管内における配置は、大阪(8両・237, 238, 250, 251, 256, 261, 267, 268)、池田(2両・265, 266)、岡山(2両・249, 257)、王寺(2両・245, 254)、奈良(3両・246, 248, 255)、米子(2両・232, 233)、鳥取(5両・231, 241 - 243, 253)、徳島(4両・230, 234 - 236)で、247と262がそれぞれ岐阜建設事務所と播州鉄道に貸し渡されていた。その後、245, 246, 255が名古屋鉄道局に転属している。門司鉄道局配置の9両は、239, 240, 244, 252, 258 - 260, 263, 264である。
廃車は1930年から始まり、1933年6月末時点で8両が廃車となっていた。大阪鉄道局管内に21両、門司鉄道局管内に5両、建設事務所に5両が配置されている。配置は、吹田(11両・237, 238, 248, 249, 256, 257, 261, 265 - 268・西成線、尼崎港線、有馬線用)、新舞鶴(2両・232, 233・舞鶴線用)、鳥取(2両・243, 253・倉吉線用)、広島(2両・244, 252・宇品線用)、杉安(2両・260, 264・妻線用)、厚狭(1両・240・美祢線用)で、6両(231, 241, 242, 250, 254, 262)は大阪、鷹取、鳥取で休車となっていた。建設事務所の5両は245 - 247, 251, 255で、1926年3月に転用されたものである。
1945年時点では、20両が使用されており、配置は新潟(1両・256)、浜松(2両・233, 249)、美濃太田(1両・252)、加古川(3両・237, 252, 267)、後藤工機部(1両・244)、岡山(5両・238, 243, 253, 256, 266)、広島(1両・260)、鳥栖(1両・268)で、他に5両が建設局配置である。加古川と岡山のものは、加古川線、吉備線で営業用として使用されていた。
戦後は、急速に廃車が進み、1953年時点で稲沢と鳥栖にそれぞれ1両(233, 268)を残すのみとなっていたが、これらも1960年代初めに廃車となっている。
全長:9,767mm
全高:3,658mm
軌間:1,067mm
車軸配置:2-4-2(1B1)
動輪直径:1,245mm(4ft1in)
弁装置:ジョイ式基本型
シリンダー(直径×行程):356mm×508mm
ボイラー圧力:10.6kg/cm²
火格子面積:1.11m²
全伝熱面積:67.1m²
煙管蒸発伝熱面積:60.6m²
火室蒸発伝熱面積:6.5m²
ボイラー水容量:2.3m³
小煙管(直径×長サ×数):45mm×2,959mm×147本
機関車運転整備重量:35.88t
機関車空車重量:28.02t
機関車動輪上重量(運転整備時):18.98t
機関車動輪軸重(最大・第1動輪上):10.26t
水タンク容量:4.5m³
燃料積載量:1.14t
機関車性能
シリンダ引張力:4,620kg
ブレーキ装置:手ブレーキ、真空ブレーキ