TH-135回転翼機:海上自衛隊
第211教育航空隊 航空教育集団直轄
EC135はターボシャフト双発の汎用ヘリコプターで、ドイツのメッサーシュミット・ベルコウ・ブローム(MBB)社で1980年代半ばから開発が始まったBo108をルーツとしています。この時すでに、テイルブームをキャビン後端の高い位置に設置し、その下に両開き式のドアを備えるという機体の基本形状はできていましたが、テイルローターは従来型でした。1992年にMBBとアエロスパシアル(フランス)のヘリコプター部門が合併してユーロコプター社が誕生したのに合わせてテイルローターにフェネストロンが採用され、1994年2月15日に量産先行試作機が初飛行しました。
型式名にはエンジンにプラット&ホイットニーカナダPW206Bを搭載するモデルP系列と、チュルボメカ・アリウス2Bを搭載するモデルT系列とがあり、2008年時点での最新モデルはEC135P2i/T2i(P2+/T2+の販売名称を変更)です。現在650機以上が生産され、世界各国で軍用、警察、救急、輸送など多目的に使用されています。なお軍用型の名称はEC635です。すでにドイツ、スペイン、スイスなどが軍仕様のEC635を含みパイロットの練習機として採用しており、ユーロコプターでは、EC135は日本の新世代の多機能ヘリコプターまたは、戦闘ヘリコプターの操縦を行う自衛隊の操縦士の訓練に最適としている。また、同社のヘリコプターとして本機は陸自の運用する要人輸送用のEC225LPに続き2機種目となります。TH-135はユーロコプター発表によれば、3トンクラスの最新の軽量双発ヘリコプターで、定員は通常7名最大8名、操縦性に優れ、コックピットにおける広い視界を提供しながら、機体振動の提言を実現、小型機でありながら海上自衛隊の現在使用している実用機と比較しても見劣りしない装置を備えており、訓練生が本機で訓練後、実用機への転換も効率的に行うことを可能としています。
装備は、グラスコックピットをはじめ、最新のテクノロジーを搭載しているため、教官が安全な訓練環境で任務を遂行することができ、計器は最新のデジタル表示方式で、オートパイロット、気象レーダーなど充実した装備の最新鋭機となっている。また、整備の簡便さや燃費の良さが、訓練に求められる経費の低減に寄与するとしています。
防衛省は2009年1月14日に、OH-6D/DAの後継機となるTH-X(次期回転翼練習機)としてEC135T2+を採用し、TH-135の名称で2008年度予算で2機を発注しました。基本は民間型のようですが、エンジンエアインレットの前にはEC635でオプション装備となっているエアフィルターが装着されています(配備される鹿屋航空基地近くにある活火山・桜島の降灰対策のため)。1号機(#8801)は2009年11月に初飛行、12月2日に納入されました。2010年2月に納入された2号機(#8802)とともに第51航空隊での実用化に向けた試験が行われ、2010年3月2日に2号機が鹿屋航空基地に移動しました。9月28日には正式に第211教育航空隊に配備されました。2012年1月現在で7機が納入されています。
海上自衛隊では、現在徳島航空基地の第202教育航空隊で行われている、回転翼機パイロットに対するTC-90での計器飛行訓練を、今後は本機で行うことにしています。この教育訓練に従事する海自教官は、ドイツ、ドナウワースとマンチェンにあるユーロコプター・ドイツのトレーニングアカデミーにてEC135の限定変更資格をすでに取得しています。
全部で15機の導入が計画されています。
主回転翼 直径10.20m,4枚羽根
全長 12.16m
キャビン長 5.87m
全高 3.51m
最大離陸重量 2,910kg
発動機 チュルボメカ・アリウス2B2 ターボシャフト×2基
出力 634shp(1基)
最大速度 259km/h
航続距離 635km
乗員 4名