自衛隊の車両には、見慣れないナンバープレートが取り付けられています。自衛隊および防衛装備庁における車両のナンバープレートは、すべて陸上自衛隊の補給統制本部長が付与しています。「自衛隊の使用する自動車に関する訓令」によると、「自動車番号の付与、改廃及び記録に関する事務は、陸上自衛隊において行う」ことになっていて、「自動車番号は、各自衛隊等別、車名別及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基づくアメリカ合衆国からの供与によるものかどうかの別を表示する2けたの番号並びに自動車固有の4けたの番号により構成する。」とのことです。また、「自動車番号標の取付けが構造上困難な自動車にあっては、自動車番号標にかえ、車体の見やすい箇所に自動車番号を直接記入することができる」。私たちが普段乗っているクルマのナンバーは陸運局が発行していて、地域名、分類番号、ひらがな、そして一連の番号が与えられています。しかし、自衛隊のナンバープレートは「00-0000」のように前半2桁、後半4桁という6桁の数字だけが記載されています。
左側の2桁の数字。この2桁の数字は車両の種類ごとに付与される番号で、自衛隊内の「自動車番号付与区分表」という文書で明確に示されています。たとえば、01から03は小型トラック、04は「他の分類番号の区分に属さない車両及び誘導武器たる自動車」といった要領です。戦車は「装軌車両」という分類になり、番号は90から98までが割り振られています。
職種車両別に使用される番号が変わってきます。たとえば、81は化学器材、86は航空器材、99は防衛装備庁が使用する車両といった具合です。この与えられた番号を見ることで、その車両がどの分類のもので、どの職種で使われる車両なのかが分かるようになっている。
下4桁の番号は一連の連番になっているので、特に意味は無い。また戦車のほか、ナンバープレートを装着することが不適切と判断された車両には、車体にナンバーを直接書き込む方法で表記されています。
自衛隊車両ナンバー
6桁の数字で、2桁数字-4桁数字で表示されている。
「先頭2桁で品名・物品管理区分(及び所属)」が区分されている。
01-03 小型トラック系 04 誘導武器車両等
05-08 中型トラック 11 オートバイ
20-37 大型トラック系 38 特大型トラック系
39-43 海上自衛隊 44-49 航空自衛隊
50-59 牽引車系 60-69 被牽引車
70-77 施設器材系 78-79 通信電子器材系
80 需品器材系 81 化学器材系
82 衛生器材系 83-85 施設器材系
86 航空器材系 90-98 全装軌車・半装軌車系
99 技術研究本部系
自衛隊車両のなかには一般と同じナンバープレートを装着している車両もある。この違いは「用途に応じて使い分けている(陸幕広報室)」との事。一般ナンバーを装着している自衛隊車両は、駐屯地司令などが乗る黒塗りのクルマや、マイクロバスなどの主に一般道を走るだけの車両に多く見られます。高官などが乗る黒塗りのクルマは、警備上の理由から一般のナンバープレートを装着する。
衛隊車両には独特のナンバープレートのほかにも、バンパー付近に白く書かれた文字列が見られます。
この数字と漢字の組み合わせ文字は、その車両の所属が省略されて記載されている。たとえば、「第1普通科連隊第1中隊」と記載した場合、文字数が多く、すべてを読まないと部隊が分からない。それを避けるために、部隊名を省略して「1普1中」と記載します。ほかにも、第1機甲教育隊第2陸曹教育中隊は「1機教-2」、第12旅団司令部付隊は「12旅-付」などと書かれています。
自衛隊が運行する車両は、実は「道路運送車両法」の「適用外車両」ということになっています(一部のバス、乗用車などを除く)。
自衛隊法第114条には、この適用外車両であることを分かりやすくするために、「防衛大臣の定めるところにより、他の自動車と明らかに識別することができるような番号及び標識を付さなければならない」と明記されています。これが、自衛隊車両のナンバープレートが一般のクルマと違うことを示す根拠になります。