クハ5 1931年 日本車輌製造製
鮮魚台(バケット)付きのガソリンカー改造電車で、ガソリンカー時代の形式はカハ5。現在は茶色1色の塗装に塗り直されている。上屋内に設置。
日本の保存車100 感動編 (イカロス・ムック) 笹田 昌宏 イカロス出版
2017年1月、下津井電鉄の系列企業である下電ホテルは、下津井駅跡の保存車両のうちクハ24とホカフ9を鷲羽山下電ホテル駐車場に移設する構想を発表した。移設費用の一部はクラウドファンディングで募った寄付を充てると報じられた。この構想に対して保存会側は、地域活性化と言う目標達成のためにホテルとの連携は不可欠で、従前からの下津井電鉄の姿勢にも言及しながら、今後も協力関係を築いていきたいとブログで述べている。
保存車両が語る日本の鉄道史 京都鉄道博物館ガイド:付 JR・関西の鉄道ミュージアム案内 来住 憲司 創元社
2017年9月30日、2両は計画通り鷲羽山下電ホテルの敷地内に移設された。移設費用の一部(439万円)を募るクラウドファンディングは成立し、204名が支援金を拠出した。同年12月時点では車両に上屋が設置されている
狭幅の付随車が制御電圧の差異によりサハ6形(600V)とサハ19形(100V)に区分されたにもかかわらず、制御電圧100Vのクハ15形に対して、研究者の間では制御電圧600Vのクハ5形の存在がしばしば囁かれており、長年にわたって車歴簿の作成に支障を生じる状況が続いていた。これには、1928年の称号規程改正時に形式5を称する形式が欠番となっていたということもある。
国電研究の第一人者である沢柳健一が1997年に「決定版 旧型国電車両台帳」を発刊した際にも、これが原因で1928年以降の状況のみの収録とせねばならなかったほどである。この問題については、2006年に発刊された「旧型国電車両台帳 院電編」でようやく解明がなされた。
木製省電図面集 鉄道史資料保存会 鉄道史資料保存会
当時の趣味者にクハ5形を実見した者がいないこと、クハ15形が制御電圧600Vのモハ1形と混結されていた記録が残っている等の状況証拠から、理由は不明であるが制御電圧600V車をクハ5形とする計画は実施段階になって破棄され、両者は制御電圧の差異にかかわらずクハ15形に統合されたものと判明した。これによって、日本の国有鉄道の旧形電車に関して最大の謎となっていた「クハ5形問題」は、ようやく解決を見たのである。
レールウェイ マップル 全国鉄道地図帳 昭文社 地図 編集部 昭文社